トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

ユダヤ人テロ組織

2006-04-24 21:46:55 | 読書/中東史
 過激派やテロといえば即座にイスラムを連想される方が日本では大半だろう。だが、ユダヤもかつては現代のイスラム過激派に劣らぬテロ活動を繰り広げていた。ユダヤの武装組織はアラブだけでなくイギリスに対しても闘争の矛先を向けたのだ。

 第二次大戦中のパレスチナでは、イギリスとの関係が深い「ハガナー(防 衛者)」と呼ばれる地下組織が中心となり、ユダヤ人勢力の軍事編成が本格的に開始されていった。ハガナーの原型となる組織が創設されたのは1909年であ り、当初は入植したユダヤ人の村落や集団農場(キブツ)を警護する個別の民兵組織に過ぎなかったが、1920年6月に「ハガナー」の名称で正式に結成され る。'36年にエルサレム各地で起こったアラブ人の暴動を機に、ハガナー内部に特別野戦隊(SNS)と呼ばれる自警団が誕生し、イギリス軍情報将校の指導 の下で、野戦やゲリラ戦の技術を身に付けていった。

 一方戦争前の1935年5月、イギリス政府が発行した文書「マクドナルド白書」には、「十年以内にアラブ人主導のパレスチナ国家を創設し、イギリスとの特別条約によって同盟関係を結ぶ」「パレスチナへのユダヤ人移住を5年間で7万5千人に制限し、それ以上の移民受け入れについてはアラブ側の承諾を必要とする」等の文面があった。ドイツとの戦争が目前に迫っていたため、中東の産油国に配慮した背景もあるが、これはパレスチナのユダヤ人を闘争へと追い込んでいく。

 ユダヤ人の中には親英的なハガナー総司令部に指揮されるのを拒み、独自の民兵組織を編成して反イギリスの武力闘争を行ったグループもいた。「イルグン」や「シュテルン」などの悪名高いテロ組織がそれである。パレスチナ内のユダヤ人社会では先のマクドナルド白書の発表以降、委任統治者であるイギリスに対する憎悪が高まり、イギリスがヒトラーとの戦争を続けている間にも、ユダヤ人過激派による反英テロ活動は止むことがなかった。

 正式名「イルグン・ツバイ・レウミ(IZL=民族軍事組織)」と称するイルグンは、'37年4月に右派の改訂党系武装集団「ハガナーB」を起源として結成された極右のテロ組織である。
 創設者アブラハム・シュテルンの名にちなんで呼ばれる「シュテルン」の正式名称は、「ロハメイ・ヘルート・イスラエル(イスラエル自由戦士団=別名レヒ)」といい、'40年8月にイルグン内の過激派メンバーによって設立された。組織の規模は小さかったが、その行動はイルグンよりも過激で、軍資金調達のために銀行強盗さえ働き「シュテルン・ギャング」の異名を奉られる。シュテルン自身は'42年2月に英官憲により射殺された。

 1944 年11月、イギリス殖民地相ウォルター・モインがエジプトのカイロで2人のテロリストに射殺されるが、犯人は間もなくシュテルン所属のユダヤ人活動家と判 明した。モインは'41年12月、ルーマニアからのユダヤ人難民船シュトルーマ号のパレスチナ入港を拒否したが、この船は迷走の末ルーマニアに戻る途中の 翌年2月に黒海で沈没し、760人以上のユダヤ人が死亡する惨事となった。この事件によりユダヤ人難民を見殺しにしたとして、モインはパレスチナのユダヤ 人社会では憎悪の的になっていた。
 当時チャーチルはパレスチナのユダヤ国家創設案を構想中だったが、モイン の死を知り草案を閣議に提出することを中止した。チャーチルは自らが植民地相を勤めていた頃から一貫してシオニズム運動の賛同者だったが、親友のモインを 惨殺されてからは2度と政治的シオニズムに賛意を示さなくなる。この事件をきっかけにイギリス政府の関心はパレスチナ問題の収拾から遠ざかっていく。

  第二次大戦が終結しても、パレスチナでは依然としてイギリスへのユダヤ人過激派のテロが相次ぐ。パレスチナ各地で破壊工作が頻発、イルグンの活動家が監獄 を爆破し、捕われていた仲間を救出したこともあるが、これらの行為はユダヤ人の間でイルグンやレヒの人気を高めた。かつては親英的だったハガナーも同調す るようになる。業を煮やしたイギリスは'46年6月、ユダヤ人組織への家宅捜索と幹部の一斉逮捕に踏み切る。ちょうどユダヤの安息日を狙った作戦ゆえパレ スチナ全土で約三千人のユダヤ人が拘束された。

 これに対しユダヤ側は直ちに報復、翌月7月22日にエルサレム随一の歴史を誇るキング・ ダビデ・ホテルがイルグンにより爆破される。この最高級ホテルにはイギリス政庁や軍司令部、情報機関司令部などが置かれていたが、牛乳缶に大量に仕込まれ ていた爆薬により建物の一角は完全に吹き飛ばされた。この指揮を取ったのがイルグン三代目司令官メヘナム・ベギン、後の首相である。
 ついにイギリスは'47年2月、パレスチナの委任統治権を放棄し、国連に一任すると一方的に宣言した。

あなたの隣人の家を欲しがってはならない」―モーゼの十戒より第十番目の戒め

■参考:『中東戦争全史』山崎雅弘 著、学研M文庫

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8 コメント

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すみません (ネシカ)
2006-04-24 22:43:18
記事と直接関係がないので、トラックバック削除させていただきました。もっと直接的にな内容のトラックバックでお願いします。
やはり・・・ (mugi)
2006-04-24 23:06:06
>ネシカさん

別にTBを削除されても構われませんよ。

イスラエル人の彼氏がいる女性なら、不快な内容でしょうから。イスラエル建国の実態を直視するのは難しいでしょうね。

ただし、イスラエルの悪い面を取り上げないのは、貴女が批判する日本の報道と基本的に同じなのをお忘れなく。

直接的な内容とは、どのようなトラバがよろしいのでしょう?私はイスラム批判記事も結構書いてますが、それなら満足されますか?



誤解されるかもしれませんが、私は決して親イスラムではありません。ユダヤもイスラム、キリスト教も一神教徒はどれも同じ穴のむじなです。
どうぞ (ネシカ)
2006-04-25 02:40:01
直接関係のあるものならどうぞ~。

私、イスラエルの悪い面について取り上げるの大いにOKです♪ 私もイスラエル批判するでしょうね、そのうち。イスラエル建国の成り行きも熟知しております。彼と出会う前から、高校生の時にインティファーダをTVで観てから中東には興味がありましたので。



あ、言い方改めますね。

直接関係のあるというより、「同じことについての記事」でお願いします。



言い忘れました (ネシカ)
2006-04-25 03:11:18
それから、悪意のあるものもやめてくださいね。

今回も記事と直接関係のないこと分かっていながら、わざと私の反応がみたくてトラックバックしたのではないですか?コメント返信を読んで、その意図を再確認しました。そういった感じの嫌味目的のものも引き続きお断りしますので。
イスラエル (バーラタ)
2006-04-25 10:15:12
はじめまして。

にせユダヤ人、すなわち白人系ユダヤ人は国乗っ取りのプロですね。長い歴史の中で嘘を付きまくり後戻りできないところまでいってしまったんでしょう。



そもそもキリストも聖母マリアも褐色の肌でした。

白人が目を背けている歴史の真実です。

白人じゃなきゃ信仰心はもてないんですかね?

ユダヤ人はタイを乗っ取ってます。

バンコクのホテルなどユダヤ系ばかりです。



朝鮮人みたいにやっかい者です。

日本のばか女はすぐ外人と付き合っては日本に連れてくるけど男の方の国で一生を過ごして欲しいものです。

成りすましはカナダに多い (バーラタ)
2006-04-25 10:26:47
続きです

我々はなんの因果か成りすましも抱えておりますのでそのへんも考慮しなくてはいけませんね^^



なによりも外国に行けば分かるのですが、このように外人と付き合っている女のたちの悪いところは、日本人男性を嘲笑するところです。なにを勘違いしているのか分かりませんが、優越感にひたっているアホがいっぱいいます。



冷静に (mugi)
2006-04-25 22:06:33
こんばんは、ネシカさん。

わざわざ深夜に2回もコメントされるとは、大儀でしたね(笑)。



その人のブログを見れば、他人の受け売りを鵜呑みにして書き連ねる者か、自分で調べ自分の頭で考える人間か、分かりますから。

貴女がどちらなのか言うまでもないでしょう。だから彼に出会う前は親パレスチナ、出会い後は親イスラエルと節操のない変更ができる。

「イスラエル建国の成り行きも熟知して」いる方が、この内容の記事で神経症になるのは不可解ですね。まるでアイドルをけなされて逆上してる追っかけみたいな反応はみっともないですよ。

イスラエルを擁護したいなら、冷静かつ実態のある内容の記事やコメントをされた方がよろしいでしょう。



そして「記事と直接関係のない」には当たらないでしょう。少なくともイスラエルに関係はあるのだし、かつてユダヤ人はパレスチナ過激派もどきの私服テロを実行していたのは事実なのだから。現代もモサド工作員は時にはアラブ衣装で活動する。

もちろん日本の報道も偏向気味のは確かです。パレスチナはクローズアップしても、チェチェンやウイグル、殊に後者は取り上げませんから。



ヒステリックな反応はますます揶揄を呼ぶものです。留学までしてる親イスラエルブロガーのレベルが知れ、興味深いものでした。

私も中東に関心がありますので、イスラエル建国の成り行きを熟知してると豪語される程なら、トラバお待ちしております。

私は基本的にエロトラバ以外は記事に直接関係のないことでも受け付けてますから。
コメント、ありがとうございます (mugi)
2006-04-25 22:14:28
バーラタさん、こちらこそ、初めまして。



白人系だけでなく褐色のユダヤ人も旧約聖書を見れば、ジェノサイトしまくってますね。日本人牧師が解説を避けたがるヨシュア記など“剣にかけて滅ぼしつくした”の表現が何度も出てきます。

厄介さでは朝鮮人よりずっと上手です。選民思想なので協調性に欠けるのは変わらない。



外国人、特に第三国出身者と結婚する日本の女は結構滞在許可証代わりにされているケースが多いですね。結婚後は夫の親族が次々と来日して、生活費を捻出させられる。



外国女と付き合って同胞の女を嘲笑する日本の男もいるから一概には言えませんが、どちらも愚かな事は変わらないですね。で、この類は外国人からも影で嘲笑されている。ちやほやするのは懐目当てなのに気付かないお目出度さ。国際交流と思っているから(笑)。



欧米のマスコミは「反ユダヤ主義」とレッテルを貼られるのを恐れユダヤ批判が出来ない始末だし、ホロコースト産業もあるくらいです。

http://inri.client.jp/hexagon/floorA4F_ha/a4fhc600.html

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