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28年前の事件の真相は?「ダーク・プレイス」2015年制作 劇場公開2016年6月

2017-01-15 17:40:54 | 映画

              
 これまでリビー・デイ(シャリーズ・セロン)は、全米からの見舞金や事件を題材にした出版の印税で生きてきた。ところが残金は500ドルにも満たないと弁護士から告げられる。

 そんな折、一本の電話で呼び出され話を聞く。それは「殺人クラブ」という事件マニアの集まりで、弁護士や刑事、会社員など真面目な職業の人々だという。これを主宰するライル(ニコラス・ホルト)によると、28年前リビー・デイの家族惨殺事件について真犯人は別にいるのではないかという疑問がある。ぜひ、協力してくれと言う。

 この事件では真犯人として兄ベン(コリー・ストール)で服役中ということもあるが、生活費がない身では協力費を当てにするしかない。

 事件は1985年カンザス州の牧場で母親ベティ(クリスティナ・ヘンドリックス)と娘二人が惨殺され、生き残ったのが兄ベンとリビーだけ。目撃者とされる8歳のリビーの証言が決定的となり兄ベンは服役することになる。そして28年後、意外な事実が明らかになる。

 「ハリウッドスター屈指のエレガンスな美貌とスレンダーに引き締まった体で女性人気も高いが……」とウィキペディアにあるが、この映画ではベースボール・キャップにジーンズというおおよそエレガンスとは無縁な出で立ちの役柄をこなす。

 こういう役ならシャリーズ・セロンでなくてもいいが、この映画の製作に係われば出ざるを得ないか。暗い映画なのは間違いない。

 シャリーズ・セロンの過去にも忌まわしい事件を経験している。それはアル中の父親を母が射殺すると言う事件だった。母は正当防衛で無罪だった。

 そういう体験がこの映画の製作にかかわったのだろう。それに俳優を目指しているとき仕事がなくて、かなり貧しい生活も体験しているようだ。それらを併せてみると、まるで自分の生い立ちそっくりで思い入れが深くなったのだろう。

難を言えばちょっと息を呑むスリルに欠けているかな。

 

 
監督
ジル・パケ=ブランネール出自不詳

キャスト
シャリーズ・セロン1975年6月南アフリカ生まれ。
ニコラス・ホルト1989年12月イギリス、イングランド生まれ。
クロエ・グレース・モレッツ1997年2月ジョージア州アトランタ生まれ。
コリー・ストール1976年3月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
クリスティナ・ヘンドリックス1975年5月テネシー州ノックスヴィル生まれ。

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ギャンブルのためにカジノめぐりをするロードムービー「ワイルド・ギャンブル」2015年制作劇場未公開

2017-01-11 17:23:00 | 映画

               
 「その12、眉間のシワ。眉間のシワはミスをしたか、あるいは不安な気分のときだ。集中して考えているときに表れることもある。大抵の場合、疑ったり弱気になったりしている。その13、鼻を触る。さっと素早く鼻を触る仕草のことだ。人差し指で鼻先を……」

 カーオーディオで再生している「ポーカーの法則200」を聞いて気持ちを落ち着かせるジェリー(ベン・メンデルソーン)。そしてゆっくりとカジノに入っていく。

 所はアイオワ州ダビューク、そのポーカー・ゲームで知り合った二人の男。ギャンブルで借金だらけのジェリーと金が有り余っているわではないが節度をわきまえているカーティス(ライアン・レイノルズ)。

 借金だらけのジェリーではあるが、一応不動産斡旋の職には就いている。若いカップルを案内して家の中を自由に見せているときも、カーティスの言うドッグ・レースが気になって仕方がない。

 カーティスのほうはまったくの浮草人生。この二人は人生設計なんて考えたこともない。ジェリーには娘がいるが離婚している。どうやらまともな仕事に縁遠い二人の男は、カジノめぐりの旅に出る。

 行先はミシシッピー州、テネシー、メンフィスやチュニカ。ミズリー州セントルイスにルイジアナ州ニューオーリンズ。

 途中カジノでコンパニオンをしているカーティスの妻シモーヌ(シェナ・ミラー)のところへちょっとお邪魔する。カジノでちょっと稼いで。今夜は王様気分。

 ジェリーは、バーでシモーヌと同じコンパニオンのヴァネッサ(アナリー・ティプトン)とロックン・ロールを踊る。夜更け、ヴァネッサの部屋でヴァネッサは見事な手品を演じ、ジェリーは、ピアノでロマンティックは曲を弾く。

 社会の底辺で出会った男と女。
「俺は借金だらけだ」とジェリー。
「お金のことを聞いていないわ」と返すヴァネッサ。
 ジェリー「君に話してみたかったのさ」
 ヴァネッサ「わたしは人生で何かを達成したい。これもあなたに言ってみたかった」

 観ていていい雰囲気なので(早くキスしろよ)と思うが、そうはならなかった。ジェリーの優しさが思いとどまらせた。ラスト・シーンでヴァネッサと抱き合ってハッピーエンドを予想したが、これもハズれた。

 この映画はギャンブル一筋。サイド・ストーリーの恋愛なんて単なる点景に過ぎない。だからイケイケドンドンで、最後の最後で大勝負が待っている。この勝負に勝ち50万ドルを手にした。折半するとそれぞれが25万ドルだ。

 ここで二人の性格がはっきりする。カーティスは、妻シモーヌからの携帯電話を無視して、美人の受付嬢に「ペルーに行かないか?」とモーションをかける。

 一方ジェリーは、車のサンバイザーに娘の写真を差し込む。私の期待したロマンティックな結末ではなかったが、ニューヨークとは違う生のアメリカの雰囲気が漂い私は充分楽しんだ。

 アメリカと言えばカントリー・ミュージック。BGMは26曲以上で彩られている。それに二人の俳優ライアン・レイノルズとベン・メンデルソーンの個性的な演技で映画は水準以上の出来栄え。
 
 日本で劇場未公開が信じられないが、おそらくカントリー・ミュージックが馴染みでないからなのだろう。私はカントリー・ミュージック大好き人間だから嬉しい限り。どんなもんかな? と思う人はこちらで聴いてみて下さい。1936年生まれのトム・T・ホールの挿入歌「Famous in Missouri」をどうぞ!

監督
ライアン・フレックとアンナ・ボーデンの共同制作 ニューヨーク大学の同窓生。ライアン・フレックは1976年9月カリフォルニア州生まれ。アンナ・ボーデンの出自は分からない。

キャスト
ライアン・レイノルズ1976年10月カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー生まれ。2015年「デッドプール」でゴールデングローブ賞男優賞、放送映画批評家協会賞にノミネート。ベン・ベンデルソーン1969年4月オーストラリア、メルボルン生まれ。2015年本作でインデペンデント・スピリット賞にノミネート。
シェナ・ミラー1981年12月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
アナリー・ティプトン1988年11月ミネソタ州ミネアポリス生まれ。

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イタリア政界を風刺する「ローマに消えた男」2013年制作 劇場公開2015年11月

2017-01-08 15:35:12 | 映画

            
 この風刺は、日本にも当てはまる。支持率17%の左翼政党の党首エンリコ・オリヴェーリ(トニ・セルヴィッロ)が突然姿を隠す。忠実な秘書アンドレア(ヴァレリオ・マスタンドレア)は、深刻な病状ではないが、入院療養中だと説明。実際は行方を掴んでいない。早晩、言葉で糊塗するのは行き詰る。

 そのエンリコは、有名映画監督の妻で元恋人ダニエル(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)のパリの居宅に転がり込んでいた。要するにプレッシャーに押しつぶされた。

 日本でも支持率17%どころか10%もない野党が目白押しの状況でも党首の雲隠れは聞かない。赤信号みんなで渡れば怖くない。 という心境なのだろうか。

 いずれにしても早くエンリコを探し出さなくてはならない。エンリコの妻アンナ(ミケーラ・チェスコン)は、疎遠な双子の兄ジョヴァンニ・エルナーニ(トニ・セルヴィッロが二役)という哲学教授の存在をアンドレアに告げる。

 住所地を探し当てドアの向こうに立つジョヴァンニを見て一瞬言葉を失う。双子の兄弟とは聞いているが、まさに党首エンリコに見える。話してみるとエンリコと対照的な性格だった。明るく物怖じしないでズバズバと考えを言う。それがなんとも魅力的に思える。

 「凡庸な政治家は、凡庸な選挙民が作る。泥棒政治家を作るのは、泥棒志望の選挙民」さらに「瓜二つのニセ物と複製と模造品でバカを自覚するバカが国会にはいない」

 アンドレアの頭の中で、あるプランが芽生える。アンナに持ちかけ承諾を得る。

 エンリコの影武者ジョヴァンニは言う。「新たな破局が取りざたされている。その真偽はともかく、我々が目にするのは政治や産業が破局の上で富み栄える姿だ。我々はこうした事態にいつまで耐えるのか。もう充分ではないか。
 破局という言葉が他人事でないのがわが党ですが。我々が先陣を切りこの流れを断とう。我々は優柔不断で空疎な存在だった。あやふやで意志薄弱、万時が人任せだった。我々には明確に語る声がなかった。誰かが声を上げることがあっても、誰の耳にも届かなかった。
 私は誓おう。今こそ我々は変わる。私がここにきたのは、明日にこう言われないためだ。あの時代が暗かったのは、誰もが黙っていたからだと」

 国民の心に届かない言葉は、黙っているのと同じだと言いたいのかもしれない。そういえば日本にもこういう政党があるなあ。

 ジョン・F・ケネディの「国が諸君のために何が出来るかを問うのではなく、諸君が国のために何が出来るかを問うてほしい」というスピーチのもじりもあって大観衆を集め支持率が上向く。

 一方、パリのエンリコはダニエルの誘いもあって映画撮影の現場で手伝っていた。若い女性に言い寄られ鼻の下を長くして至福のときを過ごしたりする。が、かつての恋人ダニエルへの思いは断ちがたく、夫の留守中熱いキスを交わす。
 しかし、人妻になったダニエルとは続けるわけにいかず、置手紙とともに過去を清算した。この映画の題名「VIVA LA LIBERTA 」自由万歳とでも言いましょうか。いずれにしてもエンリコは自由を得たわけ。

 そして影武者が影武者でなくなり、ジョヴァンニがエンリコになった。

 よく分からないところもある。最初のシーンで党大会へ向かうとき、案内の女性の首に蛇の刺青があったり、ジョヴァンニが女性首相との会談で素足になってタンゴを踊る。まあ、そんな些細なことは気にしなくてもいい。

 二役を演じたトニ・カルヴィッロは出演当時54歳、54歳にしては老けている感じだが、なかなか味のある俳優で余情の残る映画だった。
  
監督
ロベルト・アンドー1959年1月イタリア、パレルモ生まれ。

キャスト
トニ・セルヴィッロ1959年1月イタリア、ナポリ生まれ。
ヴァレリオ・マスタンドレア1972年2月イタリア、ローマ生まれ。
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ1964年11月イタリア、ペドモント生まれ。
ミケーラ・チェスコン1971年4月イタリア生まれ。

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私たちの家庭にも起こるかもしれない「普通の人々」1980年制作

2017-01-02 16:09:56 | 映画

               
 子供は両親にとってかけがえのないもの。子供から見る両親とはどのように映っているのだろう。よく言われるパパっ子とかママっ子も比重がどちらかに傾いているに過ぎない。

 自分の少年期を思い返してみても、平凡で何も起こらなかった家庭に育ったせいか両親について特段の思い入れはない。まさに普通の家族だった。

 ところが兄弟のうち兄が事故死した場合はどうなっていくのか。それを描くのがこの映画。二枚目俳優ロバート・レッドフォードが44歳のとき監督しアカデミー賞監督賞をものにした作品。

 イリノイ州に住む高校生のコンラッド(ティモシー・ハットン)は、悪夢に悩む日々。食欲がなくかろうじてコーラス部と水泳部で気分転換を図っている。父親カルビン(ドナルド・サザーランド)とは会話も出来ているが、母親ベス(メアリー・タイラー・ムーア)とはどうもしっくりと行っていない。カルビンをベスに言わせると「八方美人」となるが、良識のある聞く耳を持つ男。ベスは個性的で信念を貫くタイプの頑固者といってもいい。子供に対する考え方も「自分の子供を愛するのは当たり前、だからと言って甘やかすのは間違っている」

 正論だ。しかし、コンラッドがうつ病まで発症する事故のあとでは事情が違う。兄とヨットで帆走中、嵐に見舞われ転覆した船底で兄の手を握っていたが翻弄する波は兄を湖中に引きずり込んだ。コンラッドの悪夢に常に出てくる場面だ。

 精神科医バーガー医師(ジャド・ハーシュ)との対話を通じて徐々にコンラッドの心奥が見えてくる。悩める子羊には、見える愛情表現が必要だった。

 この映画の導入部で物語のアウトラインが暗示されているのではないだろうか。広い海、海に見えるがイリノイ州は海に面していない。シカゴを中心にミシガン湖と接している。
 そして秋色濃い公園、高校のコーラス部の練習風景。コンラッドが歌っている。ある舞台で寸劇をカルビン・ベス夫妻と友人夫妻が鑑賞している。二人の夫は眠っている。外に出た男たちはつまらないと言う。
 車で帰宅したカルビン・ベス夫妻のイリノイ州のナンバープレートがクローズアップされる。二階の寝室に向かう途中コンラッドの部屋がある。ベスは一瞥もしないで寝室へ。カルビンはノックをしてコンラッドの様子を見る。

 広い湖は事故を、公園は時季を、コーラス部は恋のきっかけを、寸劇は付き合わされた夫たちのささやかな抵抗を、ナンバープレートは場所を、コンラッドの部屋を素通りするベスは、コンラッドとの希薄な関係を暗示しているように思える。

 映画は映像でしか伝えるものがない。俳優の演技やセリフも映像を補完する重要な要因だが、こういう細部に目を留めると物語に厚みを加えることになる。とは言っても外国語映画では一瞬のナンバープレートを読み解くのはムリ。そこでDVDは便利だなあと思ってDVD派をやめられない。

 余談はさておき、コンラッドの快方に向かうきっかけが恋だった。そう、恋は万能の良薬。コーラス部のジェニン・ブラット(エリザベス・マクガヴァン)がその相手。

 青い目の美人に首っ丈になったコンラッドは、帰宅してベスにハグをした。ベスはそれに応えない。冷たい空気が周囲を包む。「おやすみ」と言ってコンラッドは自室に引き上げる。

 ベスの言う愛情は見せかけで、本心は愛のかけらもないと悟ったカルビン。兄の事故と共にすべての愛をなくしたベス。やがてタクシーはベスを乗せてカルビンの家を去った。残された父と子は、確かな絆を確かめ合うのだった。

 

 

 36年前に作られたこの映画を観ていると、1980年はどんな時代だったのか興味が湧く。主なものを拾ってみると
◆ヒューレット・パッカードが、初のPCを発表
◆ポール・マッカートニーが大麻所持容疑で成田空港で逮捕される
◆全国飴菓子工業協同組合が「ホワイト・デー」のイベントを開始
◆中国がIMF(国際通貨基金)に加盟
◆世界保健機構が天然痘根絶宣言
◆モスクワ・オリンピック日本不参加(ソ連のアフガニスタン侵攻で集団ボイコットに参加)
◆アメリカ大統領選挙ドナルド・レーガンになる
◆ジョン・レノン銃で撃たれて死亡
◆日本の自動車生産台数が世界1位に。
 で、53回アカデミー賞は、作品賞は、本作の「普通の人々」監督賞ロバート・レッドフォード。主演男優賞ロバート・デ・ニーロ(レイジング・ブル)主演女優賞シシー・スペイセク(歌え!ロレッタ愛のために)だった。

監督
ロバート・レッドフォード1936年8月カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。

キャスト
ドナルド・サザーランド1935年7月カナダ、ニューブランズウィック生まれ。
メアリー・タイラー・ムーア1936年12月ニューヨーク市ブルックリン生まれ。
ティモシー・ハットン1960年8月カリフォルニア州マリブ生まれ。
ジャド・ハーシュ1935年3月ニューヨーク市ブロンクス生まれ。
エリザベス・マクガヴァン1961年7月イリノイ州エヴァンストン生まれ。

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