【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

労働環境

2017-05-05 22:38:36 | Weblog

 過労死を減らそう、という話がいつの間にか「1箇月に100時間の残業はOK」を法的に認める話にすり替えられてしまいました。私はきょとんとしてしまいます。
 どうせ「ずらす」のなら「ゴールデンウィークの混雑を別の時期にずらす」方向にできません? 多くの人がゴールデンウィーク以外でも有休がきちんと連続して取れるようになれば、わざわざ混雑の中に出かける必要は減って、混雑はがくんと緩和されるはずです。その方がよほど日本のためになるのでは? 渋滞で無駄に燃やされるガソリンの量はすごいはず。これが節約できるだけでも、日本全体では大きな「得」になるはずです。

【ただいま読書中】『山口組分裂と国際金融 ──インサイダーが明かすヤクザとカネと世界経済の関係』猫組長(元山口組系組長)・渡邉哲也 著、 徳間書店、2016年、1200円(税別)

 1946年終戦直後の混乱期に、神戸で三代目組長田岡による「山口組」が33人の構成員(メインは冲仲仕)でスタートしました。田岡は「暴力と経済の分離」という経営感覚を持っていて、46年にはすでに「株式会社山口組」を設立しています。三代目が死亡して跡目争いにより山口組は最初の分裂。集団離脱した勢力が一和会を結成し、山一抗争が勃発。この解決を「ヤクザ的(殺された分だけ殺す)」ではなくて「政治的」におこない、五代目は「民主的な統治」を目指します。バブルが崩壊し暴対法が施行され組内部で格差が広がり、主流派の山健組から非主流派に“政権交代”。この六代目の特徴は“グローバリズム”でした。「山口組は多摩川を越えない」という不文律を破り東京の「國粹会」を“買収”、さらに会員の経済的負担を増加させて“淘汰”を強行します。それに反発する勢力が離脱して「神戸山口組」を結成したのが第二次分裂です。著者はこの動きを、一和会の時のような「スピンアウト」ではなくて、「(企業の)スピンオフ」に相当するもの、と捉えています。「山口組の正統性を問う」と同時に「反グローバリズム」宣言が「神戸山口組」なのだとしたら、それは現在世界中で流行している「反グローバリズム(「アメリカファースト」とか「フランスファースト」など)」が裏社会でも着々と進行中であることを示していることになります。
 バブルが破裂した後、2003年頃から「IPO(新規公開株や新規上場株)バブル」が起きましたが、そこに暴力団が食い込んでいました。猫組長は主に「第三者割当」で濡れ手に粟の大儲けをしていたそうです。暴力を直接手段として企業から資金を奪取するのではなくて、暴力を背景に企業と交渉して「経済活動」をするように活動が変容していったのです。暴力団が介在できた理由は「企業が持つ後ろ暗さ」だそうです。ITバブルのときなどに無理して上場した企業が持つ後ろ暗さを押さえ込むためには「暴力」に頼るのが手っ取り早いわけで、でもそんなことをしたら当然つけ込まれて「経済活動」を一緒にしなければならなくなるわけです。
 その“準備”は1996年からの「金融ビッグバン」でした。ここで“誰でも”金融市場に参入できるようになり、ヤクザマネーが一挙に海外進出を始めました。資金洗浄のテクニックを暴力団に伝授したのは「バンカー(銀行員や会計士)」でした。暴対法施行後もそういった人たちは「裏」との繋がりを保っていたのです。ヤクザにはインサイダー情報も入りやすく、価格形成自体を「山口組ファンド」が実行できます。いざとなれば「暴力」の出番ですから、こんなぼろい商売はないでしょう。本書では「ヤクザ資本主義」と呼ばれていますが、資本主義の一番悪い面に暴力が加わったものです。
 しかし2006年頃から風向きが変わります。東京証券取引所が第三者割当に「透明性」を求める新しいルールを導入し、暴力団の経済活動はやりにくくなります。さらに07年にサブプライムローン危機、08年にリーマンショックで大金の運用が困難になってしまいます。また、アメリカからの圧力もあります。「ドル」を非合法に大量に運用したら、それはアメリカが気にするのは当たり前でしょう。
 そうそう、「パナマ文書」について面白い見解が示されています。世界では「アメリカ系」と「イギリス系」のタックスヘイブンが競っていて、パナマはイギリス系。それを潰そうとするアメリカ側がパナマ文書を暴露させた、という見方です。その狙いは「アメリカの傘下でみかじめ料を払ったら自由に商売をしても良い」。でもそれって、暴力団のやり口とそっくりでは?


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