中一文庫 coral

◆2/6、coralでの小説投稿終了◆

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2013-02-24 08:56:56 | トップページ
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短編小説『Alien's Heart』13(中一LINK対象小説)<終>

2013-02-06 22:00:00 | Alien's Heart
「なあ、奇跡を壊すの、やめてくれないか」
「何言ってんの?」
 冬華が不思議そうな顔をする。
「だって、こいつは如月の命を狙っていたやつだよ? 生かしてなんておいたら、またいつか……」
「だからって、殺したら同じじゃないか」
 その言葉に冬華は黙り込んでしまった。
「そんなことしたら、あいつも僕らも……」
 と、そこまで言いかけたときだった。
 奇跡の入ったキーホルダーが突如、緑色に発光し始めた。と次の瞬間、この家を丸ごと吹き飛ばすかのような爆風が起こり、僕たち3人は揃って家の外に飛ばされてしまった。
「竜君、捕まって!」
 風和里が僕に向かって叫んだので、俺は風和里の手を掴んだ。すると風和里はエイリアンの能力を使ったからなのか、何事もなかったかのように平然と地面に着地した。
「大丈夫?」
「あ、ああ……」
 全く、風和里たちには命を助けられてばかりだな。まあこいつらと出会うまでは命が危険に晒される事もなかったといえばそれが事実なんだけど。
「風和里、あれ!」
 急に冬華が真正面を指差しながら叫んだ。見るとなんと、瓦礫の陰から奇跡が登場した。
「瞬間位置交換光線を、当てたはずじゃ……?」
「驚いているようだけどね、冬華」
 奇跡は髪を右手で分けると、目を赤く光らせていった。
「もし何かの状況で自分が入れられることだって想定済み。だから脱出なんて私にとっては凄く簡単な事」
「貴様!」
 冬華が身構える。どうやらまた奇跡と冬華の戦いが幕を開けたらしい。勘弁してくれ。
 僕は争う以外にも解決方法はあるのではないかと思うんだが。
「油断したな」
 えっ? 今奇跡が、油断したなって言ったよな? 一体何のつもりだ?
 と次の瞬間、奇跡は僕のところまで一気にワープ。僕の手を取ると、再び冬華と風和里から離れたところにワープした。つまり、風和里の手の中から、一瞬で僕は奇跡に盗られたって言うところか!?
「そんなっ!?」
「竜君!」
 さすがにキーホルダーの中には入れられないみたいだ。それだけでもちょっと安堵したが、ため息をつける状況ではない。これから僕をどうするつもりなんだ? 越谷奇跡。
「なあ奇跡」
「何?」
 僕が奇跡に声をかけると、奇跡の赤い瞳が、僕を見つめた。
「お前は、どうしてこんなことするんだ?」
 俺が一番聞きたかった事を、奇跡に尋ねた。
「それは……」
 それは?
「口封じ」
 口封じ!?
「竜君は、知ってしまった。私がエイリアンである事を。この事実を他の人が知ってしまったら、大変な騒ぎになる。例えば、マスコミが殺到するとか……」
 ま、まあそれは……
「だから、竜君が口外する前に、口封じをしなければならないの! 本当はこんな事したくないけど、でもそうしないと、私自身が!」
「待て奇跡! 僕はそんな事しない!」
「……」
 あの奇跡の目から、涙が零れ落ちている。
「そんなの……」
 そして奇跡は僕に告げた。
「そんなの、信じられない」
 それは、あまりにもショックだった。
「今、何て……?」
「信じられない。人間なんて」
「それはどういう意味なんだ!?」
「人間なんて、私から見て、秘密を守る気なんてさらさら無い。口だけではいくらでも言う事ができるけど、結局その口は秘密を守るために永遠に閉ざされる事はない。私の存在もいつかはばれる。だから、私はエイリアンである事を隠し続けるには、その秘密を知っている人間を消滅させるしかない」
 そうか。だからこいつは、風和里や冬華から、その組織から、悪性エイリアンとしてみなされているのか。悪性エイリアン、要するに人に危害を加えるってこと。奇跡の手を出す人間は、自らの存在を知っている人間。つまりこの場合、僕。
「あの学校に転校して、本気で竜君に一目惚れして、いい彼氏になってくれると思ってたのに……こんな別れ方、絶対に無いよ」
 僕はくっと唇をかみ締めた。自分でも何故だかよくわからないけど、とても悔しかったのだ。
「竜君、今そいつを破壊するから!」
 風和里が僕に向かってそう叫んだ。だが僕は、
「待ってくれ!」
 と返した。風和里はその言葉に、一瞬攻撃の手を止めた。
「頼む。少し時間をくれ」
 俺は服についている泥を手で払うと、奇跡の目を見つめた。
「奇跡。僕の目を見ろ」
 奇跡は赤い瞳で僕を見つめ返してくる。よし、今なら説得できるかもしれない。
「奇跡。人間って、お前が思っているほど冷酷で、卑怯なやつじゃないんだ」
「そんなの嘘……人間は汚くて、卑怯で」
「僕もそうなのか?」
「えっ!?」
 俺は奇跡の心に訴えかけるように、言葉を発する。
「お前の目には、僕もそう映っているのか?」
「それは……」
 何で、奇跡はそんな僕に一目惚れしたんだろうな……
「奇跡」
「もういい」
 へっ!?
「もういいよ、竜君」
 奇跡は右手をすっと出すと、エイリアンの能力を発動させたのだろう。バチバチとはじける光のようなものを出した。
「おい、お前……」
「竜君」
 そして奇跡は最後に言った。
「さよなら」
 奇跡は僕の体めがけて攻撃を仕掛けてきた。
「ちょ、如月!」
「竜君危ない!!」
 二人もそれに気づいて、大急ぎで僕のところまで駆けてくるが、最早間に合わない。
 このまま、僕は死ぬのか? いや、まだやるべき事があった。まだ死ねない。
 僕は奇跡の右腕を左手で掴むと、空いている右手で奇跡の身体を寄せた。そして僕は、思い切って奇跡の唇に、自分の唇を重ねた。
 さすがに奇跡も、この行動には驚いているだろうな。
 案の定、奇跡は現状が全く理解できていない様子だった。竜君一体何を? と、奇跡の目が僕に言っているかのようだった。
 僕は唇を離して奇跡を見つめた。何も言わずに。
「竜君、どうして……」
 僕には、こうするしか思いつかなかった。死ぬのなら、せめて最後に、と思ったのだ。
 なぜなら、僕は奇跡が好きだから。
 奇跡の作ったクッキー。あれは本当に美味しかった。あれを一枚食べてから、僕の気持ちは奇跡にまっすぐ向かって行ったのだ。
 奇跡は僕のために作って、それは本当に、僕の好きな味だった。
「奇跡……好きだ」
「えっ?」
 奇跡は僕から視線を逸らす。
「卑怯だよ竜君。こんなところで告白なんてされたら……私、竜君のこと、もっと好きになっちゃうじゃない!」
 奇跡は僕の身体を駄々をこねている子供みたいに殴った。
「馬鹿! 竜君の馬鹿!」
 その後、奇跡は僕を潤んだ目で見つめると、
「私も、竜君のことが好きです……」
 その頃、風和里と冬華はこんなやり取りをしていた。
「如月、何やってんのよ」
 冬華が僕のところに駆けつけようとするが、風和里が止めた。
「今は、2人きりにさせてあげよう」
 その後、風和里はポケットから携帯を取り出すと、
「もしもし、日光風和里です。この度、越谷奇跡が良性である可能性が出てきました。本部のほうで再検討をお願いします」

 もちろん、今の話はあとで風和里から聞いたものだからな。
 あれから、俺と奇跡は真面目に付き合う事になった。
 エイリアン? そんなの僕には関係ない。しかもいくらエイリアンであっても、奇跡は人間と全く同じ造りらしい。奇跡本人の話によれば、エイリアンの能力というのは奇跡の元となる細胞に人間には無い改良を加えたものであり、その細胞を人工的に成長させて越谷奇跡を生み出したってことらしい。つまり奇跡は人工授精児のようなものであって、そこを除けば奇跡は他の人間と同じだってこともわかった。
 つまり何が言いたいかというと、奇跡は人間なのだ。エイリアンといえばそれは地球外生命体って気がするけど、単に奇跡が作られた場所が地球の外にあるってだけで、奇跡は本当に人間だったのだ。
 まあ、宇宙で生まれたのだから、エイリアンである事にも変わりは無いんだけどね。
 そんなこんなで、僕は今、幸せな日々を送っている。
 奇跡が良性と判断された事で、冬華と風和里は奇跡が再び暴走しないように見張る、監視役を新たに任されたらしい。これにてあの問題は一件落着。今日の帰り、初めてあった日のように、あの店でパフェを食べに行くつもりだ。
「じゃ、行こう竜君」
「そうだな」
 もちろん、今回は割り勘で。

「そういえば奇跡が僕の家に来るの、初めてだよね?」
「ううん」
「え、前にあげたっけ?」
「以前一人で来た」
「どういうこと?」
「竜君の事をずっと見ていられるように、カメラを仕掛けに!」
「何やっとんじゃー!?」
 僕は急いで家中を探し回った。
「ここにも、あ、あそこにも!」
 立派な犯罪行為だぞこれ!
 おいおい、落ち着け僕。奇跡を犯罪者として警察に突き出すのか?
 馬鹿な、僕がそんなことするわけ無いだろ。と自分に言い聞かせて僕は深呼吸をした。
「ふーっ」
 これも、奇跡なりの愛情表現なのだろうか。
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短編小説『カウンター・アース Counter‐Earth』14(coral版最終)

2013-02-05 22:00:00 | カウンター・アース
「鍵かかってる」
 しまった、これはまずい。中に入れないともう一人の僕に見つかってしまう危険性が高まる。一刻も早くエクシリアを見つけなければ。
 でもエクシリアを探しに校舎内を歩き回れば、逆に見つかる可能性がある。くそっ、どうすりゃいいんだよ!
 何かないか、いい方法は……!
 僕は周囲を見回す。何か少しでも、この状況を打破するために……
 すると僕の目に映ったものは……
「これだ」
 生徒会室から、二つ部屋を挟んだ所に、放送室がある。これでエクシリアを呼び出せば、行けるかもしれない。幸いそこまで距離もないし、これがもっとも安全かつ確実な方法だろう。
僕は放送室までかけていき、扉をノックもせずバタンと開いた。放送室の中にいた人たちが目をまん丸にして僕を見つめる中、僕は叫んだ。
「生徒会長を呼び出したいんだ、ちょっと貸してくれ」
 一応首を縦に振ってくれた。スイッチを校内放送に切り替えて、マイクの電源を入れると、彼らは僕に席を譲った。
 僕はマイクに向かって、念じるように声を出した。
「生徒会長のエクシリア・フランデール・ソニカさん。至急放送室まで来てください」
 2分後、放送室の前にエクシリアがやってきた。
「ごめんなさい、私としたことがついうっかり」
「いや、別にいいんだ。それより早く鍵を開けて」
「はい」
 エクシリアが生徒会室の扉を開けた。ここに入るのはエシリカと初めて顔を合わせたとき以来だ。
「ここに生徒会長室があります。少し散らかってますけど、くつろいでください」
 そうエクシリアは言っているが、どこが散らかっているのか逆に聞きたくなるほど、綺麗に整理整頓された部屋だった。机の上にある書類が若干無造作に置かれてるくらいだな、重箱の隅をつつくように言えば。
 そんな中、授業開始の予鈴が鳴った。
「あっ、もう行かないと。それじゃあ、昼休みにもう一回来るね」
「うん」
 エクシリアは部屋を出て行った。
 さて、何をしようかな……そういえばエクシリアは、学校でも結構大変そうだ。なんせこんなに山積みの書類を机に置いているのだから……
「……」
 僕は、自分でも上手く表現できない、複雑な気持ちになった。
 
 結局、エクシリアが再び生徒会室にやってきたのは、放課後の事だった。
「ごめんなさい、昼間忙しくて顔を出せませんでした」
「いやいや、お構いなく」
「それじゃ、帰ろう」
 帰り道を、エクシリアと並んで二人、歩いている。何故だか最近、僕はエクシリアのことをやけに気にしてしまうようになった。自分は多忙で毎日目まぐるしく動いているって言うのに、僕のことを気遣ってくれている。なんだか、申し訳ない気持ちとエクシリアの体が大丈夫かどうか心配してしまうようになった。
「今日の10時ですね」
「うん……」
 後4時間半。僕は本当の自分を取り戻すために、負の世界と言うまた別の世界へ行く。あの3人や、エシリカや、リリスの二人、そして、エクシリアも。


中一文庫coralでの小説投稿はこのお話を持って終了となります。1年と2ヶ月の間、ご愛読ありがとうございました!! これからは中一文庫ANOTHERをよろしくお願いしますっ。
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短編小説『Alien's Heart』12(中一LINK対象小説)

2013-02-01 22:00:00 | Alien's Heart
「はい?ちょっと調子に乗らないでくれないかな?」
奇跡の発言を受けて冬華がいきなり喧嘩口調になった。
「ちょっとこれはマズい事態になってきちゃった...」
風和里がつぶやいた。
「おい、そこの焼き餅女、何のんきに実況してんだよ。お前ら二人ともまとめて始末してやるから。」
「残念だけど、越谷さんのしょぼい攻撃が私たちに効くかな? 私たちがあなたより性能が高く作られているの、知ってるよね? 対悪性エイリアンとして」
風和里が嫌味みたいに言い返した。
「は? だからなんだって言うのよ。とにかくお前ら2人片付けてやるわ!」
 そして次の瞬間奇跡は小さい声ながら、確かに言った。
「金縛りビーム」
金縛りビームって、何か案外ダサい名前だなおい。でもさっき奇跡はそれで僕を動けなくしたのか?
それはとにかく奇跡が腕を延ばして必死に光線か何かを出そうとしているが風和里、冬華が腕を前に出すと光線が跳ね返されて消えた。
「効かない……!?」
奇跡がくやしがっている隙に冬華が腕を勢いよく延ばし赤色の光線のようなものを手から放った。
「隙有り!熱線銃!!」
 だが、
「...ちっ、はね飛ばしやがった!」
「私からも、光線銃!」
 風和里もこの戦いに参戦した。
「こうなったら……スモールビーム!! やっぱり効かなかったか。」
お互いに腕から光線みたいなのを出して攻撃を仕掛けているが、どれも防がれてしまって上手くいかない。戦闘がずいぶん激しくなってきた。

...ってあれ? なんか急に周りの景色がやたら大きくなっていくのはなんでだ?! 周りを見回しても3人のとてつもなく大きい足しか見えなくなったってどういうことだ!
まさかさっきのスモールビームとかなんとかのこぼれ弾が当たって体が小さくなってるんじゃないよな?! 
...まさかと思ってもう一度辺りを見回してみるが、やっぱり予感は的中していたみたいだった。と、とにかく助けを呼ばないと...
「おい風和里、気付いてくれ!」
僕は、はるか上空に見える風和里の顔めがけてとにかく必死に叫んだ。
「あれ、そういえば竜君はどこ行った?」
風和里が頭を左右に振りながらそう言っているのが聞こえた。やっぱり声が全然届かないみたいだ。なんせ風和里の足が自分の身長の2倍に見えるくらいだもんな。
「あは、竜君いただき!」
"うわ、なんだ?"
奇跡がそう叫ぶのが聞こえると僕の目の前の風景が突然、ガラス越しにやたら大きく映った風和里と冬華の顔に変わってびっくりした。
とても窮屈で身動きが出来ない。奇跡に瞬間移動させられたのは予想できるけど一体今どこに閉じ込められているんだ?
首をあちこちに回してみると上の方に糸とそれをつまんでいる大きな指が見えた。どうやら僕はガラス製の箱らしきものの中に入れられ、奇跡に持ち上げられているらしい。
「竜君なら、このキーホルダーの中にいるよ。」
え?キーホルダーの中? って奇跡のやつどんだけ小さくしてんだよ!
 いや突っ込むところはそこじゃない! どうにかして脱出しないと……
奇跡が手を大きく動かしたせいで、キーホルダーが大きく揺れて気分が悪くなってきた。
「え? 如月いつの間に! 今助け...」
風和里が何かを放とうとしたが奇跡がすぐに言い返した。
「でも変なことしたら、このキーホルダーの下についてるボタン押しちゃうよ。えへへ」
奇跡のもう片方の手が足の下のほうへ動いた。っていうかボタンって一体なにするつもりなんだ?! 風和里達が固唾を飲み込んでいるのが見える。
「このボタンを押した瞬間、超高圧電流が竜君に流れちゃいます。あはは」
っておい、何だよそれ! やめろ奇跡! 必死に逃げようとしたがガラスの壁に囲まれて動けない。どうすればいいんだ...
「ちょっと、人質とるとか卑怯って思わないの?」
冬華が怒っているのがガラス越しに聞こえる。
「卑怯? 元々卑怯なのは2人でしょ? 私と竜君の恋路を邪魔するなんてさー」
 そして奇跡は僕の入ったキーホルダーを催眠術で使う5円玉振り子のようにして風和里と冬華の目の前で見せると、
「私の言う通りにしないと本当に押しちゃうからね。」
 と言い放った。
「じゃあ私たちにどうして欲しいわけ?」
風和里が奇跡に尋ねているのが聞こえる。
「とりあえず私に降伏し...」
「喰らえ光線銃!」
"なんだなんだ?!"
急にキーホルダーが大きく揺れた。奇跡が話している隙に冬華が光線を放って攻撃しようとしたが奇跡がよけたらしい。
「あれ?私の言うこと最後まで聞こうよー。 とりあえず冬華ちゃんが変なことした罰として……」
って何するつもりだ、やめろ?! 急に足が上に持っていかれて頭が天井に激突し痛みが走った。奇跡が急にキーホルダーをひっくり返したである。
「うわー、逆立ちしてる竜君かわいい。こんなのもいいなー」
"いい加減にしろ、頭に体重がかかって痛いじゃないか!"と叫んでみたが全く聞こえていないらしい。
「じ、じゃあ早く話の続きをしてよ。」
「...とにかく私に降伏してくれればいいの。」
「降伏って何するの?」
冬華が奇跡に尋ねる。
「ここに、あんた達の入るキーホルダー用意しといたから。あんた達もこの中に入ってくれれば、代わりに竜君を出してあげてもいいけどー、あ!もちろん中から超能力は使えないようになってるから御心配なく、あはは。」
横を向くとそのキーホルダーが見えた。ということは今あんなのに閉じ込められてるのか!
って今思ったけど中に人間を閉じ込めて超高圧電流を流すためのキーホルダーなんて聞いたことないぞ、あいつら恐ろしいな...
「い、いやよ絶対そんなの。」
「じゃあ竜君には...」
っておい本当にボタン押すつもりか?! おい助けろ風和里!!
「...だったら私は入ってあげてもいいけど...」
お、さすがは風和里! 奇跡の手が止まった。...ってさっきから逆立ち状態でそろそろ限界なんだけど、早く戻してくれ......頭に血が上る。
「へえ、焼き餅女は降伏で冬華ちゃんは反抗すんのか、面白いね。じゃあ、」
奇跡が手を延ばすと風和里は一瞬のうちに消え、隣のキーホルダーの中で逆立ち状態にされ苦しそうにしていた。
「まあ一人は降伏してくれたから竜君は元の向きに戻してあげる。」
うわ! いきなり僕の入ってるキーホルダーが元の向きに戻ってようやく普通の向きになった。びっくりしたがとにかく助かった。
「いやー焼きもち女もこうしてみると可愛いもんだね。いやー面白い。」
奇跡が風和里の入ったキーホルダーの糸を持って夢中に回し始めた。きっと風和里のやつ相当目が回っているだろうな。お気の毒に。
「今だ!」
冬華の大声が突然聞こえると、あっという間に僕と風和里は元の大きさに戻り、床には空のキーホルダーとそしてなんと小さくされた奇跡の入ったキーホルダーが落ちていた。
「え?いきなり何が起きたんだ?!」
あまりに突然すぎた事に驚いた僕は冬華に尋ねてみた。
「私が隙を狙って、瞬間位置交換光線を出して3人の位置を一瞬で入れ替えたんだよ。」
瞬間位置交換光線? あのキーホルダーもそうだけど、ほんとこいつら何でもありだな。
「いやあ本当に目が回った、けど助かってよかったね。じゃあ如月、あれの下についてるボタンを押しな。超高圧電流で越谷、いやAH-01を破壊できる。」
「え? じゃあ...」
破壊という言葉に一瞬圧倒された僕は床に落ちた奇跡が入っているキーホルダーを拾い上げた。小指より小さな奇跡が必死で何かを叫んでいるのが見えた。ということは、さっきはこんなに小さくされていたのか。キーホルダーの下に親指を当てたが、どうも押せない。いや、押したくないのかな...
「......やっぱり押せないよ。」
「え? 何言ってんの? 如月が押せないなら私が押してあげようか?」
冬華が不思議そうな顔をして手を延ばして来た。
「...やっぱり殺す、いや破壊するなんてやめないか?」
なんでだろう、急に越谷奇跡が愛おしく思えてきた。ふと窓を見てみるともう真っ暗だ。僕は深呼吸をした。
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短編小説『カウンター・アース Counter‐Earth』13

2013-02-01 22:00:00 | カウンター・アース
「明日の、午後10時……」
 妖精とミナミが家を出て行った後、エクシリアは僕に不安そうな面持ちで呟いた。
「うん……」
 僕はこんな事しかいえなかった。本当は大丈夫、心配いらない、と声をかけてあげたいのだが、生憎僕自身も不安に押し潰されそうなのだ。負の世界というところは、リリスの二人が言うには魔物が生息しているらしい。でもそこに行かないと、僕は元の世界に帰れない。
 でも僕は男の、元の自分に戻りたかった。だから行かねばならない。
 ふと僕は、エシリカのほうを見て思った。そういえば、エシリカがリリスと契約をしていたって話は前々からあったけど、リリスに協力を依頼したのはあいつだった。つまりエシリカは、僕のためにリリスに頼んだんじゃないんだろうか。
「じゃあ、私そろそろ行くね、今日日直だから早めに行く」
「あ、わかった」
 エクシリアがかばんに荷物を入れる。そして今日の授業に必要なノートや教科書をつめながら、僕にこう聞いてきた。
「ねえ、今日どうする? 家にいる? 学校に来る?」
「いや、学校はちょっと……」
 するとエクシリアは顔を上げて、
「いや、生徒会室にいればいいから。特に会長室なら、誰にも見つからないとは思うけど……」
 アルストロメリアには生徒会室の他に生徒会長室まであったのか。設備いいなあそこは。
「じゃあ、そうさせてもらっていいかな?」
 というわけで、エクシリアが日直当番で先に家を出て、僕はエシリカとともに登校する。
 二人で通学路を歩いているとき、僕は思わず聞いてしまった。
「なあ、もしかして僕のために、リリスに協力を……?」
「くくくく。闇の力は人の心をちゃんと読み取れるんだぞ」
 誰かエシリカの言葉を翻訳していただきたい。結局意味はわからぬままだが、僕はエシリカに、
「ありがとう」
 と言った。するとエシリカは急に顔を赤らめて、
「あ、あくまで闇の声に従っただけだぞ」
 と、僕から目線を外していった。ツンデレっぽいけど、女の子らしいところも見せるんだな、エシリカは。
「ほら、着いたぞ、さっさとエクシリアのところに行け」
「はいはい」
 僕は昇降口で、自分の靴をかばんにしまい、代わりにスリッパを出してすぐ右の階段を上がる。3階まで上って、そのまままっすぐ行けば、もう生徒会室だ。ちなみに、会長室は生徒会室の中にある。
 向こうの世界と学校の構造は変わっていなかったのが、助かった。
 生徒会室に到着した僕は、部屋のドアを開けようとしたのだが、ここで一つ問題が発生した。
「あれ、鍵かかってる」
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短編小説『赤色迷宮』15<終>

2013-01-31 21:00:00 | 赤色迷宮
 そこには、本来存在しないはずの、エレベーターがあった。
「エレベーター。何で?」
「わからないけど……初、巡。乗ってみるしかないよ」
 私はエレベーターのボタンを押す。どうやら私たちのいる階に止まっていたらしく、ドアがすぐに開いた。
「あの、先生や1年生は、後から順番に来てください。重量オーバーなので」
 ここでブザーどうこうでもめても時間の無駄なので、私は予めそう言い、エレベーターに乗り込む。
「量子、見て!」
 乗り込んだ直後に、巡が目を丸くした。
 そして巡の指差した先には、
「な、何で……階が2つしかない!?」
 ボタンがあったのは、B3とRのみ。これは、まるで私たちを屋上へと導いているかのようだった。
「とりあえず、行きましょう」
 私はRのボタンを押して、プールのある屋上へと向かう。
「初」
「何?」
「私ね、あの次亜塩素酸ナトリウムって書いてある薬品。あの中身、多分それじゃないんだと思ってる」
「その中身が、原因だってことか?」
「うん。だってうちの学校、理科大附属じゃない。開発途中の新薬が間違って届いてしまったなんて可能性も十分あるわけだし」
「なるほど」
 着いた、屋上に。
 エレベーターのドアが開いたとき、私は言葉を失った。
「……」
 なぜなら屋上、つまり外であるはずなのに、辺りは真っ赤のままだったからだ、空までも。
「量子」
「はっ!」
 初の言葉で我に返った私は、大急ぎでプールまで行く。
「これは……」
 私たち3人は一斉に腰を抜かす。
「水、真っ赤だ……」
「まさかここまでとは」
「本当にどうにかしちゃってるよ」
 私、初、巡と、もはや夢の中にいる感覚さえするほどになっていた。
 しかしここで、私はあることに気がついた。
「ちょっと待って……そういえば私昨日帰り際に、プールの中にBTB液落としちゃったはず」
「はあ!? ちょっと何してんのよ!」
「いや、だってあそこの隅、見えにくいけど私がBTB液を入れていた容器が浮いてる」
 巡が私のさしたほうを、目を細めて見つめる。
「ああ、あった、あれね」
「だけど、それがなにか関係あるのか?」
「ありありよ。確か私予備のBTB液、今持ってる」
 何で持ってるのかって突っ込みいれられそうだけど、昨日私BTB液の入った容器を三つ持ってきていて、まだかばんに入れっぱなしだった。
 私はかばんから容器を取り出してふたを開けると、中のBTB液をプールにすべて注入した。すると、
「赤く、なった……」
 水が元々赤いので見えにくいが、水より濃い赤に色が変わったのがわかる。
「あれ、そもそもBTBって赤になるのか?」
 初がふと疑問を感じて私に尋ねる。
「そう。通常BTBは赤にはならない。黄色、緑、青の3色って教わったはず。でも、薄めていない100%塩酸とか、そういうきわめて強い酸性には赤くなるの」
「そうなのか、でもよく知ってるな」
「こういうの、好きだから……」
「てことは、さっきお前が言っていた何とかナトリウムってのは強酸性なのか」
「いや、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性」
「アルカリ性!?」
「そう、だから赤くなるなんてまずありえない」
「じゃあ、この中に入ってるのは……」
「さあ、わからない。でもこれで、プールの中に得体の知れない、今回の事件を起こした原因となる薬品が入ってる事がわかった」
 そこへ、先生たちや1年生が到着した。ちょうどいい。
「先生、来て早々申し訳ないんですけど、プールの水を全部捨ててください」
「ああ、わかりました」
 先生たちは管制室に入る。
「量子、捨てれば治るの?」
 巡が私に聞いてくる。
「いや、わからない。でもこの水は危険だから、一刻も早く捨てないと」
 それから、解決策を考えよう。
 プールの水がみるみる減っていく。水すら赤く染まってしまったこの世界にいる限り、赤色はトラウマになってしまうだろう。3日くらいは見たくない色だ。
 そして約10分後、プールの中にあった水がついに、全てなくなった。
 その瞬間、今までいた世界がまるで夢だったかのように、赤く染まった空や壁や地面が瞬く間に元の校舎の色に戻ったのだ。
「あれ?」
 一瞬私も戸惑った。
「戻った……?」
 どうやら初も同じ状況みたいだ。
 少しの間、静寂が続いた。だがそれは巡の言葉によって破られた。
「やった! 戻った!!」
 その瞬間、この場にいる誰もが喜びの声を上げた。
 また同時に、拍手も起こる。
「ふう……」
 私は安堵し、全身の力が抜けてその場にしゃがみこむ。
 そこへ初が駆け寄ってきた。
「量子」
「だ、大丈夫……」
「戻ったな」
「うん……」
「お疲れ様」
 初に突然そう言われて、私は一瞬何と答えていいのかわからなかったが、その後私の出した回答は、静かに笑う事だった。
「ねえ初」
「ん?」
「今日、私の家に泊まっていって」
「へっ!?」
「ダメ……?」
「いや、別に、いいけど?」
「決定。それじゃあ帰ろうか」
「そうするか」
 多分この事態が起きたから、当分の間休校だろうね。

 そして翌朝、私と初が朝食を食べながらテレビを見ていると、こんなニュースが流れ出した。
「昨日、県内の理科大附属中学校の生徒20名ほどが不審死しているのが見つかりました。発見された遺体の多くは、頭部が潰れた状態であり、警察が身元を確認して――」

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短編小説『Alien's Heart』11(中一LINK対象小説)

2013-01-30 22:00:00 | Alien's Heart
「あーあ。もう正体がばれてたんだ」
 奇跡の超能力のせいで言葉を発する事ができない。うっかりしていた。
「私、大好きだったのに……」
 奇跡が顔を近づけてくる。そしてまた服のボタンを外し始めた。
「でも、私がエイリアンだって知ったら……大多数の人間とは違うって知ったら……」
 奇跡が下着姿で、僕の顔を手で撫でる。いや触るって言った方が適切か? と次の瞬間奇跡は僕の頬あたりに顔を密着させるといってもいいくらいに近づけると、舌の先で僕の頬を舐め始めた。奇跡はこれでいい気分なのかもしれないが僕にとっては感触がどうも……
 奇跡はその後、僕の目を見て、衝撃的な言葉を発した。
「もうこのことを知ってしまったのなら……」
 そして、最後に僕に語った言葉は、
「竜君……さよなら」
 そして奇跡は僕から少し離れたところに瞬間移動すると、右手を僕のほうに突き出した。すると奇跡の右手に水色に光る球体のようなものが出現した。まがまがしいオーラを放つそれは、まるで僕に殺意を持っているかのように。
 ちょっと待て、奇跡は今、さよならって言ったよな? ということは、本気で僕を……!
 やめろ、奇跡!! ――って、言えない……
 と、その時だった。
「如月!」
「竜君!」
 冬華、風和里!
「遅くなってごめんね、竜君。今助けるから」
 奇跡が何かをつぶやいた。するとさっきまで僕にかかっていた金縛りのような超能力が一瞬にしてとけた。
「おお。風和里、サンキュー!」
 自由になった俺は、奇跡の方を向いた。
「ちっ、何でお前らが」
 今舌打ちしたよな?
「越谷奇跡。あんた、如月に何しようとしてるのよ?」
「せっかく私が普通の女の子として竜君と一緒に過ごしていたのに……」
 冬華が奇跡に怒りの矛先を向けている間、風和里は必死に僕のことを心配してくれた。
「大丈夫? けがはない?」
「ああ、うん。大丈夫……」
「ばれちゃったのね」
「ごめん。でもまさか、殺されようとは思いもよらなかったよ」
「私も」
 本当に、冬華と風和里が助けに来てくれなかったら、今頃僕はどうなっていたことか。
「お前ら二人、マジで殺す……」
 奇跡の赤い目が光、まっすぐに冬華と風和里を見つめた。どうやらここから、エイリアン同士の超能力バトルが始まるみたいだ……。
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短編小説『カウンター・アース Counter‐Earth』12

2013-01-29 22:00:00 | カウンター・アース
「魔物!?」
 一体どんなRPG風世界なんだ? その、負の世界って言うところは。
「というわけで皆さん……」
 ミナミはここにいる全員に尋ねた。
「既に契約済みのエシリカさんと息吹さんは除いて、負の世界に行きたい人は我々と契約して体内に魔力を宿してもらう必要がありますが……」
「構わない!」
「行かせてください」
「ウチも」
 まだ説明も終わってないのに、美香、ミキ、実果! あっさり決断出すな!!
「わかりました。妖精さん、後はお願いします」
「はい」
 次にミナミはエクシリアのところへ向かうと、
「後はエクシリアさん、あなただけです」
 そう、あのお気楽な3人とは違い、エクシリアは契約に慎重な姿勢をとっている。理由、何が起こるかわからないからだと思う。
「エクシリア。無理しなくても……」
「いえ、私も行きます!」
 何ですと!?
「エシリカのことが、心配なので……」
 ああ、なるほど。それはわかる。あの3人は面白半分だと思うけど、エクシリアの言っている事はもっともだ。
「それでは、ここにいる全員、契約という事でよろしいですね?」
 ミナミの問いかけに、全員が首を縦に振った。
「わかりました」
 ミナミは残っていたお茶を全部飲み干すと、後は任せた、といった感じのアイコンタクトを妖精に送った。
「それでは、皆さん。明日の午後10時に、もう一度ここに集まってください」
 どうやら契約とかの話は翌日になるらしい。まあ新たに4人分の契約準備なり何なり必要だろうしな。
「それでは、私たちはこれで」
 妖精とミナミは荷物をさっとまとめると、1分足らずで家を出て行った。
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短編小説『Alien's Heart』10(中一LINK対象小説)

2013-01-25 22:00:00 | Alien's Heart
無駄に広い部屋、5個程皿に残ったクッキー、そして元通りになった奇跡が戻って来た。
「............」
「............」
な、なんだこの無駄に長い沈黙は?! とりあえず残りのクッキーを口に運んでみる。
「それにしてもこのクッキー、実に美味しいね。どうやって作ったの?」
「どうやってって言われても竜君への愛情たっぷり込めただけだよ。ほら、」
「ちょっと待った!もう脱ぐ展開要らないから。」
奇跡がまた手をボタンに延ばしやがった。全く油断も隙もないな。
「えへへ、バレちゃった。」
えへへじゃない。そうこうしているうちに皿に残ったクッキーは一個だけになった。
「あ、これ食べていいかな?」
一応奇跡に聞いてみた。
「うん、いいわよ。」
「なんか僕がクッキー全部食べちゃって悪いな。」
「気にしないで、全部竜君のために作ったんだから。」
僕は最後の一個を口に運んだ。

「じゃあ、もう遅いからそろそろ一緒に寝ようか?」
「はい?」
また面倒な展開になってきた。
とにかく何とかしないと...
「いや、でも... あ!そうだそうだ、そういえば晩ご飯はどうする?」
「ああ、すっかり忘れてた。今すぐ作るね。」
「じゃあ僕も手伝おうか。」
「うん、いいよ。でも後は火をつけて待つだけだから。」
「え? でもいつの間にそんなに料理進んでたんだ?!」
「あ、それなら簡単だよ。遠隔... い、いや竜君迎えにいく前に準備しておいたんだ。えへへ。」
「......へえ、仕事、早いね。」
奇跡が口を滑らして慌てていたが、それ以上に慌てているのは僕の方だ。
きっと僕と話をしている間に超能力で遠隔操作して料理を進めていたのだろう。

そうこうするうちに鍋の中には美味しそうな熱々シチューが、そしてみるみるうちにシチューが皿に盛られていった。

「じゃあ食べようか、竜君。」
「うん、いただきます。」
「いただきます。」
こうして僕達はシチューを食べ始めた。それにしても、いくら冷ましても熱くて食べられない。
それにしても奇跡はよくこんな熱いのを平気で食べられるんだ? あ、機械だからか。たまに忘れそうになる。
「竜君、おいしい?」
「いや熱くてまだ食べられてない。」
「じゃあ私が冷ましてあげようか?」
「自分で冷ますからいいよ。」
フーフー... そろそろ冷めてきたかな? 一口シチューを食べてみた。
「なんかこのシチューすごく美味しいね!」
「だって竜君が手伝ってくれたもん。」
「え? いつ手伝ったっけ?」
「竜君が来てくれた、それだけでもうわたし...」
おいおい、なんかまた変な雰囲気になって来たぞ。なんとか話をそらさないと...
「あ!そうそう、そういえばもうあのドラマの時間じゃないのか?」
「そうだね、じゃあテレビ見よっか。」
ーピッー
奇跡がリモコンを押すと吊り下げられた部屋の照明が急に暗くなり天井からスクリーンが下りてきた。ずいぶんハイテクだな。
そしてスクリーンにテレビの画面が映し出された。

ーーファミリーセット二人分頼んで何ぼけーって座ってんのかな? なんか待ち合わせとかじゃないの? え?じゃあ付き合ってたのかよ。ーー

出演者の顔がこれでもかという程大きく映し出されている。
「なんか映画館みたいだね。いやあ凄いなあ。」
「えーそんなに凄いかな?」

なぜなのか分からないけど僕はいつも映画館で寝てしまう。あの暗い感じに弱いのかなあ...
という訳で眠くなってきた訳だ。だんだん意識が遠のいていく...

「...竜君、竜君!」
「...あ!ごめんごめん、あんまり凄い設備なもんだからついつい寝ちゃったよ。」
気付くとドラマの次回予告が流れていた。今思えば他の人からしたら設備が凄いのと居眠りするのって全然関係ないじゃないか。
「まあ竜君も疲れてるもんね、今日は一緒に寝ようよ。」
「......いやいや今日は帰らないと...... ほら親に泊るって言ってないしさ」
なんとかして抜け出さないとマズい。
「大丈夫大丈夫、電話ならさっきして許可もらったから。」
「仕事早すぎだろ!それはともかく帰らせてもらうから。」
僕は急いで部屋を出ようとした...が、あれ?首から下が固まって動かせない。
「あれ? おかしいな。もしや奇跡、超能力を使って僕を、あ!...」
ついつい口を滑らせてしまった。奇跡の表情が一変した。
「竜君、もしかして私について何か聞いた?」
「いやいや、知らない知らない。とにかく奇跡、超能力を解いてくれ解いてく...」
僕は必死に逃げようとしたがついに口も動かせなくなった。奇跡の目が光っていた。
「ちなみにどんなに逃げようとしても無駄だからね。どうせ風和里とかいう焼き餅女に聞いたんだろうけど今超能力を使ってあんたを動けなくしたから。さて、どこから遊ぼうかな?」
...ど、どうすればいいんだ?! ていうかこれまで"竜君"って呼んでたのに突然"あんた"呼ばわりされてるし...
ま、まさかこれって風和里達が言ってたアレか...  とにかく誰か助けてくれー!...
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短編小説『カウンター・アース Counter‐Earth』11

2013-01-25 22:00:00 | カウンター・アース
「元の世界に、帰れないだと!?」
「そうだ。二つの世界をつなぐ聖なる扉は、今閉ざされてしまっている」
 今エシリカの言っていることが本当そうで怖い。いや事実そうなんだろう。なぜなら今こそ少し邪気眼交えに話しているが、さっきのあいつは、完全に中二病というものを感じないほど、焦っていた。
「それ、本当なのか?」
 僕は妖精とミナミにも尋ねる。すると二人とも、本当である。と答えた。つまり今のままでは、僕はこちらの世界で女として過ごさなければならなくなってしまう。それははっきり言ってお断りする。
「何とかならないのか?」
「今原因を調査中です」
 さすが妖精。ナイスだ。
「ですが、おそらく連絡不通なのは向こうとこちらの間でネットワークが遮断されてしまっているのではないか、と思います」
 え? どういうこと?
「後ほど説明いたします。原因の判明まで時間がかかりますので、その間に、例のお友達を」
 そう言われたので、僕は美香、ミキ、実果に電話をかけた。幸い、元々僕がいた世界とこっちでは3人の電話番号は変わっていなかった。
「すぐ来るってさ」
「じゃあ、お茶の準備をします」
 こういう時でもエクシリアはお客さんに対するおもてなしを忘れない。えらいなあ、エクシリアは。
 15分後、3人が家に到着した。そしてリリスは3人に今起こっている事の全てを話した。そしてどうやら妖精の読みどおり、連絡不通の原因は向こうとこっち、2つの世界の間でネットワークが遮断されていたというのだった。
「このネットワークを再接続するためには、こちらと息吹さんが元いた世界、すなわちこちらと向こうの世界……息吹さんはもともと私たちから見て反世界の住人ですから彼にとっては向こうが正世界になってしまうため混乱しやすいので、息吹さんが元いた世界をカウンター・アースと呼ぶ事にしましょう。こちらとカウンター・アースの中間に存在する世界。すなわち負の世界に行く必要があります」
「負の世界??」
 また新たな用語が出てきた。
「簡単に言うと、狭間の世界。そこにいって問題を解決しなければならない」
 ミナミが妖精の説明を要約してくれるのはありがたいが、僕には全くわからん。
「つまりですね……」
 妖精は近くにあった紙をとると、図を書いて説明してくれた。
 我々のいる世界と、息吹さんのいたカウンター・アース。その狭間に存在する負の世界に何らかのトラブルが起こり、両世界の連絡が取れなくなっているのです」
 そういうことか。やっと理解できた。
「それで、その負の世界に行かなきゃならないんだけど……」
 ミナミはそこまで言うと、ひとつ深呼吸をしていった。
「負の世界には魔物がいるので、リリスと契約をして魔力を得ないと危険ですよ?」
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