名を負ひし へくそかずらの 誇りかな 夢詩香
*へくそかずらっていうのは、6文字だから、真ん中の7にしか入りませんよね。それ以上作りようがないから、存在感そのもので、詠むしかありません。
ツルニンジンとかキンモクセイなら、字余りにしてもそんなに苦しくないですけど。伸ばす音とか撥音とかは、半分消えている感じがするから。でもへくそかずらだと字余りにしたら、ちょっと苦しい。
季語なんか気にしないでやってるんですが、文字数には結構こだわるんです。
へくそかずらの花はとってもかわいいけど、草刈なんかの時に、誤って刈ると、とんでもない臭いがするらしいですね。やったことはないからわからないけど、経験者はそこから逃げ出したくなるほど、ひどい臭いらしいです。
でも、その名前があんまりにひどいんで、ほかにサオトメバナとかいう別名もあるんですけどね、そっちのほうは、あまり流行ってないみたい。
へくそかずらっていうほうが、強烈で、なんとなく花の雰囲気に合っているような気がする。かわいいけど、なんだか、余計なことをしたら痛烈な一撃をかえされそう。
実際、名前を聞いて、その由来を知ったら、誰もこの花を摘んだり刈ったりしないだろうし。それで、いろんなところに生え群がっているんだと思う。
弱くてはかなそうに見える花にも、何かがあるんだ。簡単に踏みにじったりしたら、時々痛い仕返しをされる。
へくそかずらは、サオトメバナよりも、へくそかずらの方がいいって、自分で自分の名前を選んでいる気がします。
そっちのほうがほんとの自分に合ってるって感じで。