物語屋

頭に浮かんだ物語を描くお店です。
少しずつ物語が入荷するので、楽しみにしていて下さい。(入荷時期は未定、不定期です)

L&Kの事情

2017-03-13 01:09:00 | 日記

さて、ランナーも決まったところで、次の日。

今日は社長、狩野、島崎が休みで、コタツちゃんは学校帰りで出勤、鬼ヶ島は犬の散歩代行、鹿田、浜野はもはや日課の引越し手伝い、ってなわけで一人寂しく事務所にいるのは副社長鈴木。

あいも変わらず社長の席で紅茶を飲みながら、金鐘時時の新刊「シマウマよりもJ」を読み、悠悠自適です。家よりくつろいでねえか、こいつ。

さて、今日は一人お客さんがくることが決まっています。

何時ごろでしょうか、今はお昼過ぎです。

しかし、まあ、読書が絵になる男ですね。いいアングルを探せばもう絵画です。絵画といえばウチにも5歳でデビューして作品最高買取額が5000万円の人がいましたね。万能持ち腐れな鹿田は引越しの手伝い中です。

ノックが静かな事務所に響きます。

「はーい。どうぞ」

鈴木が引き入れたのは二十代前半くらいの黒髪短髪の好青年。

「お待ちしてました。人探しですよね」

「はい」

「どうぞ、ソファーの方に」

「すみません、失礼します」

向かいあって座る鈴木と好青年。鈴木にもこんなフレッシュな時期がありましたね。入社して二ヶ月くらいでしたけど。

そういえば浜野も最近新入社員的なパリパリ感がありません。熟れてきているようです。

私が化けて出るしかなさそうですね。いや、やめましょう。誰?、で終わる気がします。

「まず、あなたのお名前は?」

「大滝菊太郎です」

なんちゅう名前。

「では、探して欲しい人のお名前は?」

「島崎紗希っていうんですけど、7年くらい前に会ったきり連絡が取れなくて」

まさかの〜、島崎、ヤクザはおろか好青年にまで目をつけられてる〜的な。

「なるほど、母校とかはわかります?」

「金原高校だったはずです」

完全に島崎ですね、金原高校は島崎、狩野の母校です。

「わかりました。料金ですが、基本料金の五千円と捜査料の一万円、それから捜索は毎日6時間として、一日追加料金は一万円、成功報酬が一万円で一日で見つかった場合は最低料金の三万五千円、一ヶ月以内には必ず見つけるので最高でも三十二万五千円ですね」

人探しとしてはかなり良心的な価格です。

信頼と実績を格安で!なんでもやりますL&K。がキャッチコピーです。ホームページの画面にもデカデカと書かれています。なんでもやるのに実績って・・・。

「お願いします、絶対に見つけてください」

よほど好かれているのか、もしくはとんでもなく恨まれているかのどちらかですね。

「もちろん」

うちの副社長はニッコリと、並みの精神力の女性では白目を向くほどの商業スマイルを浮かべています。

もうその頭の中にはロックオンされている人物がいます。

連絡先を聞いて大滝さんを帰すと、即行で島崎に電話。

「もしもし、紗希ちゃん。ごめんね、休みなのに」

犬から解放され帰って来た鬼ヶ島は、電話に気づくとコソコソと自分のデスクに着きました。これくらいの気遣いはできるようです。

「また、紗希ちゃんを探してるって人がいて、大滝菊太郎って人、知ってる?」

買ってきた弁当を食べ始める鬼ヶ島、相変わらず箸の持ち方が悲劇的です。雑技団でもそんな持ち方はしません。

「あー、そうなんだ。じゃあ、明日でもあってあげてよ。うん、はーい」

明日に約束をしたようです。

「島崎?」

「うん、元カレだってさ」

「ヤクザに元カレか、あいつの周りは厄介者だらけだな」

元カレですか、島崎が付き合えた唯一の男ですね。っていうか、あの好青年に島崎とか見合ってなくね。失礼。一応、狩野にもごめん。

「また揉め事にならなければいいけど」

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