まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【進撃の巨人】【カラダ探し】など

四月は君の嘘 6話「後ろ姿」

2016年12月01日 | 四月は君の嘘
公生は、あの11歳の時のコンクールと同じような・・・暗い海の底にいるように、何も聞こえない、誰もいない世界に引きずり込まれた気がした。暗い・・・僕は暗い海の底で・・・ひとりぼっちになる


鍵盤を叩く音も、ヴァイオリンの音も、観客のざわめきさえも聴こえるのに、僕のピアノの音だけが聴こえない・・・!!!
こんな時に・・・!!!公生のピアノが、演奏を台無しにしていた。



審査員だけでなく、観客達もピアノ伴奏の異変にざわめきだした。
「ピアノ下手くそ」「邪魔すんなよ」「最初から弾かなきゃいいのに」
ピアノが、ヴァイオリンの演奏をぶち壊している事は、誰の耳にも、音楽は素人の椿でさえも明白にわかった。

僕は、ピアノを弾く手を止めた。
このまま弾き続ければヴァイオリニストの経歴に傷がつく・・・。
このままヴァイオリンの演奏だけでコンクールをのりきった方がマシだ、君の為、僕が演奏を止めるのは君の為・・・。



だが、かをりも演奏の手を止めてしまう。
ヴァイオリンのコンクールなので、伴奏のピアノが演奏を止めるのと、ヴァイオリンが辞めるのでは意味が違う。
彼女のコンクールはここで終わる。
観客は、この前代未聞の事態に驚き、ピアノにつられて止めてしまった事に大ブーイングとなった。
かをりの演奏に寄せられた期待が、不満へと一気に傾いた。

僕は驚いてかをりの方を見たが、かをりはまっすぐに前を向いて佇んでいる。
でも、僕には彼女のその背中から声が聴こえた気がした。
(大丈夫、私達ならできる。私は全力で弾く、聴いてくれた人が私を忘れないように、私は演奏家だもの)



彼女はヴァイオリンを構えると、公生を向いて「アゲイン」とだけ言った。
その目は、まっすぐに強い意志を公生に向けていた。



この先は暗い、夜道だけかもしれない。それでも信じて進むんだ。星がその道を少しでも照らしてくれるのを。



かをりの目には覚悟があった。ならその目に映った僕には?僕には・・・

その時、また君の声が聴こえた気がした。
(私がいるじゃん、顔をあげて、私を見て)


声に導かれるように、顔をあげて君を見る。君の背中を




僕は再びピアノを弾きだした。覚悟を決めろ!!!
音も楽譜もいつも譜面は目に入る所にあった。ずっと昼休みに聴いていた。
僕の中にあるものを引っ張りだせ、集中、集中、集中・・!

ヒステリックに鍵盤を叩く僕に、母さんが話しかける。
(公生、ピアノはあなたなのよ、優しく触れれば笑ってくれる、さぁもう一度)

音が聴こえないならイメージしろ!!体中で鳴らせ、母さんが僕に残してくれたものを引っ張り出せ



集中した公生は、2年のブランクがあったとは思えない、驚異のピアノを奏でだした。
審査員の男は(マジかよ・・!とんでもないな、なるで殴り合いだ、彼は彼女と同じ”独奏者(ソリスト)”だ!!)


その殴り合いに会場が呑み込まれてゆく







力強く、鼓動のように、僕を突き動かす、君の音が聴こえる・・・君がいる



僕は思い出していた。
昼休み、学校に流れるサン・サーンスの音に、僕の指は自然に動き、心地よく、幸せな気持ちであったことを。
もう僕は、新しい一歩を踏み出していたことを、暗い海だけでなく、明るい春の空の下に出ていたことを。



演奏が終わった時、観客は二人に惜しみない拍手を、大歓声を、賞賛を浴びせるように沸きあがった。
まるでライブ会場のように、その感動を体中で表現してみせた。



大嫌いだった乾いた冷房、ほこりの匂いが、聴衆の渦で埋まる
僕は旅に出る





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