ワンピースまんがぱうち(レビュー・ネタバレ)

ワンピースをまとめながら、フラグとなる詳細を記録しつつストーリーを追っていきます。

590話 弟よ  (ルフィの兄弟-9)

2017年02月20日 | 頂上戦争編




頂上決戦後、ガープは”東の海(イーストブルー)”のフーシャ村へと帰ってきた。この辺境の地にも、海賊が近付くようになり、村の人達はこれからの世界の不安をガープへぶつけた。
ガープは「これから・・・一時は世界中の海が不安定になる。油断するな」と言うと、港にガープ中将のテリトリーである事を示す看板を立てて、一応の措置とした。


ガープ帰還の報に、マキノの居酒屋で飲んだくれていたダダンが駆け寄って、込めれるだけの怒りを込めて殴りかかった。
「おいガープゥ!!!どのツラ下げて帰ってきやがったァーーー!!!!てめェあの戦争の現場にいて!!!あいつらの目の前にいて・・・!!!なぜエースを見殺しにした・・・・!!!家族より任務かよ!!!おいガープ!!!何が海軍の英雄だァ!!!くたばれ!!!クソジジィ!!!」






殴られながら、ガープの顔には次から次からダダンの涙が落ちてきた。
エースを生まれたての赤ん坊から育てたのは、幼く泣き虫だったルフィを育てたのは、この女だ。母親が息子の死を悲しみ、怒るのは当然で、ガープは殴られるだけ殴られた。それしかできなかった。

そのガープをかばったのはマキノさんだった。
「やめてダダンさん!!手の届く距離で二人を救えなかったガープさんが一番辛いに決まってるじゃない!!!」

ダダンは「・・・違う・・・、一番辛いのは・・・!!ルフィの奴さ!!!」と叫んだ。
ルフィがどんなに兄を慕っていたか、彼らがどんなに兄弟を失う事を恐れていたか、一番よく知っているのはダダンだった。
その言葉に、マキノはいつも兄弟の事を思って支えあってきた二人を思い出して、耐え切れずに店へと走って入った。あんなに兄が好きだったルフィの心・・・・。





ガープは、ルフィは生きておると告げた。
村長は言葉を飲み込み、ダダンはガープを責めるのをやめた。
「ルフィのバカが・・・、この先どんな海賊になろうとあたしはアイツの見方だよ!!あの野郎の今の気持ちを想うと、胸が張り裂けそうだ!!!」
ダダンは、その詰るような、張り裂けそうな気持ちを大声で叫んだ。この空の下、生きているならそれでいい。想いを届けたかった。「ルゥフィーーーーーーー!!!お前ェ!!負けんじゃねェぞォーーーー!!!!」






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その空の下、女ヶ島のルフィは苦しすぎる現実に、心と体が追いつかずに苦悩にのたうちまわっていた。
心配するジンベエにくってかかり、自分の体をボロボロに痛め続けた。
「向こうへ行け!!一人にしてくれ!!!おれの体が!!!何をしようが勝手だろ!!!黙らないならブッ飛ばす!!!」



ジンベエは、暴れるルフィを岩に押さえつけて言った。
「もう何も見えんのか!!どんな壁も乗り越えられると思うておった”自信”!!疑うこともなかった己の”強さ”!!!されらを無情に打ち砕く手も足も出ぬ敵の数々・・・!!!この海での道標だった”兄”!!
無くしたものは多かろう、世界という巨大な壁を前に、次々と目の前を覆われておる!!!それでは一向に前は見えん!!
後悔と自責の闇に飲み込まれておる!!

今は辛かろうがルフィ、それらを押し殺せ!!失った物ばかり数えるな!!無いものは無い!!確認せい!!お前にまだ残っておるものは何じゃ!!!」




そこまで一気に言うと、ジンベエはルフィから手を離した。
崩れ落ちたルフィは、自分の指を折って、まだ自分に残っているものを一つ一つ探した。
ゾロ・・・ナミ・・・、ウソップ・・・、サンジ、チョッパー、ロビン、フランキー、ブルック!!
自分に残っているものに気付いたルフィは、また泣いた。だけどその涙は兄を失った悲しみの涙とは違っていた。

「おれには・・・仲間がいる!!おれ達集合場所があるんだよ。・・・・行かなきゃ・・・・、あいつらに会いてェよォオ!!!」





仲間の存在を思い出したルフィを見て、ジンベエはやれやれと座り込んだ。これでとりあえずは一安心だ。
ジンベエは、インペルダウンでエースから弟の事を頼まれた時のことを思い出していた。
「ジンベエ、ティーチを追っていた航路で3年ぶりに弟に会ったんだ、一目会っておれは安心した。なぜだと思う?
おれがそこで見たのはよ・・・ジンベエ・・・・、もうおれの後ろをついて回るだけの昔のルフィじゃなかった!!あいつにはもぅ・・・頼もしい仲間達がいた。何があっても大丈夫さ。おれは安心したんだ」




エースは、サボから託された”想い”を、仲間達に託していた。
「できの悪い弟を持つと兄貴は心配なんだ。おめェらもコイツにゃ手を焼くだろうが、よろしく頼むよ」



サボの想いはエースに引き継がれ、エースの想いは、仲間達に引き継がれていた。
ルフィは一人ではなかった。








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