まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【進撃の巨人】【カラダ探】【東京喰種】

進撃の巨人 17巻 67話-1 「オルブド区外壁---父との決別」

2016年10月13日 | 進撃の巨人
エレンは、自分の名前を呼ぶミカサの声に、深い深い眠りから引っ張り出された。
実際、エレンを巨人のうなじから引きずり出すのに、今回はいつもに増して苦労したのは、エレンの巨人が固まって溶けないから。

目を覚ましたエレンは、そこに自分の知らない光景があり、暫くは何が起きたかわからないで呆然とした。



目の前にあるのは、巨人。
だけどいつものソレとは違って、その形は崩れることなく留まり、その巨人の体からは柱のような物がニョキニョキと伸びていた。


ぼぅとそれを見上げるエレンに、リヴァイ兵長が声をかけた。
「高質化ってヤツだろう。お前を巨人から切り離しても・・この巨人は消えてねぇ。結構な事じゃねぇか」
確かに、どんなに頑張っても成功しなかった硬質化が成功したようだが、エレンは”結構な事”という気分にはなれないでいた。


エレンの目が床に転がる小瓶に停まった時、エレンの心臓がドクンと脈打ち、巨人化する前の記憶が甦った。
「あ・・!!あの瓶は!!オレとっさに「ヨロイ」の小瓶を呑み込んで巨人になって・・・・・」
エレンの言葉の続きを説明したのは、その手にボロボロの布を持ったヒストリアだった。
「ロッド・レイスの鞄を見つけたけど・・・瓶はもう残ってない」

再び落ち込みそうになるエレンに、リヴァイがエレンと同じ目線になるようしゃがみ込んで、言い含めるように事態を説明した。
「まだ他の場所にあるかもしれない。この瓶を取り込んだお前は、硬質化の力を使って崩落を防ぎ、俺達を熱と岩盤から守った。
お前は一瞬でこれだけの建物を発想し、生み出した。
つまりこれで、ウォール・マリアの穴を塞ぐことが可能になった。
敵も味方も大勢死んでさんざん遠回りした・・・不細工な格好だったが、俺達は無様にもこの到達点に辿り着いた・・・」


この事態が、長い日々に目的としたことで、手に入れたものの価値も大きく、重要な切り札を失うことなくここまでこれた。
決して作戦失敗ではないが・・・ここに来るまでの犠牲を思うと、喜べないのは他の皆も同じだった。


だが、エレンの焦燥感は、皆と同じではない。
父親の・・・世界を覆す程の大きな罪を知ってしまったのだ。
自分の生きている意味すら見失うほどの、取り返しのつかない罪。
エレンは、父親の事を思いだすと・・、父親の見た記憶が甦ると・・・、ズキリと全身が痛むような苦痛な辛さに襲われた。




その時、穴の外に出ていたコニーに呼ばれた。
まずは、ここを出なければ。

次の行動を取る気になれないエレンに、リヴァイ兵長は「それにしてもお前・・・ひでぇ面してるぞ」と言った。エレンは、泣きそうな、今にも崩れ落ちてしまいそうな顔をしていた。


穴の外では、アルミンがエレンを待っていた。
外に出るエレンに手を伸ばし、しっかりとエレンの手を握って引き上げたくれた。
罪深いその手を握ってくれた。






穴の外に出たエレンは、またも想像を超える景色をみて、言葉を失くした。
自分達がいた穴は巨大な陥没地となり、その地下の岩は、こうこうと不思議に明るく光っていた。



その陥没地の向こうには、超大型巨人の倍は軽くありそうな小山のようにデカイ巨人が、高熱のまま地を張っていた。
「あれが巨人?」とエレンは尋ねた。




アルミンは「この世の終わりかと思ったよ。突然地面が割れて、あれが這い出てきたんた。
いろいろ変だ。人間に興味を示さない・・・。元の人間の意思で操っていなければだけど・・・何があったの?」
と聞くが、その質問にエレンもヒストリアも答えなかった。一言で答えられる事ではなかった。


リヴァイ兵長は「あの巨人を追うぞ」と新兵達に指示を出し、皆は馬で小山のような巨人を追った。
馬車の荷台に乗せられたのは、怪我を負ったハンジと、脱力したエレンとヒストリアの3人。
そこでハンジは二人から、穴の中で起こった事を聞き出した。


ハンジは、エレンとヒストリアから聞いた話をまとめた。
・エレンの中にある特別な巨人の力「始祖の巨人」は、レイス家の血をひく者がもたない真価を発揮しない。
・しかしレイス家の人間が「始祖の巨人」の力を得ても、『初代王の思想』に支配される為、人類は巨人から解放されない。

ハンジは「初代王いわく、これが真の平和だって?面白い事を考えるじゃないか」と半笑いで皮肉った。

それに対してヒストリアは「まだ選択肢は残されています」と、エレンの顔を見た。
エレンは、ヒストリアに促されるように口を開いた。
「オレをあの巨人に食わせれば、ロッド・レイスは人間に戻ります。完全な『始祖の巨人』に戻すことはまた可能です」

エレンを巨人に食べさせるという方法に、ミカサは「そんな!」と反論したが、リヴァイは「そうみたいだな」と肯定し、エレンは死の覚悟が出来ている、と言った。

ミカサが、憔悴しきって生きる気力を失っているエレンを説得しようとした時、ヒストリアが強い口調で割り込み、皆に向けて饒舌に話しだした。
いつからそれを考えていたのだろう。
「選択肢はもう一つあります!!



まず、ロッド・レイスを『始祖の巨人』にするにはいくつかの問題があります。
洗脳を解くといっても、レイス家が何十年も試みて出来なかった事です。
また、力を得たロッド・レイスをどう拘束しようと、人類の記憶を改ざんされては敵いません。
他にも、こちらの知り得ない不測の要素が多分にあると考えるべきです。
むしろあの破滅的な平和思想の持ち主から『始祖の巨人』を取り上げてい今こそが、人類にとって千載一遇の好機なのです。」



それからヒストリアは、エレンに向き直して言葉をつづけた。
「そう・・・あなたのお父さんは初代王から、私達人類を救おうとした。
姉さんから『始祖の巨人』を奪い、レイス家の幼子ごと殺害したのも、それだけの選択を課せられたから」
と。



エレンはその言葉を聞きながら、もう一度父さんとの記憶をさぐった。
父さんは最後、泣きながら言ったのは・・・「ミカサやアルミン、みんなを救いたいなら、お前はこの力を支配しなくてはならない」



それは、こういう意味だったのか・・・・。
父さんは、そこまで見据えて行動していたのか・・・。
父さんを、信じていいのか・・・・。



混乱するエレンに、アルミンが「そうだよ!イェーガー先生が何の考えもなくそんな事するわけがないよ!!」と言い、ミカサも「そう!だからエレンに地下室の鍵を託した」とエレンの気持ちを引き戻そうとした。


イェーガー家の地下室。
ここに重大な秘密が隠されていることを、改めて皆は思い出した。

エレンの硬質化が成功し、壁の穴が塞ぐ目途がたった今、選択肢は一つしかない。
エレンの目に光が戻り、やるべき事を見つけて顔つきが変わったのを、リヴァイは見ていた。
「少しはマシになってきたな」



ハンジがヒストリアに聞いた。 「私も賛成だが、いいのか?ヒストリア。君のお父さんを殺すし他なくなる」

ヒストリアは、地面に這いつくばって進む醜い巨人を見ながら、父さんとの再会を思い出していた。
初めて肉親に抱きしめられたあの時・・・、私は・・・・。
「エレン、ごめんなさい。私あの時、巨人になってあなたを殺そうと本気で思った。
それも人類の為ではなく、お父さんが間違えてないって信じたかった。・・・・お父さんに嫌われたくなかった」









肉親をもたず、誰にも愛されずに生きてきたヒストリアは、少し黙ってから顔を上げた。
その顔は、決断した強い目をしていた。
「でも、もう・・・お別れしないと」



父とのお別れは、辛くて弱く、他人に流されて生きていたクリスタとの別れでもあった。





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