観 察 月 日 2010、8、29 晴 33℃
観 察 場 所 厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)
「暑いのに、イモムシが可愛そうだわ」
Rさんが突然立ち止まった。
今日も、朝から肌を刺すような日光がギラギラと輝き、朝の10時だ
というのにセンター玄関前の路面からはかげろうが立っている。イモ
ムシを見ると、体側に黄色と赤の七個の目玉模様を持つセスジスズメ
の幼虫であった。
「私が、日陰に持って行きましょう」
と指で摘まんだ瞬間 「これは!」と思わず声を上げてしまった。そ
れは、イモムシの体から異常な程の熱さを感じたからである。
普通、イモムシの体に触れると冷たく感じる。彼らは自分で体温を
作るしくみを持ち合わせず、外気に依存しているからだ。このイモム
シの血液は沸騰しそうな程の温度に晒されたのであろう。
温度計を取り出し、イモムシに添うように置いて見ると48℃を指し
た。路面に手を置くと、焼けどをしそうな熱さだ。
イモムシの体は、張りがあるものの動きはなかった。今しがた死ん
だものだろう。蛹化の場所を求めて歩き出した場所が悪く不運だった
のである。