ワンピースまんがぱうち(レビュー・ネタバレ)

ワンピースをまとめながら、フラグとなる詳細を記録しつつストーリーを追っていきます。

41巻-397話 未来へ届くように (ロビンの過去-7)

2016年08月07日 | エニエス・ロビー編


 


サウロは、友達を守る事に自分の命を使うことを決意した。
正義が何か、正しいことは何か、真実は何かがわからなくなった今、信じれる事はそれだけだった。

「覚悟せェ・・・ワシを敵に回すとただじゃ済まんでよ・・・!!!」
そう言ったサウロは巨人族の力を発揮して、海軍の軍艦をかつぎ上げて投げ飛ばした。

オルビアの脱走を共助し、海軍を裏切ったサウロ中将が、海軍に攻撃をしかけるとなっては、サウロは海軍からの一斉攻撃をくらう。凄まじい量の砲弾の雨嵐の中に立つサウロが死んでしまう気がして、ロビンは怯えて泣いた。
学者達も、お母さんからも離れた今、ロビンにはサウロしかいないのに、サウロまで・・・!!!



サウロは必死だった。何としてもロビンを島から避難させねばならない!!
それが死を覚悟した友人との最後の約束で、自分を助けてくれた小さな友への恩返しで、それが自分の正義だったから。
「ロビン!!!今のうちに避難所へ逃げるでよ!!!もうこの島におっては助からん!!!!」


ロビンは助けてもらいたいわけじゃなかった。サウロに一緒に居て欲しかった。一緒に逃げて、一緒に生きてほしかった。だけど、大人達にその気持ちは伝わらない。
自分が死んででも、一人で逃げろとばかり言う。

前を向いてもサウロは一斉攻撃の爆撃の中で、後ろを振り返っても『全知の樹』は轟々と松明の如くに燃え上がっている。
ロビンは「お母さァーーーーーーーーん!!!」と叫んでみたが、返事はない。




かわりにサウロに「ロビン!!!お前の母ちゃんの望みは何だ!!!」と怒鳴られた。
お母さんの望み・・・それは・・・「生きて!!!ロビン!!!」という母の最後の言葉が頭に響く。


ロビンは涙を拭って走り出した。
生きなきゃ!!!避難船に乗らなきゃ!!!
だけど、船に乗った島の人々は、「妖怪!!!」「犯罪者オルビアの子など乗せられん!!!」と口々に罵りながらロビンを全身で拒否した。それでも中には、ロビンを乗せてやれと言ってくれる人もいて、【悪魔の実の能力】で手を伸ばすと、そんな人も海軍の人も一斉に「化け物だー!妖怪だー!」と逃げ惑い、ロビンはとうとう避難船に乗ることが出来なかった。




おまけにこの騒ぎでスパンダイン長官に見つかってしまい、ロビンはサウロのいた場所と逆方向へと逃げ出した。

戦闘中にもロビンの事を気にしていたサウロは、『CP9』の追っ手に見つかったロビンを守ろうと、ロビンを追った。
そのサウロの足を止めたのが、クザンだった。




「あららら・・『バスターコール』が元海兵によって阻止されたんじゃあ、格好つかないんじゃないの・・・」




サウロはクザンとまともに戦っても勝ち目のない事を悟り、クザンを説得にかかった。
「クザン!!おめェはこの攻撃に誇りが持てるのか!!?おかしいでよ!!!
お前も知っているハズだで!!これは"見せしめ"だ!!!その為にオハラを消すんだで!!!」



クザンは当たり前過ぎるこの愚問に答えた。
「それが今後の世界の為なら仕方ない。現に学者達は法を破ってんじゃない・・・!!正義なんてのは立場によって形を変える。
だからお前の"正義"も責めやしない。ただ、おれ達の邪魔をするなら、放ってはおけねェ・・!!!」


その話しの最中だった。
サカズキ中将の艦の砲弾海目掛けて火を吹き、学者ではない一般市民と救助に当たっていた海兵達を乗せた避難船を撃破させた。




それがサカズキ中将の正義だった。
「やるなら徹底的に!!!万が一、あの船に学者が潜んでいたら、今回の犠牲の全てがムダになる、"悪"は可能性から根絶やしにせねばならん!!!」




オハラが滅びる・・・それは学者だけではなく、オハラに住む人全員を殺すという意味であった事を知ったロビンはへたへたとその場に座り込んだ。学者であるかどうかなんて、もはや関係がないのだ。
サウロは「これでもまだ胸を張れるのかァ!!!」とクザンに攻撃を出すと、ロビンを連れて逃げ出した。「逃げるどロビン!!!あいつの強さは異常だで!!!」


クザンは「あのバカ程行き過ぎるつもりはねェよ!!!」と反論して、サウロの下半身を【アイスタイムカプセル】で凍りつかせた。もうサウロは逃げられない。サウロは握ったその手をそっと離してロビンを解放して言った。
きっと、これが最後の言葉になる。
「ロビン・・・逃げるでよ!!走るんだで思い切り!!!島内におったら命はねぇ・・、とにかくワシのイカダで海へでろ!!!ワシはここで捕まった!!行け!!!」




だけど、ロビンは拒否する。
海には誰もいない、サウロもいない・・どうやっ一人で行けばいいのかわからない・・・!!!
嫌だと泣き叫ぶロビンに、サウロは伝える。
わかって欲しくて、逃げてほしくて、生きてほしくて最後の言葉を伝えた。

「よく聞けロビン。今は一人だけどもよ、いつか必ず"仲間"に会えるでよ!!!
海は広いんだて・・・いつか必ず!!!!お前を守ってくれる"仲間"が現れる!!!
この世に生まれて一人ぼっちなんて事は、絶対にないんだで!!!!
走れロビン!!振り返らずに!!苦しい時は、教えたでよ、こうやって笑うんだで、デレシシシシシ!!!」









笑ってみせるサウロの足にクザンが手をかけて、【アイスタイム】でサウロの全身を凍らせていた。
巨人族の巨体が凍るまでに、そんなに時間はかからない。

それでもサウロは笑ってみせた。力の限りに笑ったみせた、それがロビンに生きる力になるはずだと。
最後の顔は笑顔で記憶に残してやりたいと、デレシシシシシと笑い続けた。
「デレシシシシどこかの海で・・・必ず待っとる"仲間"に会いに行け!!!ロビン!!!そいつらと・・共に・・・生きろ!!!」




ロビンは、凍って動かなくなってしまったサウロを置いて、泣きながら逃げた。



その間、燃え盛る『全知の樹』の中では、学者達が総動員で樹の中の本を外の湖へと投げ落としていた。
燃えてなくなるよりマシだ!!!文献を図書館の外へ!!!一冊でも多くの本を!!!一節でも多くの文章を残せ!!!
数千年もの先人達の言葉が・・・未来へ届くように!!!



その樹もとうとう全てが燃えて、倒れた。
全ての本を持ち出すことは叶わなかった。

学者達は、涙でかすむ景色の中で『全知の樹』の最期を見届けた。
悔しいとか哀しいの言葉で言い表すことなど、到底できるものではなかった。

ごめんねロビン・・・私は母としての言葉さえ、あなたに残せなかった・・・・。





サウロのイカダが置いてある海岸まで必死に走ってきたロビンは、その海岸にサウロを殺したクザンが先回りしているのを見て、足を止めた。
クザンはロビンの方を見る事なく、まるで独り言のように喋った。
「・・・徹底した正義は・・・時に人を狂気に変える。お前をこの島から逃がすことにした・・・。
サウロが守った"種"は、一体何に育つのか・・・お前が誰を恨もうと勝手だが、今は命があっただけよかったと思え。
この先は・・・なるだけ地味に生きるんだ。
氷のラインを海に引いておいた。小舟でただまっすぐに進めば陸に辿り着く。
そして覚えてとけ。おれは味方じゃねェ・・・。お前が何かやらかせば、お前を一番に捕らえに行く"敵"だ。」





幼いロビンに、クザンの理屈はわからない。
ロビンは「島にお母さんが・・・」と訴えたが、クザンは冷たく言い放った。
「誰も助からねェよ・・・。辛くて死にたきゃそれも自由だ。」



ロビンは小舟で海に出た。たった一人きりだった。

思い出されるのは、今朝『全知の樹』に行った時にクローバー博士や学者の皆がサプライズでお誕生日を祝ってくれたこと。
学者になれたこと。
逢いたかったお母さんに逢えたこと。
それが全部なくなったこと・・・・、
サウロが笑えばいいと教えてくれたっけ・・・・。
(笑ったらええでよ!!苦しい時は笑ったらええ、デレシシシ)




ロビンは一生懸命笑った。サウロみたいにデレシ!!デレシ!!と笑ってみたけど、それに応えて一緒に笑ってくれる人がいない。
やっぱり涙が溢れて止まらなかった。




轟々と燃える島の炎が暖かくて、明るくて、お母さんを、クローバー博士を、学者の皆をサウロを焼く炎がいつまでもいつまでも海を明るく照らし、その海にロビンは一人きりだった。




泣いても誰にも届くことはなかった。
この世界に、もう誰も生きてはいなかった。自分以外の誰も。
本当の孤独があるだけだった。
ロビン8歳の誕生日、全てを失くす。







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