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認知症を利用した復讐劇とでも言おうか「手紙は憶えている」2015年制作 劇場公開2016年10月

2017-05-08 15:50:18 | 映画

               
 老人ホームで目覚めたゼヴ・グッドマン(クリストファー・プラマー)は、「ルース」と妻の名を呼ぶ。返事がない。部屋から出て看護士に聞くと「1週間前に亡くなった」と言う。落胆するゼヴ。

 朝食の席につくとマックス(マーティン・ランドー)が近づいてきて「頼んだことを憶えているか」ゼヴは首を振る。「じゃあ、こと細かく書いた手紙を渡すから、その通りにやってくれ」とマックス。ゼヴはどうやら寝起きに認知症を発症するようで、正常なときもある。

 手紙を受け取った夜、密かに老人ホームを抜け出す。一体なにをするのか徐々に分かってくる。ゼヴとマックスはアウシュビッツの生き残りで、家族を殺された怨念を晴らすべく収容所のリーダーを探し出し殺害を目論んでいた。

 マックスは呼吸器疾患で酸素ボンベが手放せない。従って実行するのはゼヴ。そして驚愕のラストが待っている。

 この驚愕のラストは、予見できたと思う。残念ながら私は、「そうか。うまく騙したな」と思うしかなかった。

 まずマックスがメンデルスゾーンの「ピアノ協奏曲第1番ト短調作品25」と官能的な美しさに溢れると言われるワグナーの「トリスタンとイゾルデ愛の死」をピアノで演奏する場面。二人ともドイツの作曲家だ。そしてこの2曲はマックス役のクリストファー・プラマーがピアノを弾いている。上手なのに驚いた。

 そして10メート先の男の額に銃弾を撃ち込む場面。ガン・ショップで拳銃を買うとき、使い方を忘れるから紙に書いてくれとまで言った男の腕は並ではなかった。ユダヤ人の男とは思われない。

 さらにカナダの国境を越えるときバスの座席に拳銃を置き上着を被せて隠すと言う手段を知っていた。一見無害な老人に見えるが一皮むけば何が出てくることやら。それは最後まで観ればハッキリする。老人と認知症を組み合わせたミステリーは、極上だった。

監督
アトム・エゴヤン1960年7月エジプト、カイロ生まれ。

キャスト
クリストファー・プラマー1929年12月カナダ、オンタリオ州トロント生まれ。
マーティン・ランドー1931年6月ニューヨーク市ブルックリン生まれ。


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