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アンドレス・グルーバーの『夏を殺す少女』

2017年05月17日 | 読書

◇『夏を殺す少女』(原題:RACHESOMMER)
         作者:Andress Cruber 訳者:酒寄進一 
         2013.2東京創元社 刊 (創元推理文庫)

   

  作者アンドレス・グルーバーは短編小説の名手と言われている。ジャンルはS・F、ホラー、
 探偵もの、冒険もの、パロディなど多岐にわたるという。
  本作は探偵ものでもあり冒険ものでもある。主人公は二人。一人はウィーンの女性弁護士、
 一人はヘビースモーカーで喘息持ちのライプツィヒの頑固刑事。

  一見無関係に思える事件を追う二人が、巡り巡って同根の流れに気づき(本書の2/3ほどで
 ようやく交差)、互いに協力し合いながら犯人らを追い詰めるお話。
 
  すぐ自分の殻に閉じこもるのでハリネズミとあだ名されている女性弁護士エヴェリーンは、マ
 ンホールに落ちて溺死した小児科医の事件と、運転を誤って事故死した市会議員の事件に不審な
 点が多々あることに気付き、真相究明に動く。その動き方は弁護士というよりも女探偵(まるで
 サラ・パレッキーのウォショースキーのような)のようだ。
  一方ライプツィヒの刑事ヴァルター・プラスキーは妻に先立たれ育児のために自ら望んで刑事
 部署から外れたという心優しい頑固者。

  ある精神病院で少女が死んだ。病院は自殺扱いしようとしているが不審な点が多くヴァルター
 は強引に捜査に持ち込む。別の精神病院でも連続して同年齢の女性の自殺事件が起こっているこ
 とが分かった。根っこにあるのは何か。

  今回の事件の根幹は小児愛者を対象にした秘密ツアーにあった。医者・政治家・官僚・弁護士
 ・実業家・・・そんな面々がクルーザーに乗り込んで、いろんな手段で誘拐された子供たちを相
 手に卑劣残虐な性的虐待に及ぶ。子供らはあまりの虐待に、死んだり精神を病み精神病院に収容
 される子も出る。その中の一人ジュビルはそうしたツアーを仕組んだ連中と顧客に対し復讐に出
 る。次々に顧客らが殺される。一方ツアーが明るみに出ることを恐れたクルーザーの船主は子供
 らを殺し始めた。それにしても欧米では教師、聖職者、医師など日本では考えられないほど小児
 性愛者や性的虐待者が多いのはなぜだろう。

  多重人格障害(解離性同一性障碍)者を持ち出したりして、ちょっとずるい感じもしないでは
 ないが、テンポがよく推理もサスペンスもあってドイツでセンセーションを巻き起こしたのもう
 なずける。

                                   (以上この項終わり)

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