普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

元保全技術者が見た福島原発内の被爆事故

2011-03-26 08:59:51 | 電力、原発

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 福島原発内の関電工の人達の被爆事故に就いては、現役の時設備保全に長年従事し、その関連で玄海の原発の内部まで見せて貰った経験があるだけに私にとって見捨てて置けないような気がしています。
 中でも某ブログに危ない仕事は下請けにさせて東電の社員は安全な所にいるのは差別だと言う書き込みを見て今回の問題を纏めて見ました。
被爆事故の概要
・被爆者:関電工の原子力部の社員2名、下請け会社の社員1名
・服装:関電工社員2名は短靴、下請け会社の社員は長靴着用(勿論全員防護服は着用)
・被爆経過: (テレビ報道では暗闇の中で?)3人は3号機の発電用タービン建屋で作業をしていたさい水たまりに踏み入れ、靴の中に入った水から被曝
・3人が付けていた放射線量計すべてのアラームが鳴ったが、誤作動と思い込み作業を続けた。
 この間の理由に就いて朝日新聞 は次のように報じています。
 東電によると、(前日の)23日午後5時に同じ現場で作業した作業員の被曝量は0.5ミリシーベルトと低く、水も水たまり程度だった。そのため、作業員が放射線量の低い場所だと思い込み、線量計の警報が鳴っても誤作動と思って40~50分間作業を続けて被曝したという。
 保安規定に基づく内規では、現場の放射線量を測定して指示する放射線管理員が同行する。しかし今回は同行していなかった。東電福島事務所の担当者は、会見で「通常とは違う状況なので、管理員の被曝を避ける判断が入ったのかもしれない」と説明した。

[私の意見]
・危ないことは下請けにさせると言う批判について
 電力会社では運転以外の設備の保全、改修などは下請け会社にさせるのは普通です。
 そして重要な工事は殆ど総て子会社(九州電力の場合は九電工)か関連会社に任せ、余り重要でない工事や定例的な工事は直接発注するか上記の会社経由で下請け会社に発注することもあります。
 今回事故を起こした工事はその例に従ったもので、一部ネットで言われているように危ない仕事だけ下請けにさせると言う批判は少し厳しすぎます。
・安全確保専門の人がいない作業
 一番問題なのは危険作業に対して社員やその指示を受けた安全確保専門の下請け社員の立ち会いが無かったことです。
 もしおれば3人の線量計のアラームが鳴れば(勿論安全専門の人も持つ筈ですが)必ず退避を指示するはずです。もしそうせずに事故が起これば自分の責任になるからです。
 私たちが良く眼にする線路工事では必ず安全確保の人が就いています。
 何故なら工事する人はその作業に没頭するから(またそうして貰わねば困ります)、第三者の立場で安全の確保をする人がいるのです。
 まして電車の方が危険か、トラブル続出の原発の中で目に見えない放射能が危険か言わずとも判ります。
 東電の担当者は、会見で「通常とは違う状況なので、管理員の被曝を避ける判断が入ったのかもしれない」ととんでも無いことを洩らしたそうですが、そうでなくても運転や保全担当のスタッフが忙しければ、関電工に安全専門の見張りを付けることを指示すべきだったのです。
・安全な工事のための制度の問題
 それと作業者が靴を履いていた問題です。
 朝日の報道では前日も水溜まりがあったそうです。
 製鉄、石油、石油化学などの可燃物、危険物を取り扱う現場では、時々刻々と状況が変わる現場での安全作業のための保全担当者が指示書を発行し、それを業者の責任者が運転現場に提出して作業許可を貰うのが普通です。
 その時現場の責任者は水溜まりのある所で作業するのに、指示書を持ってきた短靴を履いた関電工の責任者に注意はするのは当然です。
 東電では「現場の放射線量を測定して指示する放射線管理員が同行する」制度一本槍で現場の事故は防げると思っていたのでしょうか。
 それともこの制度があるのに、作業許可を出す前に現場の確認を怠ったのでしょうか。
 それとも関電工の社員が前日も安全だからと言って、東電の内規も安全作業指示書の制度を無視してそのまま現場に直行したのでしょうか。
 私は何度も書くように、東電のプライドだけは高い、本店と現場の遊離、お役所的な体質が、今回の原発事故を起こしまた今回の被爆事故を起こした一因と思えてならないのですが。


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追記:今日発売の週刊文集の「御用メディアが絶対に報じない東京電力の大罪」で、非常用電源停止が過去にもあったのに放置したこと、東電が副知事を脅迫、などの例を並べているのを見ると私の東電の体質に対する心配が当たっているようです。中でも設備の耐用年数がきているのに定期検査の期間を伸ばすなど、現場の人なら怖くてできないことを幹部が決めるなど、本店の現場の離反を示しているような気がします。 (16.00記)


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