猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

石森 章太郎選集 「おかしなおかしなおかしなあの子」

2007年05月24日 12時56分23秒 | マンガ家名 あ行
 自分の持っている石森選集のラストは気に入ってるこの作品。

 第1巻 昭和44年(1969)2月10日 初版
 第2巻 昭和44年(1969)4月15日 初版
 第3巻 昭和44年(1969)5月15日 初版

 「おかしなおかしなおかしなあの子」 は、第1部が昭和39年(1964)の春~昭和40年(1965)春まで、第2部が昭和40年(1965)春~夏、第3部は同じく昭和40年(1965)暮れから昭和41年(1966)春にかけて 「週間マーガレット」 連載。
 1部42回、2部8回、3部12回の計62回の連載でした。タイトルは 1部 「おかしなおかしなおかしなあの子」 2部 「おかしなあの子」 3部 「さるとびエッちゃん」 と変わっています。


どうおかしな子なのかは、お友達のミコちゃんから紹介してもらいましょう。


 わたしミコと親友モモちゃんの小学校に、おかしな子が転校してきたの。その子の名前は 猿飛 エツ子 通称エッちゃん。
 まず動物の言葉が分かるらしいのにびっくりしていたら、小さな体でとても身軽に動いて忍者みたい。ガキ大将グループがからかっても、かーるくやっつけて早速みんなの人気者。お弁当はウメボシの種みたいなもの一つでお腹いっぱいらしい。
 
 正義感が強くて弱い人や困っている人、動物を見るとほっとけなくて助けてあげる。捨て子のママを探したり、記憶喪失の女の人を幸せにしてあげたり。天使の格好をしてインチキ宗教の教祖を懲らしめたり。あたしのお姉ちゃんに付きまとっていた金持ちドラ息子を追っ払って、相思相愛だけどお互い打ち明けられなかったお隣のケンジさんとくっつけてもくれたのよ!

 あそこの家族も面白いの。おじいさんとお姉さんの三人でくず屋をして原っぱのボロ屋に住んでいるのだけど、外はボロでも家の中はカラーTVや自動ドア、自動ハミガキの機械など最新設備ばっちりで地下室には死んだ人を生き返らせる機械まであるみたいなのよ
 おじいさんは何でも知ってて科学者みたい。美人のお姉さんはかぐや姫に扮して現実的な近所のおばさんにファンタジーを見せてくれたわ。
 お父さんとお母さんは遠いところにお仕事で行ってるようで見たことはないの。でも貝殻の形をした声のお便りが届くの。
 不思議でしょ、私達にはエッちゃんが本当の天使に見えるときがあるのよ。




                  




 このマンガの中で私が始めて読んだときから忘れられないお話が一つ。

 「近くて遠いふるさとの巻」
 
 担任の女先生白雪先生のお母さんがキトクになり、一分でも早く帰りたい先生。しかし、台風が近づいていて先生のいなかの絶海の孤島、断崖絶壁の御蔵島 (みくらじま) には船が近づけません。エッちゃんは不思議な力を駆使してお母さんの死に目に先生を間に合わせてあげたものの、おじいからもらった 「いのちをのばすクスリ」 を海に落としてしまったのに気づきます。あわててもぐって探すと言うエッちゃんを先生は 「もういいの!」 と止めます。

 「生きているおかあさんにひと目あえただけで もう十分なの。母もきっとまんぞくして死んだわ。」
 「死んでいくものと生まれるものがあってはじめてこの世界は保たれているのじゃないかしら。」


 昔始めて読んだときから好きでしたが、再読してまたまたじ~ん。他の巻も引き込まれて次々読んでしまいます。40年以上前の子供向きまんがでもしっかりした訴えるものが有るのです。
 環境問題や拝金主義の大人たちを批判し、動物愛護を訴える。エッちゃんが声に出して言うわけじゃないけれど、作品からにじみ出てくるのです。師の手塚先生にもつながるヒューマンなお話が一話完結で面白く描かれます。もちろん、子供に分かりやすく勧善懲悪で悪者はステレオタイプなのはしょうがないですね。でも悪者だと思った人がいろいろ事情を抱えている、と言うところも描いているのですよ。
 
 面白ろうて、やがて悲しき・・・。
 
 当時の少女マンガではここまで表現できる人、そうはいなかったでしょう。子供だって分かります。単なるスーパー少女が活躍するだけのマンガではないから、当時から大人気でした。私はこの作品、昭和40年代の少女マンガの代表的傑作だと思っています。

コメント (14)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 軽井沢 星の温泉 村民食堂 | トップ | 銀座 マリオン前にて 街頭演説 »
最新の画像もっと見る

14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
猿飛えっちゃん、なつかしいですね (南野海)
2007-05-24 21:01:44
 このマンガのオリジナルは読んだことありませんけど、子供のころアニメで見ました。たしか「サリーちゃん」「アッコちゃん」につづく魔女っ子(というか、不思議少女?)アニメだったと記憶してます。
 魔女っ子アニメ史上もっとも三枚目のヒロイン(?)でしょうか。今考えると、いろんな点で、歴代魔女っ子ヒロインと異なっているような……。
 まあ、そのへんは、さすが石森先生、一筋縄ではいかないぞってとこですかね?
こちらでは始めまして。 (トミー。(猫とマンガとゴルフ~の管理人))
2007-05-25 10:46:38
 南野海様
 早速お越し頂き、ありがとうございます。
 私は反対にもう大人だったので、アニメの方を見てないのでなんとも言えませんが、「サリーちゃん」「アッコちゃん」とはちょっと違う感じですね~。原作は子供向けだけど、大人が読んでも耐えられる、と言うものです。
 こういう古い名作はもう全集でないと見られないでしょうか。愛蔵版が1990年に中央公論社から出てますが今は絶版ですね。
さるとびえっちゃん (たれぞ~)
2007-05-25 18:35:32
「さるとびえっちゃん」って「おかしなあのこ」がルーツなんですね~

私の子供の頃は「サリーちゃん」や「アッコちゃん」などはアニメで見ていたけど、えっちゃんは見ていなかったの・・・微妙にズレでいるのかしら??

「えっちゃん」てっ結構ひょうきんな顔つき(←失礼・苦笑)しているのに、ストーリーはしっかりしているんですね。

トミーさんが「傑作」だと認める、その構成力、いつか拝見したいです


ずっと前に… (nagis)
2007-05-26 15:29:13
シュジンと交際中の
「あなたって、さるとびえっちゃんに似てるね!」
…って言われたことがあるんです。
その時は「ガーン!!ひ・ひどすぎる~(ToT)」と怒ってしまいました。
あのおかっぱの鼻ぺちゃの女の子似だなんて~
(当たらずも遠からず…ですけどぉ…)
でもこの記事を読んで
「ちょっと不思議で天使のような女の子」という
都合のよい解釈で自分自身を納得させることにしました^m^;
うーん、うらやましい (manoai)
2007-05-27 21:41:28
manoaiです。こんばんは。
えっちゃんのシリーズ3冊とも持っているんですね。
私は2巻のみです。
ところで大友克洋の『童夢』のヒロインの名がえっちゃんなのは、この作品へのオマージュでしょうね。
未読です (夜)
2007-05-27 22:31:57
石森フェチなのに。。。
昔の石森作品は手当たりしだい買っていたのに。。。
残念ながら、これだけは未読なのです

何故かと言えば
当時の私にはエッちゃんがちっとも可愛く見えなかったからなのです~!
石森さんの描く美しい少女が大好きだったので
何が良くて、こんな猿みたいな女の子を主人公にするんだろ~?って、思ってましたわ~

別のコミックに1編だけ収録されてたんだけど
さすが、石森さん!
読ませるマンガだったと記憶してます

ところで、この前古本屋に行ったら
これの赤いバージョンのやつが1冊¥1000で売ってました
ちょっと考えたけど
今は¥3000も出すほどのモチベーションが無いな~
コギャルエッちゃん (sknys)
2011-08-22 20:07:01
トミー。さん、こんばんは。
「石森章太郎選集」は押し入れの奥で眠っているので、すぐには出て来ない
「おかしなあの子 IV」(別巻2)は配本中止になったのかな?

「石ノ森章太郎萬画大全集」を某中央図書館から借りて読みました。
ジュンやミュータント・サブがゲスト出演してストーリー・マンガ化したり、
「気ンなるやつら」の6ベエ&マリッペと共演したり‥‥。
中学を飛び級して平凡学園の2年A組に転入していたとは知らなかったなぁ
図書館か。 (トミー。)
2011-08-22 21:16:18
sknys様
済みません、そちらへ伺ってもコメ残さず…。
「石ノ森章太郎萬画大全集」買わず(買えず)にいたのですが、そうか、図書館という手が有りましたね。
うちの方にもリクエストしてみようかな~。
大全集に載っているお話は読んだことないですわ。
読めて羨ましい。
僕も同じ所で感動しました。 (トシ)
2016-05-12 13:31:36
トミーさん、初めまして。僕も小学校の時に「おかしなあの子」の「近くて遠いふるさとの巻」(題名は覚えて無かった)を読んで、いくら魔法が使えても人の生き死には操作しちゃいけないんだ!と深く心に刻まれ、他の話は全く覚えていないのに、この話だけは、先生の悲しげな顔と波の絵と共に60代になった今でも、ずっと覚えていました。昔のある日に、別々の場所で見た漫画の同じ所を長きに渡り覚えているなんて!嬉しくなりました。
始めまして! (トミー。)
2016-05-13 21:23:12
トシ様
同じ年代の方のコメントうれしいです。
他にも昔のマンガの記事が有りますので、いちいちコメントはいいですからよろしかったら読んでいってくださいね。
今後ともよろしくお願いいたします。

コメントを投稿

マンガ家名 あ行」カテゴリの最新記事