2011年にオフシアターで観た日本映画は13本。オフシアター・ベストテンを選ぶのに迷うほど観てなくて、ちょっとサビシイけど・・・でも、「観られて良かった!」と思う作品が何本もあったから、いいことにしよう〜っと♪
などと書いたところで中断。母の葬儀だの何だのでぼ〜〜〜っとしている間に、「高知のオフシアター・ベストテン選考会」当日になってしまった。
珍しくも早めに、投票する作品10本を選んでおいてホントに良かったと思ったけれど、なぜその作品を選んだのか・・・なんてことは、既に霧の彼方〜。それでも選考会は楽しくて、4時間!があっという間だった。(結果はこの記事の最後に載せてあります。)
というわけで、観た映画のひとこと感想を。
『トイレット』(監督・脚本:荻上直子 )
同じ監督さんの『かもめ食堂』を観たとき、私はちょっと苦手だな・・・と感じて、次の作品『めがね』は観に行く気にならなかった。
この『トイレット』も大分迷ったけれど、結局観に行って良かったと思う。地元カナダの若い俳優さんたち3人が好演していたのが、たぶん一番大きい理由。彼ら自身の若さ、初々しさが、役柄でも正直に表に出ている感じがして、観ていて気持ちが良かった。
チラシに「監督のミューズ」と書かれていたもたいまさこさんは、「我が道を行く」を体現するようなカッコイイ日本人ばーちゃんの役。私はこういう人物設定からは、ある種の押しつけがましさ?のようなモノを感じることも多いのだけれど、このばーちゃんは紙一重でそれを免れていて、ラストの一言も素直にいいと思った。(なんとなく『ベルヴィル・ランデブー』のオバアサンを思い出した。でも、どちらかというと私はあのオバアサンの方が好き〜(笑)。)
『海炭市叙景』(監督:熊切和嘉 原作佐藤泰志)
厳冬期に観たこともあって、とにかく(スクリーン上の)雪景色が身に染みた。物語も本当に「寒さが身に沁みる」内容で、函館をモデルにした小説の映画化というのに留まらず、今の日本(特に地方都市)の現実を目の前に見ている気がした。
でも・・・降る雪が時にあたたかく見えることがあるように、 この群像劇に登場する人たちへの作り手の視線はどこか優しくて 、私も自分の故郷の雪景色、その冷たさと、懐かしさという名のある種のあたたかさ?を思い出しながら、家に帰ったのを覚えている。(谷村美月さんの演じた"妹"の途方に暮れた表情が、今も忘れられない。)
『いのちの林檎』(監督:藤澤勇夫 プロデューサー:馬場民子)
「化学物質過敏症」を扱ったドキュメンタリー。高知の患者グループ(ゆるゆる仲間)主催で上映され、私の知人もその一人だ。
とにかく「アレルギーというのは要するにこういうもの」であって、この映画に登場する早苗さんほど重症になることもさほど珍しくはないのだという現実を、少しでも一般の人に知ってもらいたい・・・と、病気の困難の中で、それでもさまざまな人たちの協力を仰いで上映に漕ぎつけたという、主催者の熱意に頭が下がる思いだった。
映画の冒頭、雪に埋もれる林檎の木の1本1本と話をしながら枝に触れる、林檎農家のご主人の姿が印象に残る。(私には、林檎の木が本当に喜んでいるように見えた。)上映の合間の監督とプロデューサーの方のトークも興味深かった。
『ゲゲゲの女房』(監督・共同脚本:鈴木卓爾 原作:武良布枝)
観た直後のメモには、「見合い後5日で挙式・・・という、互いに相手のことをよく知らない夫婦の初々しさ?が新鮮。身近に餓死者が出るほどの貧乏でも、画面が美しいのと妻が綺麗〜なのとで、悲惨な感じは案外しない。」などと。
背景にあるのが「戦争」や、マンガという芸術に対する「世間」の評価など、重たかったり苦かったりするようなモノなのだとしても、私の眼には「貧乏と、ヨーカイと、十歳違いの(年に似合わず?初々しい)ある種似合いの夫婦の物語」に見えた。(同名のテレビ・ドラマの方を全然観てなかったのも幸いしたのかな?)
『陰獣』(監督・共同脚本:加藤泰)1977
メモには「この監督の映画を観るのは(多分)初めて。こういう香山美子!を見るのも初めて。」などと。監督本人の言葉がチラシに載っていて「江戸川乱歩の『陰獣』のテーマは、まさに男と女の闘い」だとか。こういうテーマの作品を観るのに私は不向き?な方だけれど、この香山美子はいいと思った。作り手も独特のカメラワークというか、「絵」を作ることにとても凝る人で、(私が勝手に持っている)乱歩の世界のイメージそのまま・・・という気がした。(昭和の雰囲気がそのまま残るあたご劇場で観られたのも、作品に相応しくて良かったと思う。)
☆『その街のこども 劇場版』(監督:井上剛)
2010年1月にNHKで阪神淡路大震災15周年特別ドラマとして放映され、反響が大きかったため再編集して、劇場版として作られたとのこと。主役の佐藤江梨子と森山未來は現実でも震災の体験者だとか。映画の中での2人の演技の自然さ、リアルさの意味を、後からちょっと考えたりした。
でも、阪神淡路大震災のことを別にしても、この作品の持つ「若い人に対する優しい眼差し」は独特で、私には強く印象に残った。人間はこうあるべきなのに・・・というような「批判」の眼ではなく、人が自分の体験を自分なりに咀嚼消化するには長い時間が必要なこと、それを急がせてはいけない(そもそも誰にもそんな権利は無い)ことを、ごく自然に感じさせてくれる・・・そういう優しさだったと思う。
『無言館』(脚本・監督:宮木辰夫)
戦没画学生の遺作を集めた美術館が、長野県にあると聞いてから何年経っただろう。現地へ行くことなく、こういう形で見られるとは思っていなかった。丹念に集められた絵の数々もだけれど、美術館を取り巻く環境の静けさ、訪れる人々(特に若い人たち)の訥々とした言葉なども印象に残る。(「無言の館」には、戦争にもの申す声なき声の数々が、ひっそり飾られているんだな・・・と、絵が好きだった父のことを思い出しながら見ていた。)
☆『442日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍』(企画・脚本・監督:すずきじゅんいち)
知らないコトが一杯!だったドキュメンタリー。(元兵士だった方たちの従軍当時の若い写真と、インタビューに答える現在の顔を見ているだけでしみじみ飽きなかった。)
http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/561b3f42e2e3c8f41ae796e43368befc
☆『ショージとタカオ』(監督・撮影・編集・制作:井手洋子)
不謹慎な言い方だけど、「とにかく面白かった!」ドキュメンタリー。(ショッキング・ピンクのパンフレットも、薄いのにギッシリ内容充実〜。)
http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/06d43645b9d8dde72c55fdc745c08052
『東京公園』(監督・脚本:青山真治 )
メモには、「大学生の主人公が家族写真を撮っている、東京の公園の四季がとても美しい。透明感があって、ちょっとオシャレで、どこか温かい、現代日本の若い人たちの風景。俳優さんたちも良かった。でも・・・(私のようなオバサンを)こういう"作りごと"の魔術にかけるには、何かが足りなかったみたい。昨日、たまたま家で『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』を観たのと、どこかで関係あるのかなあ。」なんて。
でもこの監督さん、こんな穏やかな映画も作るんだ・・・って、なんだかちょっと嬉しかったのも思い出す。(せっかくの舞台挨拶、聞けなかったのが残念。)
『奇跡』(監督・脚本・編集:是枝裕和 )
オフシアター・ベストテン選考会で、私はこの映画に「拒否票」(ベストテンの暫定順位が出たところで、その結果に異論がある人が、ひとり3回使える権利。1作品について1回だけ。その後の集計でマイナス1票として数えられ、最終順位が決まる。)を入れた。といっても、子どもたちが主役の良くできた娯楽作品で、誰が観ても面白いと言ってもらえそうな映画。「拒否票の理由」を訊かれたときは、自分でも説明に困った。
観た直後のメモには「今どきの子ども?の様子が面白かったけれど、なぜか途中少し退屈した。この監督さんで"退屈"したのは、もしかして初めてかも。(でも、後味が良かったからOK〜)」などと。
是枝監督も、「子ども」も、群像劇もロード・ムービーも、私は元々大好きなのに、今思い出そうとしても、チラシにある俳優さんたちがどんな役柄だったのかさえ覚束無い・・・。(覚えているのは兄弟の兄の方だけ。)最近の自分の記銘力の低さを差し引いても、ここまで印象が薄いというのは、やっぱり作品の方にも原因があるような気がする。
『誰も知らない』、『歩いても歩いても』、或いは 『花よりもなほ』 、『空気人形』・・・自分の好みに合う合わないは別にしても、印象的なシーン、記憶に残る「何か」がある作品を、私はこの監督さんには期待してしまうんだな・・・と初めて気がついた。
『24000年の方舟』(監督:高橋一郎 撮影:山添哲也)1986
今見ても勉強になるドキュメンタリー。(問題の根本は全く変わっていないのが苦い・・・。)
http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/bbf3a65e57136b868976cdd6fb2be1b5
『あしたが消えるーどうして原発?ー』(構成演出:千葉茂樹 他)1989
上の『24000年の方舟』と同時上映された1時間足らずのドキュメンタリー。あまりに今日的な内容にショックを受けた作品。
原発を作り維持する側のエンジニアだった父親を、ガンで失った女性が抱いた疑問。「今、原発は安全、を信じようとする従業員の信頼に本当にこたえているのでしょうか」。
原発で働いた経験のある労働者、彼らの被爆の危険性を明らかにしようと努力を重ねた医師、福島第一原発4号機の設計に携わった元エンジニア・・・そういった人たちの証言から、女性は父親の死と原発での労働(被爆)の関係を知っていく。そして最後に、彼女が真剣な表情で口にしたのは、都会の人たちの快適さはそのまま原発や被爆の問題なのだということに、思いを至らせてほしい・・・という言葉で、それはそのまま、今回の福島での事故の後、東北の人たちから出た言葉でもあった。
映画の終盤、福島で原発の大事故が起きたら・・・という仮定で、チェルノブイリ事故後のヨーロッパの汚染地図と(福島をチェルノブイリに重ねた)日本地図が重ねて映し出されたとき、そしてそれが既に起きてしまったのだという事実に、私は強いショックを受けた。(「歪みをジャッキで整形して納品した」4号機は幸い停止中だったけれど。)
【2011年高知オフシアター・ベストテン選考会の結果 (日本映画の部)】
1位 『その街のこども 劇場版』 (監督:井上剛 主催:とさりゅうピクチャーズ)
2位 『トイレット』 (監督:荻上直子 主催:とさりゅうピクチャーズ ここでえいがかい!?)
3位 『森崎書店の日々』 (監督:日向朝子 主催:とさりゅうピクチャーズ ここでえいがかい!?)
3位 『ショージとタカオ』 (監督:井出洋子 主催:四国文映社など)
5位 『江戸川乱歩の陰獣』 (監督:加藤泰 主催:ムービージャンキーなど)
6位 『ひろしま』 (監督:関川秀雄 主催:小夏の映画会)
7位 『 劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(監督:入江悠 主催:えいネ〜)
8位 『奇跡』 (監督:是枝裕和 主催:県芸術祭特選映画鑑賞会)
9位 『あぜ道のダンディ』 (監督:石井裕也 とさりゅうピクチャーズ)
10位 『東京公園』 (監督:青山真治 主催:えいネ〜)
『森崎書店の日々』『あぜ道のダンディ』(それに『劇場版 神聖かまってちゃん』〜♪)・・・いつか観たいな〜。 (『ひろしま』は近々再上映されるから、今度こそ行けるかな?)










ついに拒否権行使の面白味に目覚めていただけてようで、来年の選考会が早くも楽しみになってきましたよん(笑)。
それでも3本もすれちがう?なんて、なんだか不思議ですね(^o^)。
私、『いのちの林檎』と『無言館』は、ごく個人的な理由で観に行ったんですけど
あと1本は・・・何なのかしら。(『ゲゲゲの女房』かな?)
>ついに拒否権行使の面白味に目覚めて
そう! 3票全部使い切って、さらに「もう1票あれば良かったのに」なんて思ったの、初めてです(笑)。
来年の選考会、今から楽しみにしていますヽ(^o^)丿
1位に選出され、再上映となったので、
観ることができるようになりました。
ラッキー!(笑)
再上映のとき観られるの楽しみにしてたんです(空振り〜)。
ヤマさんはほんとラッキーでしたね〜(^o^)。
>再上映のとき観られるの楽しみにしてたんです(空振り〜)。
同じ、同じ〜(^o^)。観ている人が少ないのが意外でした。
でも、『その街のこども 劇場版』も観てないから嬉しいです。
もう一度観てもいいと思うくらい。
でも・・・観ている人が少ないと順位は伸びないっていうのも
今回よくよくわかりました。
ちょっと慣れてきたら、いろいろそーゆー発見?もあって、
ベストテン選考会は楽しいですヽ(^o^)丿