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企業内論理、行政の小役人ども、保守的教条主義的な裁判官、政治家たちがミスリードする、この国の未来は、途轍もなく暗い  (報道スクラップ)

2017-04-04 | エッセー


企業内論理、行政の小役人ども、保守的教条主義的な裁判官、政治家たちがミスリードする、この国の未来は、途轍もなく暗い  (報道スクラップ)

報道スクラップ

朝日新聞2017年4月3日朝刊より

(社説)避難解除と福島復興 多様な生き方支えてこそ
                          
 福島第一原発事故に伴う避難指示が、県内の4町村で相次いで解除された。放射線量が特に高い区域を除き、新たに3万人余りが住み慣れた地に戻れるようになった。
 だが、事故から6年がたち、避難者の境遇や思いは複雑だ。戻る人や、戻らないと決めた人だけではない。「戻りたくても当面は戻れない」「迷っている」といった声も多い。
 当たり前の日常を奪われた人々の暮らしを再建し、コミュニティーを作り直す道のりは、長く険しい。避難者たちが悩みながら選んだ多様な生き方を、国民全体で支える。それを土台にしなければならない。
 (略)
 ■すれ違う行政と住民
 避難解除は、国が時期を示し、自治体が受け入れる形で進んできた。一足早く解除された5市町村では、戻った住民は平均で1割余り。避難が長引いたところほど、帰還率が低くなる傾向もみられる。
 自治体には「避難指示が続くと、ふるさとを未来につなげることが困難になる」(宮本皓一・富岡町長)という危機感が強い。公設民営型の商業施設をつくったり、地元に戻る人に引っ越し代を補助したりと、呼び戻しに必死だ。
 一方、避難を続ける人への支援は縮小する方向だ。避難指示を受けた人への慰謝料の支払いは来年3月分で終わる。住宅の無償提供も避難解除後、段階的に対象地域が狭められている。
 指示区域外からの自主避難者も、住宅の無償提供が今年3月末で打ち切られ、条件つきの家賃補助に切り替えられた。
 避難者団体などからは「帰還か移住かの『踏み絵』を迫るのか」といった反発がやまない。住民説明会や議会との協議が重ねられたとはいえ、解除は避難者にとっては行政が決めた区切りでしかない。戻る人ばかりに目が行きがちな行政の姿勢が、その他の住民を遠ざけていないだろうか。
 避難者一人ひとりの状況を把握し、自立にたどり着けない人には、避難先で住宅や就労の支援を丁寧に続けるべきだ。
 (略)

武良コメント

 原発事故の被害者への補償や、避難に追い込まれた人たちへの住宅等の「支援」を、何故、国や東電側が「打ち切る」権利があるのか、理解に苦しむ。
 この事件の被害主体は被害者にある。国や東電は加害責任者である。
 被害主体者が、まだ立ち直れず、持続的な補償と支援が必要だと言っているのだから、国と東電という加害者は、その思いに寄り添って、被害者が「もういいよ」と言うまで補償と支援を無条件継続する義務がある筈だ。
 それが何故か、こういう「事件」の場合、主客が逆転して、補償の程度と期間を加害者側が決めるという倒錯した不可解な現象が起こる。
 話が解りにくいのなら、単純化して教えてやろう。
 例えば、あなたが隣家の者に家を壊されるという被害を受けたとしよう。
 隣家の者が勝手に被害調査をして、被害は家の半壊だが、壊れやすい経年劣化していた家なので補償は四分の一にすると、あなたに言ったとする。
 あなたが激情タイプだったら、逆上して隣家の者を殴るか、殺してやりたくなる筈だ。
 それを思い留まったとして、あなたはこう思うだろう。
 もうとても住めたもんじゃない。心が折れそうだ。別の場所に新しい家を丸ごと提供するくらいの補償をして欲しい、と。
それと同じことだ。
この単純明快な理屈が、この国では通らない。 

 「水俣事件」でも、財務防衛的カルト集団の統計思考によって、被害者たちはやり場のない怒りに苦しめられてきている。
水俣病による偏見と差別によって、故郷を離れ、水俣出身であることも隠して生きてきた患者たちが起こした裁判(一九八二年に提訴された水俣病関西訴訟)の第一審判決文(一九九四年)を、石牟礼道子氏は『苦海浄土』の第二部で引用している。それが次のくだりだ。

 今や、劇症型の忠者はほとんどいないので水俣病であるかどうかの鑑別診断は困難となっている。その場合ボーダーラインを引いてしまうと、救済を受けるものとそうでないものとに分けられてしまうので、有機水銀暴露歴を有する者の症状が水俣病である可能性は○%からI〇〇%まで連続的に分布しているという考え方をとることにする。よって、原告患者らの水俣病の可能性は一五%から四〇%であるからそれに応じて慰謝料は三○○万円から八〇〇万円とした。

 地域性や食習慣から切り離された有機水銀の保有量に還元されてしまえば、水俣病の個別の特性は無化されてしまう。
水俣出身者の有機水銀汚染のデータを一般的な有機水銀含有の分布値に置き換えるという、この統計思考。こうして統計学的に抽出したデータに基づいて、「原告」個人が水俣病のである可能性は一五%から四〇%などと言って除けて、なんの疑問も、人間的ななんの呵責も感じないのが、この国の企業内論理、行政の小役人ども、保守的教条主義的な政治家たちの思考パターンである。
 ここにあるのは、統計学を装った、賠償金額の上限を暗黙の前提に置いた恣意的な矮小化以外の何ものでもない。
原発事故による低線量被曝のリスク測定でも、高線量被曝を基準にした汚染範囲の判定にも、この思考パターンが働いている。

それと同じことが避難解除に伴う補償の打ち切りという仕業に如実に表れている。
このように、今を生き、苦しみ悩んでいる人間に寄り添おうとしない、企業内論理、行政の小役人ども、保守的教条主義的な裁判官、政治家たちがミスリードする、この国の未来は、途轍もなく暗い。


報道スクラップ 追加
朝日新聞2017年4月5日朝刊

帰れない原発自主避難者、復興相「本人の責任」 撤回せず


 今村雅弘復興相は4日午前の閣議後会見で、東京電力福島第一原発事故で今も帰れない自主避難者について、国が責任を取るべきでは、との記者の問いに対し、「本人の責任でしょう。(不服なら)裁判でも何でもやればいいじゃないか」と発言した。記者が重ねて質問すると「出て行きなさい」などとして質問を打ち切った。同日夕、記者団に「感情的になったのはおわびする」と釈明したが、自主避難者への発言は「私は客観的に言ったつもりだ」と撤回しなかった。
 自主避難者は、国の避難指示を受けなかった地域から、被曝(ひばく)を心配し遠方に避難した母子ら。福島県によると、昨年10月時点で全国に約3万人おり、国と県は避難先での住宅の無償提供を3月末で打ち切った。強制避難者に比べて東電の賠償や国の支援が薄く、福島県民の「分断」につながると指摘されてきた。
 閣議後会見で今村氏は、自主避難者の支援に国の責任がないか問われ「福島県が対応し、国は県のサポートをする。この図式でこれからもやっていく」と説明。帰れないのは自己責任と思うかとの質問には「基本的にはそうだ。国はできるだけのことはやった」とした。さらに質問しようとした記者に「何で無責任だと言うんだ。無礼だ。もう二度と(会見に)来ないで下さい」と机をたたき、「うるさい」と会見を打ち切った。 (大月規義)

武良コメント


「本人の責任でしょう。(不服なら)裁判でも何でもやればいいじゃないか」

とは、どういう頭の構造をしていれば出る言葉か。
 被害を蒙った「結果として強いられたこと」を「本人の責任」とは。
 この問題の責任は東電と国にある。被害者にそれを強いた原因をつくったのだから。
 国と東電の責任であって、避難を強いられた人の責任ではない。
 この単純なことも理解できないボンクラ大臣ばかりが、今の自民党という集団の実態だ。
 日本政治史上、まだ一度もまともな内閣と与党は生まれていない。
 その中で今の内閣と与党がいちばん最低のクズ議員の集まりだ。

再追加 報道スクラップ


朝日新聞2017年4月6日朝刊

「切り捨てたい国の本音」 自主避難者ら反発 復興相発言

 今村雅弘復興相が、東京電力福島第一原発事故で今も故郷を離れたままの自主避難者について、「本人の責任」などと発言した問題で、自主避難者からは反発する声が上がっている。
 「自主避難者を切り捨てたい、国の本音が出た」と福島県いわき市から前橋市に避難している丹治杉江さん(60)。国や東電の責任を認めた前橋地裁訴訟で、原告の一人だ。
 国と福島県は3月末、避難先での住宅の無償提供を打ち切った。発言はこうした国の姿勢の延長線上にあると感じる。「逃げたのが悪いという社会の空気も、避難者が戻れない理由の一つ。発言はその空気を助長する」。今村氏は「裁判でも何でもやればいい」と自主避難者を突き放すような発言もした。弁護団は「裁判に訴えなければならなかった事情を全く知らないが故の軽率な発言」とする抗議声明を郵送した。
 2012年に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」は、居住や移動、帰還のいずれを選択した場合でも適切に支援すると定めている。自主避難者らで作る「ひなん生活をまもる会」の鴨下祐也代表(48)は「住宅の無償提供の打ち切りは法の精神とは逆。復興庁は施策を推進する役割を担っているはずだ」。
 今村氏は今年1月、会議の場で「福島の復興はマラソンにたとえると30キロ地点。ここが勝負どころだ」と言い、内堀雅雄・福島県知事が「まだスタートラインに立っていない地域もある」と反論した。鴨下さんは「今村復興相は実情を理解していない」と述べ、資質に疑問の目を向けた。
 県内に戻った人を支援する「みんなの家@ふくしま」の富田愛さん(47)は「戻った方も戻らない方も、自主避難者は常に自己決定を迫られてきた。自分の判断に責任が伴うつらさがのしかかっている」と話した。
 ■野党から批判
 今村氏の発言を巡り、野党各党は5日、「強く抗議する」などと批判の声を上げた。与党幹部からも苦言が続き、今後の国会審議の争点の一つとなりそうだ。
 民進党の榛葉賀津也参院国対委員長は記者会見で「怒りを覚える。大臣の資質がなく、謝ればよいという問題ではない」と批判。共産党の穀田恵二国対委員長も「資質に疑念を持たざるをえない」と述べた。
 一方、公明党の井上義久幹事長は自民党との会合で「大臣は冷静な対応をしてもらいたい」と要求。自民の二階俊博幹事長が「その通りだ」と応じた。
 菅義偉官房長官は5日の記者会見で、今村氏の発言の趣旨について「今後どのように生活を続け暮らしていくか、それぞれの家庭が自ら判断されることだと述べたものだ」と説明した。そのうえで、「今村大臣から私に『記者会見で感情的になり、一部冷静なやりとりができなかった』という報告があった。与党からの指摘を受けとめ、大臣として職責を果たしてくれると思う」と述べ、辞任の必要はないとの考えを示した。

(震災特需の深層)31社の半数に農水OB 復興談合疑惑、公取委立ち入り

 国発注の農地の震災関連事業をめぐる談合疑惑事件で、公正取引委員会が5日までに独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査をしたゼネコンなど31社の約半数に、農林水産省から天下りしたOBが在籍していることがわかった。公取委は同日、農水省東北農政局(仙台市)にも立ち入り検査を実施。業者間の受注調整疑惑の実態解明を進める。
 関係者によると、各社は東日本大震災後の農地の復旧・復興事業などで、事前に落札者を決めるなどの受注調整をしていた疑いがある。調整には農水省や東北農政局出身で業者側に再就職したOBらが関わっていた疑いがあるという。公取委は4日、東北農政局発注の農業土木事業を受注したゼネコンなど18社の本社や東北支社などの立ち入り検査に着手。5日にも建設会社13社に立ち入った。
 関係者によると、この計31社の約半数にあたる十数社に農水省OBが在籍しているという。
 公取委は31社とは別に、関係先として同農政局にも立ち入り検査を実施した。発注元への検査結果も踏まえ、こうした調整行為がどのように行われたかを調べる模様だ
。(以下、略)

武良コメント

 自主避難者たちへの無理解、誤解、偏見、そして復興事業に群がる官僚と企業。
 ここまで来たか精神の堕落、という感じで呆れてしまうニュースばかりだ。
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