鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

テントウムシの調べ方

2011-05-12 19:29:41 | 日記
 先週虫目で歩いた鎌倉中央公園で見つけた、テントウムシの幼虫。

もう蛹化寸前のようだったので、なんのテントウムシか知りたくて連れて帰ることに。
うちに帰るころには、サナギになっていた!

よく見るナミテントウのサナギとはちょっと違う。


 サナギはときどき、むくっと、ブキミに立ち上がる。


 そしてきょう朝見たら、羽化していました~。

ピッカピカぁ~。
やっぱりナミテントウではなくて、薄茶色の地に白い星模様がある、
菌食のテントウムシになりました。大きさは5ミリ。

 で、正確な名前を知りたいと思ったのですが、
このタイプには、シロホシテントウ、ムーアシロホシテントウ、
シロジュウゴホシテントウ、ジュウロクホシテントウなど、
とけっこう似ている種類がいます。

 こんなとき頼りになるのが、
去年いっしょに赤穂のアース製薬へ見学に行ったhttp://blog.goo.ne.jp/mushidoko64/m/201010
大阪市立自然史博物館の学芸員、松本吏樹郎さんからいただいた『大阪のテントウムシ』
(著者:大阪市立自然史博物館昆虫研究室 初音成彦 686円)。
(通販でも買えます)


裏表紙にはずらっとならんだナミテントウ。

これが全部ナミテントウなんて。

 6ページの「茶色地に白星があるもの」という項目を調べてみました。


すると翅の片方の星が1,3,2,1と並んでいますから、シロジュウジホシテントウと判明。
このテントウムシには基本型、暗色型、紅型と3つのパターンがあることもわかりました。

 もう一冊、テントウムシの名前を知りたいときに便利なのが、
その名もずばり『テントウムシの調べ方』(文教出版 3900円)という本。

拙著に載せた名前のわからない外来種のテントウムシの名前はこの本で
「クモガタテントウ」とわかりました。


 一方こちらは、先週鎌倉で見た3ミリの小さなテントウムシ。


ルーペで見ると、体表に微毛が。
『テントウムシの調べ方』で見ると、
かんきつ類につくカイガラムシの一種を退治するために人為的にオーストラリアから輸入され、
その後日本各地で繁殖しているというベダリアンテントウというのに似ています。
しかし、ちょっと星の形が違うな・・・・・・。
べダリアンより、星が丸いです。

そこで『大阪のテントウムシ』にあたってみると、
似ているものにヨツボシテントウというのがいて、
あ、これだ。星の形が丸い。
大きさも、ちょっと見の感じもそっくり。
外来種と在来種で、こんなに似ているのがいるなんて。
でも食べものの好みは違っていて、
ヨツボシはアリマキで、べダリアンはカイガラムシ。


 野外を歩けばたくさんのテントウムシと遭遇するこの時期、
今年見たいと思っているのは、ウンモンテントウとカメノコテントウ(ヒメじゃない大型の方)
灰白色に黒い星がシブイ外来種のハイイロテントウ
・・・・・・・いくつ見つけられるかな。

 でもナミテントウやナナホシテントウだって、
普通にいるからといって軽んじてはいけません。

草の海のなかで、こんなにきれいな虫はなかなかいませんから。



虫目歩きから生まれたファンタジー『バニャーニャ物語』へはここからどうぞ。










『虫愛ずる一日 in 京都』ガケ書房さんで予約開始!

2011-05-05 17:25:44 | 日記
 先にお知らせしました6月4日(ムシの日)の京都でのトークイベント『虫の愛で方三人三様』の予約が開始されました!
ガケ書房さんのサイトhttp://www.h7.dion.ne.jp/~gakegake/
から予約できます。

 京都左京区で、一日中虫を愛でよう、というこのイベントは3部に分かれています。
10:00(早っ!)からはじまる池内美絵さん、有吉立さん、そして鈴木海花の3人で行う予定の
トークイベントのみ、予約が必要です。(参加費500円)

本にもブログにもまだ載せていない虫の写真、いっぱいもっていきます。
虫が好き、と一言でいっても、その付き合い方、楽しみ方はひとそれぞれ―
そんな話題を中心にアレコレ。

11:30からの虫愛ずる懇親会(飲食費自己負担)と
13:30からの吉田神社&吉田山で虫さがし(注:雨天中止)への参加(無料)は予約不要です。
懇親会はガケ書房さんの向かいの「なやカフェ」で。
いい雰囲気のすてきなお店です。

 池内さんがデザインしてくれたイベントのフライヤーもできました。




 こちらは池内美絵さんのヤスデ屋さんのフライヤー。
美絵さんが手塩にかけて飼育したヤスデを買うことができちゃいます!
(注:雨天中止)


 これらのフライヤーはガケ書房さんをはじめ、『虫目で歩けば』を置いてくださっている大阪のBOOKSHOP&CAFEカロさん などのお店に置かれています。

店内でトークイベントが行われるガケ書房さんは、左京区で「外壁が崖で覆われ、車が飛び出しているお店」として有名。
このどっきりな仕掛けは、お店の名前を知らなくても、映像で覚えてもらうためとか。
お店の外観だけでなく、店長の山下賢二さんのくりだすさまざまな催しが話題のお店です。

 そして光栄なことに、5月8日~6月5日まで開催される京都左京区の『左京区ワンダーランド』という催しに
私たちのイベントも混ぜていただくことに。
京都大学や鴨川、大文字山などがあるこの地区は、京都でも演劇、音楽、アート豊かな地域。
ガケ書房さんをはじめ、個性的でこだわりのあるお店がいっぱい。その左京区で毎年行われているのが
この『左京区ワンダーランド』という催しです。
 

 お近くで、虫が好きという方、ぜひいらっしゃいませんか?
ほんとは虫が好きなんだけど、周囲の理解が得られない(笑)
大きな声じゃ言えない、という
孤独な虫好きさんたち。
この日は思いっきり「虫が好きー」と言って、
日頃のうっぷんを晴らしましょう~

 あ、赤穂の○○製薬の飼育室から有吉さんが
これまた手塩にかけたアレ!!!を連れてくるという
過激な企画を検討中というウワサも。
ひゃー、それじゃアタシやめるー、と思ったアナタ。
大丈夫ですよ、もちろん!希望者だけに見てもらえるようにしますから。

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ヒメクロオトシブミ登場!

2011-05-01 08:05:27 | 日記

 4月末から7月の梅雨明けまで、この期間が小さな虫さがしには、最適な季節。
真夏はカブトムシとかカミキリとか、大きな虫をさがすにはいい時期ですが、
30度を超すと、集中力のいる1センチ以下の小さな虫さがしにはちょっときびしい。
というわけで、いまが書き入れ時。また行っちゃいました・・・・鎌倉の谷戸。

 オトシブミが産卵のために盛んに葉を切って巻く、
という行動をするのは5月後半ですが、
今年は若葉のうちからオトシブミを見つけようとはりきっています。
この日はなんと今年初、ヒメクロオトシブミを見つけることができました。



シダにも


ミズキの葉にも!!!



 オトシブミやチョッキリって、
お尻が寸詰まりで、
首が長くてフラフラしていて、
ふるまいが忙しそうにオタオタしている、
ところがかわいいのです。


これはムツボシツツハムシ。

ハムシとしては大きめの6ミリ。
朱色の地に黒い顔模様が、草のなかでくっきり目立ちます。

あ、ヤマフジが咲いた!

藤棚のよく剪定されたフジもきれいですが、
こんな野性的なフジもいいもんです。

コブシの若葉に見つけたのが、この虫。

たった8ミリですが、黄色の地になんとぽっと描いたような頬紅みたいなマル紋がきれい。

第一印象はヨコバイかウンカの種類かな、と思ったのですが
、顔をみるとガのようにも見えます。
いろいろ調べましたが、目下のところ名前がわからないので、
勝手に「ホオベニガ」と呼んでいます。
ぜひほんとうの名前を知りたいので、ひきつづき調べてみます。

ヒメカノコテントウも交尾していました。


山吹色が鮮やかな、ハチかな?


草の間には、ヒメウラナミジャノメがいました。

オスの裏翅には、こんな細かい波模様がぎっしり描かれています。

鎌倉の谷戸には、ハナイカダがたくさん生えています。

今はちょうど花の時期。
ハナイカダって、不思議な植物ですよね。
葉っぱの真ん中に花を咲かせたり実をならせたりするなんて。
ほんとに葉っぱの真ん中から生えているのかしら、とじいっと見てみると・・・・

ほんとでした。

草の茎の先に、ジンガサハムシがピカッ。


透明なプラスチックの円盤を甲羅のように背負っているみたいなこの虫は、何度みても興味が尽きません。
さらに近寄ってみると・・・こんな顔してた。


ヒメクロトラカミキリ。8ミリと小さなカミキリムシです。


もうすぐ羽化するアカスジキンカメムシの5齢幼虫も、
陽のさす葉表に出てきていました。



 これから5月末まで、オトシブミやチョッキリ、見まくるぞー。

 さて、きょうは5月1日。
毎月1の日は『バニャーニャ物語』更新です。
バニャーニャへは、ココから。

第4話は幸運を呼ぶオニギリ石の話。
そして、ついにジロが冒険の旅から帰ってきたみたいですよ。

『バニャーニャ物語』http://blog.goo.ne.jp/kaika64