まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【進撃の巨人】【カラダ探】【東京喰種】

進撃の巨人 18巻 71話「傍観者」

2016年10月17日 | 進撃の巨人
エレンは、シガンシナ区に初めて巨人が侵入してきた時の父の記憶の中にいる男が誰かを思い出した。
自分達が訓練兵だった時に指導された、鬼教官、シャーディスだ。

エレンは、リヴァイ兵長、ハンジさん、アルミン、ミカサ、ジャン、サシャの7人でシャーディスを訪ねた。

104期達を見たシャディス教官は「あれからたった数か月、皆、見違えるように変わった」と言った。



ハンジは「教官殿、ウォール・マリア奪還を目前に控えた我々が、今ここに詰め寄る理由を察しておいででしょうか?」と話を切り出した。

教官はしばし無言の後「エレン・・・お前は母親とよく似ている。だがその瞳の奥に宿す牙は父親そのものだ」と話を切り出した。
エレンは我慢できずに立ち上がって「話してください!!知っている事全て!!」と詰め寄ったが、教官は「結論から言えば何も知らない。人類の利にはなり得ない傍観者の思い出話でよければ聞いてくれ」と言って、話しを始めた。



私がグリシャと出会ったのは、20年前になるが、場所は壁の外だった。
その日の壁外調査は極端に巨人との遭遇率が低かったことを覚えている。
そして、ウォール・マリア、シガンシナ区壁門の目前に彼がいた。

馬にも乗らず、丸腰の調査兵団以外の人が壁外にいることに驚き「ここで何をしている!?どうやって壁を超えてきた!?」と聞いたが、彼はそれには答えず驚いた様子で「あ、あなた達こそ壁の外で何を・・・まさか、戦っているのか?」と聞いてきた。







とにかくここに居ては危険なので、シャーディスは彼を壁の中に連れて帰ったが、彼には帰るべき家がなかった。
彼は自分の家から出生から、壁の中の生活方式から常識までの一切の記憶を失っていたからだ。
シャーディスとハンネスは、記憶喪失の挙句、気付けば壁の外にいたあわれな男、ぐらいにしか思っていなかった。

男が覚えている事は「グリシャ・イェーガーである事と、医者であること」だと言った後に「私に教えてくれないか?この世界の事や、調査兵団・・・あなた達のことを・・」と言った。

シャーディスは、この記憶を失くした不思議な男に壁の中の事をいろいろ教えた。
グリシャは人々の暮らしをしきりに気にしていたが「貧富の差こそあれ、壁の中は平和なんだな・・・
少なくとも巨人に怯えて生きているわけではない・・・、よかった」
とつぶやいた。
壁の中の狭い世界に満足して生きるのが我慢ならなかったシャーディスは、「壁の中が平和でよかった」という言葉に噛みついた。


グリシャは「調査兵団が壁の外に出ていく理由」を聞いた。
シャーディスは「王政の壁外不干渉に疑問を唱える民衆の不満解消のために作られた組織だが・・・、今となっては人類が忘れていた巨人の恐怖を思い起こさせただけだった。
さながら私達は、王の正当性を示すための見せしめ・・・、馬鹿みたいか?」
と苦笑いしたが、グリシャは真っ向否定した。

「そんなわけないだろ、あなた達はこの壁の誰よりも賢く勇気がある。
調査兵団の存在は人間の想像力や魂が自由であることを示す証拠であり、人類の誇りそのものだ」
と言い切った。



その話を聞いていた居酒屋のカルラが口を挟んだ。



だがグリシャは「調査兵団はもっと特別な・・・選ばれし者でないと」と調査兵団を肯定し続けた。

特別な存在、えらばれし者。そんな事を言われたのは、初めてだった。
確かに私にとって壁の中は、狭すぎた。



その頃、調査兵団は金を使って死にに行く、変人の厄介な集団程度の扱いだった。
シャーディスは、自分が団長になれば狭い巣の中で満足している政府の役人達も驚く偉業を成し、皆が・・カルラも自分を認めるはずだと考えていた。

だが、そのカルラの心を奪ったのは、グリシャだった。
当時大流行した謎の感染症の薬を開発し、大勢の命を救ったグリシャは、特別な医者として市民に感謝されて受け入れられた。
カルラ自身の命と、カルラの両親の命を救ったグリシャに、カルラは心を寄せ、とうとう二人は結婚した。
シャーディスは、その頃からグリシャの顔を見れなくなっていった。









その頃のシャーディスは、調査兵団の団長に昇りつめていた。
だが思うように進まない壁外調査に、多数の死者を出す日々に、人々からの悪態に憔悴していた。
そこに拍車をかけたのが、調査兵団の頭脳派の部下、エルヴィンの存在だった。
エルヴィンは自分の力と数で巨人に対抗する方法ではなく、巨人との戦闘を避ける戦法を考えていた。

壁外調査からの帰還の度に、人々から非難の目を浴び、死んだ部下の親に詫びねばならない生活に疲れていた頃、その人々の中に
昔好きだった女、カルラが彼女によく似た赤ん坊を連れて立っていた。

そのカルラに「キースさん、このまま死ぬまで続ける気ですか?」と聞かれた時、彼はカッとなった自分が止められなくなった。

「なぜ凡人は何もせず死ぬまで生きていられるかわかるか?
想像力に乏しいから、死ぬまで自分の命以上の価値を見出さず、クソみたいな人生を恥じることもない。
偉業を成し遂げる事を、手当たり次第男に愛想を振りまき、酒を注いでまわるしか取り柄のない者になんぞに理解することは不可能だろう」
と言ってしまった。
カルラを責めることではなかったのに。




その後、シャーディスはエルヴィンに団長を譲った。
調査兵団史上、生きたまま団長が変わったのは、これが初めてだった。



特別な人間はいる、それは自分ではなかった。
私がそれをカン違いしてしまったのは・・・・グリシャ、お前の言葉だった。




シャーディスが団長を辞めた日、シガンシナ区が巨人に襲われた。
シャーディスはグリシャと偶然遭遇し、一緒にシガンシナ区にグリシャの家族の捜索に向かった。
どうしてもカルラにあの日の無礼を謝りたかったのだ。
だが、思い虚しくエレンの口から聞いたのは「母さんが巨人に食われた」とのことだった。



グリシャは息子エレンに「母さんの仇を討て」と言うと、山へと連れて行こうとした。



シャーディスはグリシャを呼び止めた。
「待て、仇はお前がうてばいいだろ、なにせお前は特別だからな。
でもその子は選ばれし者じゃないかもしれいぞ、お前の期待通りの人間じゃなかったらどうするんだ」

それはグリシャへの精一杯の厭味だったが「この子はあんたと違う。私の子だ」という言葉にもう何も反論できなかった。




父子は山へ入っていき、その山で雷のような強い光が放たれるのを見たシャーディスは、その場へと駆け付けた。
そこに居たのは、煙のあがるエレンが横たわるだけで、グリシャはどこにもいなかった。
以来、グリシャの姿を見た者はいない。





話を聞き終えたエレンは、シャーディスが拘った”特別な人間”の意味がわかる気がした。
「教官の言う通り、俺は特別でもなんでもなかった。ただ、特別な親父の息子だった。
巨人を託されたのは、やっぱりただそれだけの理由だったんです。それがはっきりしてよかった・・・」




あの闘志むき出しの荒々しいエレンの目は、光を失っていた。

シャーディスはカルラの言葉をエレンに伝えた。
「特別じゃなきゃいけないんですか?絶対に人から認められなければダメですか?
私はそうは思ってませんよ。少なくともこの子は…偉大になんてならなくてもいい。
人より優れていなくたって、だって、こんなにかわいい。だからこの子はもう偉いんです。
この世界に生まれて来てくれたんだから」










その母の言葉は”特別な人間””何かを成し遂げる人間”でない自分に落胆し、自分の存在価値を疑っていたエレンの心に響いた。母は自分という人間そのものを、何かをしなくても、自分の全てを受け入れてくれていた、それでいいんだ、と思えた。
全てのものに価値がある。それを知ったエレンの見る景色は、前と違って見えた。



そんなカルラの思いに反して、3年前に訓練兵として入ってきたカルラの子は、父親が願ったように巨人に仇を討つことを命を燃やそうとしていた。このままでは、父親の思惑通りに壁の外でその命を落とすだろう・・、母親の思いも知らずに。




シャーディスは、エレンが調査兵団を諦めるよう、訓練の装置に細工した。
今は辛いだろうが、それが母親の意思であり、この子の命をつなぐことだと思ったから。
でも、エレンは克服してみせた。
シャーディスは、障害を前に努力と根性で立ち上がるエレンを前に、自分がただの傍観者にすぎない事を自覚した。













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