ミニ菜園/畑の作物・水彩画

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樋口有介の『海泡』

2017年07月27日 | 読書

◇『海泡』 著者: 樋口 有介 
          2004.2 中央公論新社 刊

  


  物語の舞台は小笠原島…東京湾からほぼ1000キロ、フェリーボートで片道26時間。
 飛行場はない。
  自然風物の描写もなかなかに詳細、臨場感があって、作者はおそらく小笠原に長く
 住んだことがあるに違いないと思いきや、「1週間」だとご本人が「あとがき」で白
 状している。
 (いきなり余談であるが、巻末の作者あとがきで彼のそもそも作家になるまでの一
  部始終が語られて、自分を捨て東大出の医者と結婚した元彼女に「でもまさか、
  あなたがこんなに上手になるとは、思わなかった」と告げられたことまで明かし
  ている)

  ぼく(木村洋介)は大学2年の夏休みを小笠原で過ごす。その1か月足らずの短い
 夏休みの出来事は何ともすさまじい。秀才だった友人(藤井智之)の頭がおかしく
 なっていたり、中学時代の同級生(一宮和希)が自殺したり、田舎ギャルのその妹
(夏希)、和希に付きまとう男(真崎)が殺されたり、絵描きの父親のモデル(雪江)
 と寝たり(1回だけ)、中学時代のマドンナで,大好きだった丸山翔子は白血病で死
 を迎えたりとひと夏にいろんなことが起きる。

  本土からの観光客だけが頼りの小笠原の経済。漁師や美容院や居酒屋や民宿で働
 く同級生と、東京から何となく流れ着いた女性たちが織り成す悲喜こもごものあれ
 これが、ちょっとカッコよくて、ちょっと悪めいた洋介のセリフ回しが小気味よく
 て楽しい。

                          (以上この項終わり)

 

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