ミニ菜園/畑の作物・水彩画

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宮部 みゆき『龍は眠る』

2017年07月12日 | 読書

◇ 『龍は眠る』 著者: 宮部 みゆき  2007.7 新潮社 刊 (新潮文庫

  

     宮部みゆきの代表作の一つ。初出は1991年。第45回推理作家協会賞長編部門賞を受賞した。
   翌年にこれまた有名な『火車』(山本周五郎賞)を上梓している。

  超常能力者(サイキック)の少年と出会った高坂昭吾(新聞社系週刊誌記者・独身)。稲村
   慎司という15歳の少年は、人が考えていることがすべてわかってしまうという。高坂は最初
 はそんなことができるわけがないと半信半疑であったが、稲村愼司が訴える、透視能力を持っ
 ていることがもたらす苦しみを聞き、苦悩する姿を知るにつけ、次第にその存在を信じるよう
 になる。

  宮部みゆきは早い時期からホラーやファンタジーに深い関心を寄せていたという。作品にも
 超常現象や超能力を扱った作品が結構ある。この作品も少年と年若い青年の二人と、結婚式直
 前に婚約者に去られた苦い過去を持つジャーナリストを軸に、巧妙な筋立てで高坂の過去を甦
 えらせ、後半のサスペンスを演出している。ファンはさすが宮部みゆきと喝采を送ることにな
 る。

  ある嵐の晩、高坂は自転車の脇で呆然とする少年に出会う。稲村愼司はツーリングの途中で
 ある。二人は洪水のようになった道路のマンホールが開いたままになっていることに気付く。
 そのマンホールにペットの猫を探していた子供が落ちた形跡がある。そのうち愼司が妙なこと
 をいい始める。若い二人連れがマンホールのふたを外し、そのまま立ち去ったらしい。その姿
 を見ることができるというのだ。信じられない高坂はやっと探し当てた二人連れの青年にその
 経緯を質そうとしたのだが、愼司が性急に責任を問い詰めたせいで二人は全否定してしまう。

  そこに愼司の従兄という織田直也という青年が現れる。織田も愼司と同様に超能力を持ち、
 時空間移動も可能な能力を持つらしい。愼司も直也も自分たちの能力を他人に知られないよう
 にしているが、人の過去や心の内が全て読めてしまうということで人付き合いを避けることに
 なりつらい日々を送っている。直也は「愼司を相手にしないほうがいい」という。

  一方高坂の下に差出人不明の白紙の、次いで死・恨・怒などと記した手紙が届き、脅迫めい
 た電話までかかるようになった。思い当たる父子はないが、果たして過去の仕事がらみか。ま
 たかつて結婚直前までいった婚約者小枝子を巻き添えにする誘拐事件にまで発展することに。

  作者は主役の高坂に、二人の青年に加えて美しい障害者を登場させるという心優しい配慮を
 している(結局結婚することに)。後半一挙にサスペンスフルな展開になったが、人の心が読
 める、過去の体験も読み取れるなど、面白そうな半面それが障害になって普通の生活ができな
 くなるなど、超能力者の苦痛や限界など問題点を主軸とした作品とみた。
                                 (以上この項終わり)
  

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