まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【進撃の巨人】【カラダ探し】など

ファイアパンチ 39話 「スターウォーズ」

2016年02月09日 | ファイアパンチ
ふらふらするユダを連れて極寒の外に出た『氷の魔女』は、星空のよく見える小高い場所まで来ると足を止めて、空を指さした。
女の右手側は朝焼けが始まりだし、左手側にはまだ夜の星が真っ暗な空に輝いていた。

女は、ユダに背を向けたまま、まるで独り言のように「・・・雪が降らないと星がキレイに見えるね。小さい頃は星を見るのが好きだったらしいけど、もう・・・なんで好きなのか覚えていない・・・。長生きすると脳がパンクして勝手にいろんな記憶を消しちゃうんだ」

そう言うと、女はチラリとユダの方を見て、まだ夜の方の丘を登ってもう少し小高い場所まで行くと満天の星を見ながら話を続けた。
「今はもうそんなに好きじゃない。むしろ見ると罪悪感を感じる。旧世代の人達は、氷河期で枯れた地球を捨てて、他の星に行ったんだ。地球以外の星の人達はみんな容姿は平等で、常に幸福に覆われていて、攻撃性すら捨ててしまった。」




そこで女はクルリとユダの方を向くと、両手をいっぱいに空にむかって伸ばしながら「この綺麗な星々の光は、枯れた文明の灯火なのさ!」と明るく言い放った。




そしてユダの顔面近くまで詰め寄って、「だから、ここでやる事に罪悪感はいらないよ。・・・これから世界を暖かくする為の順序を言う」とまた一方的に説明を始めた。ユダはただ黙って立っているだけで、何も反応はしなかった。

「まず初めに、地球の生物の命すべてを奪い、ユダの糧にする。
地球上の私以外の生物は、残念ながらアグニ君も含めてみんな死ぬことになる。これだけでは氷河期を暖める程の熱は発生しない。
次に、他の星とキミが根をつなぎ、他の星の生物達の命もすべて奪い糧にする。ここまでやって、やっと徐々に世界が暖かくなっていく。
その後は私が一人で人間を産み育てる。それで終わりだ。
それでもユダが終わる事はない。意識があるかないかはわからないが、半永久的に生き続ける事になる」










固まったようにその場に突っ立つユダに、女は「もう全て動かなくなったか」と言った。
女は、ユダがそこで固まってしまうのを待っていたかのようだった。
抵抗が出来ないこと、女の言うように自分がここで生きる糧など何もなく、半永久的に生きつづけねばならない運命を知ったユダは、その目から涙を静かに一筋流した。それがユダの唯一の"動く場所"であったが、ユダの後ろの空は刻一刻と日が登り、朝焼けが美しく空を染め出していた。




ユダの涙に女はふれることなく、自分の話を続けた。
「・・・この右の顔だけユダと違うだろう、最初は私が木になろうとしたんだけど、・・ある思いが残ってて途中で辞めた。
ユダはなんでこんな世界で生きれるのか聞いたよね。それは・・・私に糧があるからさ。それの為なら一生だって生きてられるっていう糧が・・・」


女は、女の背後に広がる星空を見て、それから少し幸せそうな顔をして言った。
「スターウォーズの新作が、中途半端な所で終わったんだ。旧世代では小説や映画は見るのも作るのも禁止されてたんだよ。」


女はぎゅっと拳を握りしめると、決意の親をユダにまっすぐに向け。
「私は次の文明で・・・何万年時間をかけてもいい・・!スターウォーズが作られた年代と全く同じ文化と教養レベルを作って、スターウォーズの新作を見る!!!これはその為の破壊だ!」




その時の女の顔には、期待と希望がみなぎっていた。
全てはまだ見ぬ映画の為・・・!!!その為に生命は犠牲になり、ユダは半永久に木として使われると言うのだった。
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