ミニ菜園/畑の作物・水彩画

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『ジョン万次郎・海を渡ったサムライ魂』

2016年10月19日 | 読書

◇『ジョン万次郎・海を渡ったサムライ魂(HEART OF A SAMURAI)』

                               著者:マギー・プロイス(Margi Preus)
                                 訳者:金原 瑞人
                                      2012.6 集英社 刊

  

     著者は児童文学家、劇作家であるが、この作品は初めての小説ということになっている。
 読んでみるとなるほど児童文学家の作品だなと思う。やさしく、読みやすい。誰にも(子
 供にも)素直に理解してもらうように書いている。数々の児童文学賞を受賞したというが
 むべなるかな。

  児童文学的とはいえ実在の人物を描いているので実際の事件・史実を丁寧に調べている。
 著者自身が述べているようにいくつかの事件と何人かの人物はフィクションである。例え
 ばジョリーとトムは創作の人物で、それは緊張感を高め、ストーリーを展開させるためと、
 万次郎が直面した偏見と悪感情を代表させるために登場させたとしている。
  史実を踏まえるために多くの文献を参考にしているが、日本語の文献を英訳したものを
 参考にしているものも多い。したがって日本の風習や文化について幾分ニュアンスの異な
 る捉え方をしている部分もある。また翻訳の問題もあるかもしれない。

  ジョン万次郎、ジョン・マン、中浜万次郎と呼ばれている人物は、江戸末期から明治維
 新にかけて数奇な生涯を送った傑物である。その一生は波乱万丈で、物語れば冒険小説で
 あり、偉人伝であり、立志伝である。
  これまでも多くの小説や伝記が書かれている。井伏鱒二の『ジョン万次郎漂流記』、
 童門冬二の『ジョン万次郎』、中濱武彦の『ファースト・ジャパニーズ ジョン万次郎』、
 山本一力の『ジョン・マン 波濤編 大洋編 青雲編 立志編 望郷編 』等々。

  ジョン万次郎の足跡をたどれば、①漁船が遭難し鳥島に漂着、②アメリカ捕鯨船による
 救出、③ホットフィールド船長に見込まれ養子となり高度な教育を受ける、④捕鯨船の乗
 員となるが日本への帰国願望強く、カリフォルニアで金採掘に携わり渡航資金を得る、⑤
 アドベンチャー号で琉球に上陸薩摩藩に送られる、⑥島津成彬に米国事情を説明、⑦薩摩
 藩で操船術、造船術など教える、⑧長崎奉行所で踏み絵を受ける、⑨土佐藩に送られ実家
 に入る、➉土佐藩で士分に取り立てられる、江戸幕府に招かれ旗本になる、⑪英語、航海
 術などを教える、⑫遣米使節団の一員として咸臨丸で米国へ、13土佐藩、薩摩藩で英語、
 航海術等教授、14欧州視察旅行の帰路恩人ホットフィールドと再会、15明治35年、72歳
 で死去。

  実に数奇な生涯であるが、本書では子供向けを意識したこともあってか平易な文章とな
 っていて捕鯨場面などでもやや平板で物足りない。エピソードとして出て来るアメリカで
 はじめて恋心を抱いたジョン万次郎が手紙を送ったキャサリンは実在の人で、80歳になっ
 ても手紙を手元に置いていたという。

  山本一力は土佐出身で郷里の偉人ジョン万次郎には思い入れがあって、積年の課題に取
 り組んだ『ジョン・マン』はぜひ読んでみたい。

                              (以上この項終わり)
 

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