トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

常に被害者を装う―聖書から見るユダヤ人 その②

2006-11-14 21:17:03 | 読書/中東史
その①の続き
 モーセが登場したのは現地エジプト人との関係が極度に悪化した時代。旧約聖書にはいかにエジプト人がユダヤ人を苛酷に扱ったか強調して書かれているが、これはユダヤ側の“文献”なので鵜呑みには出来ない。人権も「法の下の平等」思想もない時代だが、エジプトで大量虐殺された形跡もなさそうだ。
 その後のモーセの様々な奇跡は現代の異教徒からは到底信じられないだろう。川の水が変色したり、アブ、ぶよ、イナゴの大発生、疫病による家畜の死滅、ひょうが降り続く…明らかに異常気象の続いたのが知れる。ただ、神意を強く信じていた古代人のこと、神による怒りと思い込んだのも無理はない。

 無事エジプトを脱出したモーセ一行のユダヤ人。ユダヤにとっては大いなる解放だが、移住先の異民族には大いなる禍の始まりだ。何しろ無人の地ではなく、既に先住民族がいた土地への無慈悲なる侵略者だったのだ。佐倉哲氏のサイト『聖書の間違い』に、モーセについての記述がある。「モーセは奴隷解放者ではない」との見解は実に興味深い。先住民は殺すか、さもなければ奴隷にせよ、がモーセの方針だった。つまり大義名分を掲げてのジェノサイトである。
 モーセは他民族ばかりでなく、金の子牛像を作って拝んだ同胞のユダヤ人も虐殺している。「剣を取れ。牛を拝んだ者は皆殺しだ。兄は弟を、弟は兄を、友は友を、隣人は隣人を容赦なく殺せ」!三千年以上前に大粛清を行い生涯を全うしているので、スターリンやマオの元祖格だ。

 モーセの跡を継いだのがヨシュア。旧約聖書のヨシュア記はそのジェノサイトぶりから、日本人牧師やキリスト教シンパが最も触れない箇所である。私も学生時代、キリスト教を褒め称えていた同級生に、「ヨシュア記をどう思うか」と質問して黙らせた事がある。佐倉哲氏はHPの「殺せ!と神が命じるとき」で、ヨシュア記や申命記の聖書の記述を紹介されている。
彼ら(ユダヤ)はしかし、人間をことごとく剣にかけて撃って滅ぼし去り、息のある者は一人も残さなかった…
 在日ドイツ人のハウプト・ホルガーさんもHPで、「神のみ言葉(聖書)から…」と題した記事で、聖書の中の恐るべき大虐殺を詳細に紹介されている。ユダヤはナチスの魁だったのか。

 旧約聖書を軽く目を通しただけで、ユダヤは被害者どころか加害者としての行為は余りある。己の虐殺行為は「神が命じたこと」で済ませ、自分らへの迫害者は糾弾し続けるのも選民思想ゆえだろう。その思想ゆえか、忘恩行為も目に付く。
 ユダヤ人をバビロン捕囚から解放し、破壊された神殿の再建を許したのはアケメネス朝ペルシアの祖キュロス王で、旧約聖書にも記載されている。その箇所を見ると、神がキュロスに語りかけ、祝福を与えたとある。ユダヤの神も信じない異教徒、異民族の王でも持ち上げるユダヤ知識人の姿勢は滑稽だが、ペルシアの敵とも平然と通じることもやっていた。オスマン・トルコ末期もトルコ宮廷とのコネを活用しながら、欧州列強とも懇意となる者もいた。

 第二次大戦後、パレスチナはモーセの時代と同じく侵入したユダヤ人が現地人を駆逐し、イスラエルを建国する。国連はイスラエルを黙認するだけだったが、これを激しく非難したのが第三世界の雄でもあるインド初代首相ネルー。直ちにユダヤの息のかかった欧米のマスコミはネルーに「反ユダヤ主義」のレッテル貼りをする。彼の著書を読むと、親ユダヤではないが、ユダヤ人への迫害に対する怒りと深い同情が見え、「反ユダヤ主義」は全くの的外れな誹謗である。
 数は少ないがインドにもユダヤ人はおり、出会った日本人旅行者に自分たちがいかにインドで苦労してきたか、話した者もいたそうだ。以前の記事「インドのユダヤ人」でも書いたが、特に迫害されたことも無く、移住して苦労したのはユダヤに限らない。ゾロアスター教徒のパールシーも移住組みだが、外国人旅行者を捕まえて苦労話を聞かせるのはまずないだろう。

 つくづくユダヤ人というものは、日本の隣国人を髣髴させられる。極度の自民族中心主義、非協調性、尊大と卑屈の極端な二面性、排他性、自己憐憫と被害妄想、住んでいる異民族の国への非貢献性…本国、在日問わず、自分たちの歴史をユダヤになぞらえているのだから、彼らもまた似た気質を見出しているのだろう。

◆関連記事:「ディアスポラ」「インドのユダヤ人

よろしかったら、クリックお願いします


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
通りすがりへ (mugi)
2018-01-10 21:35:34
 私は3年以上昔の記事や名無し、「通りすがり」等の捨てHNのコメントは受け付けない方針なので削除した。それにしても、読点を全く使わず…で代用でする悪文の主が、「活字なくしては生きていけないくらい活字中毒」を自称するとはねぇww

 しかも11年以上昔の記事への書込み。こんな書込みをするのは耶蘇くらい。それほどまでにユダヤ様を庇いたい、哀れな黄色いゴイム君。そのうちコメントをネタにして、記事にする。
返信する