普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

北朝鮮の聖火リレーと末期医療制度

2008-04-29 11:03:48 | 少子高齢化

 昨日のテレビで二つの印象的なシーンを見た。
 一つは北朝鮮での聖火リレ-だ。
 日本や韓国で見たテレビで物々しい警護陣などは殆ど見えない中で北朝鮮と中国の旗を振ってリレーを整然と見送る大衆。
 全て予想した通りだ。
 然しこれを見て感心する日本人は殆どいないだろう。
 むしろこれから言い知れない独裁国家の怖さを感じる人が大部分と思う。

[末期医療制度]
 つぎに見たのがNHKの末期医療のあり方だった。
 この放送の主旨は末期医療の専門の医師の活躍を取り上げ、それに欠かせないモルヒネの使用に豊富な知識を持った専門家がいないことを訴えることにあった。
 然し後期高齢者医療制度の対象者である私の関心を引いたのは、何人かの末期のガン患者の希望に応じて、在宅治療のシーンだった。
 どちらにも患者の子供の夫婦が介護に当たり、手の空いた孫達がその患者の開放に当たっていた。
 そして子供夫婦、多くの親族や孫達に囲まれて患者の最後を引き取った。

 これは前にも書いたが、私たち夫婦の従兄弟の死の光景と似ていた。

参照:子育てより自分の生活優先と考えている若い人達へ 

 彼も末期のガン患者で、気づいたときはもう手遅れだった。
 幸い私の家内が紹介した医師が良い人で、在宅治療に全面的に協力してくれた。
 彼の廻りにはいつも彼の妻を始め、多くの弟や妹、子供達や孫達、私どものような親族がいた。
 彼は気丈にも良く冗談を言って、看護の人達を笑わせた。
 そして最後の夜も一人で入浴し、小用を済ませ、寝床について、皆から見守れながら亡くなった。
 本当に私のように余命いくばくもない人から見れば羨ましい逝き方だった。

 これらの家族で共通しているのは患者に多くの兄弟や子供や孫達がいたことだ。
 政府が進めている在宅医療もこのような大家族では成り立つが、最近良くテレビで報道される様に、老老介護の家庭も多い様だ。
 しかもこの傾向は少子高齢化の進展で益々多くなるだろう。

 正確なことは知らないが、廻りの人達を見ても、大まかに言って、私たちの70~80台の人には2~4人の兄弟や子供、60台の人達は2~3人位の兄弟や子供がいるようだ。
 だから、多くの問題が出ながらでも、ここ暫くは今の在宅医療制度は何とか進むだろう。

[少子化の問題]
 然し問題はこれからだ。
 06年の平均出生率は1.32だそうだ。
 この当時者が後期高齢者になり、在宅治療を希望しても、僅か一組みか、運が良くて二組みの息子、娘夫婦に介護して貰う他ないが、もし子供達に何からの余儀ない事情があれば、老老介護か、介護保険に頼るかしかない。

 然し、介護保険そのもの社会的入院が大きな問題であることもあり、(その制度導入には)自宅での介護(在宅介護・居宅介護)を促す意図があった。実際には介護サービスがあっても、介護職員の不足や資金不足から利用者に応じたサービス提供は難しく、自宅介護は困難なことが多い。その結果として、さしあたり「預けられる」入所介護施設の不足が、導入当初以来解消されていない大きな問題となっている。  (Wikipedia による)

 結局は在宅治療どころか不足がちの介護保険施設に無理やりに頼んで入れて貰うしかない。
 そして今の若い人達は今の様に不十分なながらも在宅介護の道は閉ざされて、老後の運命はその施設が自分自身に向いているか否かという頼り無い幸運に頼るしかないことに成りかねない。

 若い人達の中には、子供や兄弟姉妹に頼らなくても、親しい友人が多くいると言うかもしれない。
 然し私の経験から言えば、多くの人やその家族の人達は大病を患えば、遠慮か、煩わしさかまたその他の原因か知らないが、外界からの接触を避ける人が多いようだ。
 私と違って社交性のある妻には多くの友達がいるが、その友達やその配偶者が大病を患って以来疎遠になったと愚痴ているのを何度も聞かされた。

 そのことを考えると今の若い人達の最後の床は極く少数の家族か、医師や看護婦か、施設の係員の見守られながら寂しく過ごすことになるのかも知れない。

 少子高齢化の問題は年金、医療、福祉、労働要員の確保、外国人労働者導入に伴う社会問題の発生、経済の縮小などに大きな影を落としている。
 それでも民主主義日本では、戦時中のように「産めよ殖やせよ」と政府が号令を掛けるわけには行かない、北朝鮮のように金正日さんの号令に違反する人を投獄する訳にも、中国のように一人っ子政策の逆を進めるわけには行かない。
 日本は男女雇用機会均等政策の様に、女性の社会進出を進め少子化を加速させても、専業主婦による次世代の育成の役割を認めようとしない。

 私は少子化の問題を取り上げたとき、何度も専業主婦の方達から、子育てがいかに面白くて張り合いがあるかとのコメントを頂いた。
 私は昨日のブログで基本的に長期的に人口を維持できる水準の出生率は2.07だそうだが、06年には1.32だ。この儘で推移すれば、ある所で収斂して落ち着いてくるのか、あるいは日本人が消滅するのか素人には判らないがと書いた。

 私はまた前述のブログで若い人達が考える少子化の原因として、経済的な理由と並んで、「子育てより自分達の生活を楽しみたい」を上げたと書いた。
 そんな若い人達が歳を取って、少子化のもたらす老後の生活が如何に淋しいものかに気づき、そして子育てより自分の生活を楽しみたいと考えていたが、専業主婦の方達の言われるように「子育てもいかに楽しいものか」と気づいと始めて、人口の縮小が収斂してくるのかも知れない。

  勿論、女性で仕事に生きるのも良いと思うし、専業主婦として次世代を担う子供たちの育成に当たるのも良いと思う。
  唯、私が言いたいのは、仕事に生きる女性が、専業主婦より優れていると言いかねないような風潮に惑わされず、若い人が子育ての楽しみもあること、自分の老後をどう過ごすかも考えた上で、それぞれの価値観で将来を決め貰いたいことだけだ。


 時に行き過ぎたところがあっても、その内に国民の叡知により自動的に修正するのが、民主主義の良い所だろうと思うが、少子高齢化については前にも書いた様に、関連する問題が続出しかかり、拡大しかかっている。
  それが破局状況になっての解決は如何にも遅過ぎるし、またその被害が大き過ぎると思うのだが。

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