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チェルノブイリの動物たち。「目立たぬ体色で渡りをしない種の鳥は免疫系が強いのか影響を受けていない」

2012年02月24日 05時00分00秒 | 気になるニュース


鳥に現れた異常、チェルノブイリと動物

チェルノブイリの高度汚染地域に生息するツバメの異常発生率が、かなり高いことがわかった。部分的な色素欠乏(b、c、d)、クチバシの奇形(e、f)、曲がった尾や左右不均等な尾(h、i)などが発見されている。生物科学者ティモシー・ムソー(Timothy Mousseau)氏と、協力者でフランス、オルセーにあるパリ第11大学のアンダース・モラー(Anders Moller)氏は、チェルノブイリで10年余り鳥類の個体群調査を続けてきた。最近の統計結果では汚染地域の多様性が低下しており、鳥類の種は非汚染地域の約半分に減り、個体数は約40%まで減少し、脳のサイズも小さい。

「初めて調査に乗り込んだ2000年時点では、異常など見つかる訳はないと思っていたんだ。1986年の原発事故は鳥類に大きな影響を与えていないというのが当時の認識だったからね」とムソー氏は話す。

 一方で何も影響を受けない鳥もいる。目立たぬ体色で渡りをしない種がそうだ。「競争相手がいないせいもあるだろう」とムソー氏は推測する。「色鮮やかな羽毛をまとう種と違い、カロテノイド(天然色素の一種)を大量に消費せずに済む。強力な抗酸化物質であるカロテノイドには、放射線被曝の影響を抑える作用が期待できるし、長距離移動で余分なエネルギーを使わないので免疫系が強いのかもしれない」。





哺乳類への影響、チェルノブイリと動物

チェルノブイリ原発事故の居住禁止区域内に生息するヘラジカ(2011年3月撮影)。既に有蹄類(ゆうているい)の生息数は回復し、突然変異もほとんど見られない。しかし、ヘラジカのような草食動物の場合、体内の放射性物質レベルがかなり高くなっている。規制から外れたエリアでも同様だ。

 草食動物は、放射性物質を溜め込む地衣類やキノコ類をエサにする。事故当時、ノルウェーで解体された草食動物の肉から、1キログラムあたり約1万4000ベクレルの放射能が検出された。食用肉の規制線量の2倍を超えており、隣のスウェーデンなら46倍に相当する。心配がないレベルだが、今でもノルウェーのトナカイ肉からは放射性セシウムがなくならない。

 居住禁止区域内では、食肉用に追われる恐れがない草食動物がのびのびと暮らしている。しかし、絶えず放射線にさらされており、汚染された草や地衣類を通じてさらに体内に取り込んでいく。ただし理論上は、害を及ぼすほどの線量率ではない。イギリスにあるポーツマス大学の水域環境学者ジム・スミス氏は、「集団規模で影響は出ないだろう」と話す。

 しかし、「ヘラジカなどの大型動物にも危険なレベルだ」と論じる専門家もいる。アメリカ、サウスカロライナ大学の生物学者ティモシー・ムソー氏の研究チームは、降雪後の足跡をカウントして個体数を割り出し、「やはり局地的な高濃度汚染地域では、哺乳類の減少が明らかだ」と警告している。





繁殖する希少種、チェルノブイリと動物

野生の個体が絶滅し、いくつかの保護区に残るだけとなったプシバルスキーウマ(モウコノウマ)。チェルノブイリ原発事故の居住禁止区域もその一つである。

 事故から12年後の1998年、この区域を保護区として31頭が移送された。搬送中と直後に8頭が死んだが、残る23頭は繁殖を始めた。

 プシバルスキーウマを飼育している同じウクライナのアスカニア・ノヴァ動物園(Askania Nova Zoo)で、タチアナ・ジャルキフ(Tatjana Zharkikh)氏は保護区の状況を次のように語った。「65頭まで増加したが、その後、多くが密猟者に撃たれた。ウクライナ北部のキエフ地方の気候と環境に順応できたのだと思う。放射線が悪影響を与えたというデータは今のところない」。





廃墟に戻る住民、チェルノブイリと動物


1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原子力発電所4号炉の爆発事故から25年が経過した。居住禁止措置が続く半径30キロ圏内では、自然が復活しているようだ。

 現在のウクライナとベラルーシ、ロシアにまたがる広大な一帯が危険な放射線を浴び、何十万もの人々が町ごと移住した。

 しかし、人が居住せず農業も営まれていない2850平方キロのエリアでは、野生生物が数を増やしている。人間の姿がない景色の中で驚くほど多様な動物が繁栄しているかのように見える一方、気掛かりな遺伝子変化の兆候も確認されており、史上最悪の原子力災害の影響はなお続いている。

 ウクライナ北部のチェルノブイリ事故と福島第一原発の危機。潜在的な影響は同等と予測されているが、直接の被害は原子炉に格納容器がなかったチェルノブイリの方がはるかに大きかった。世界保健機関(WHO)によると、放射線被曝によって約30人の作業員が死亡し、最終的には4000人もが命を落とすと推測されている。

 いまだ残る放射線が健康に与える長期的影響は未解明だが、一部の人は居住禁止区域に戻っている。この73歳の女性もほぼ廃墟と化したパリチフ村に帰ってきた。

 もはや放射性降下物が地面に降り注ぐことはない。しかし、人間にとって最も危険な放射線同位体の一つ「セシウム137」の濃度は、近隣だけでなく遠いノルウェーやドイツでもいまだ高いレベルだ。セシウム137は食物連鎖の上位に向かって濃縮されるため、彼女のニワトリは餌から高濃度の放射性物質を取り込んでいる恐れがある。しかし、見えない恐怖に怯えながらも、肉や卵が無いと彼女は暮らしていけないのも事実なのだ。




家畜の処分、チェルノブイリと動物

 ベラルーシのトゥルゴビチ(Tulgovichi)村で、廃屋の前を1匹の豚が歩きまわる。1986年のチェルノブイリ原発事故まで1000人が暮らしていた村だが、現在はわずか8人しかいない。

 事故後、立ち入り禁止となった地区全域から、牛5万頭と豚1万3000匹が直ちに移送された。しかし、避難先では家畜の世話がままならず、また食料入手が困難だったという事情から、ほとんどが処分された。核の平和的利用を促進する国際原子力機関(IAEA)は2006年、影響を最も長く受けたのは家畜だったと報告している。ちなみに事故から数年後の時点でも、汚染区域の牛や豚に先天異常の発生率増加は確認されていない。



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