トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

新聞、ТVに出ている人だから… その③

2017-06-14 21:10:06 | マスコミ、ネット

その①その②の続き
 5月31日付の河北新報特集「ズームアップ」は、戦前のベルリン五輪(1936年)と2020年開催予定の東京五輪を比較した記事だった。紙面右半分には右腕を上げ、お決まりのポーズをとるヒトラー。左半分はマリオに扮した安倍首相の写真がある。
 右側の見出しには、「景気高揚、治安強化、平和を演出、世界へ喧伝、絶好機に」。一方左側は、「改憲を加速原発事故過去へ」、歴史教訓どこ吹く風」だった。記事の中央には2列の見出しがあり、右は「政治利用された五輪」、左は「政治利用される五輪」。

 特集の寄稿者は東大教授・石田勇治(ドイツ近現代史)と玉木正之なるスポーツライター。2人の名は記事で初めて知ったし、スポーツライター風情に端から見識は期待できないが、東大教授も言っていることはボンクラ丸出しだった。「ベンジャミン・クレーム 8」という掲示板に、「ベンジャミン・クレームのマイトレーヤ運動に逃避した左翼崩れ」を、「安倍晋三をまるでヒトラーのごとくに「過大評価」し、独裁者と戦うレジスタンス気取りで革命ごっこにいそしむ」(963)と腐した書込みがあったが、それと同レベルなのだ。
 大体、安倍首相にヒトラー並みの剛腕さがあれば、河北の特集は組めないのは素人でも分かろう。現代のスルタンツァーの異名を持つトルコのエルドアンプーチンとは比べるのも恥ずかしい小物。2人はヒトラーと同じく、メディアをほぼ支配下に置いている。

 記事では大会の政治利用を禁じた五輪憲章を強調、玉木は五輪式典でのパフォーマンスに国家の首脳自らが登場するなど、知る限り過去にはなかったこと、五輪憲章で政治利用を禁じている、という。こんなナイーブぶったきれいごとを真に受ける読者もいるかもしれない。だが、政治利用されなかった五輪など、ただのひとつもあったのか?と言いたい。

 北京大会がまさにそうだったのは記憶に新しく、前回のリオ大会も初の南米開催で露骨に国威高揚に努めた。シドニー大会(2000)は、先住民アボリジニ選手を尊重するポーズが目についた。そのための大会であり、政治とスポーツは別、などの建前を本気で信じているのは、日本の初心な知識人くらいかも。
 憲章で政治利用を禁じているといえ、何が政治利用にあたるのか明確な定義はされておらず、罰則もないようだ。現に式典でのパフォーマンスに登場した日本の首相は、五輪から何の叱責も受けていない。

 5月29日付河北の第一面に、単行本『地方紙の眼力/改憲・安全保障・震災復興・原発・TPP・地方創生』(農文協)の広告があり、書誌詳細情報のサイトもある。コピーはこうだった。
権力への批判力を年々弱める中央紙(全国紙)VS地域の暮らしを侵すものを許さず批判力を失わない地方紙。日本の報道の潮目を変えたこの構図と地方紙の主張を、各社の現場記者が報告。識者の分析とあわせて日本のジャーナリズムの未来像を提案。内田樹金子勝 他の識者と河北新報を含め全国の地方紙記者計16名執筆

 いかに宣伝文といえ、誇大広告を通り越し、おぞましいほどの自画自賛だった。地方創生のお題目など何十年前から唱えているのだ?批判力を失わない?例えば仙台地下鉄東西線は端から赤字路線になることは誰もが予測できたのに、開通前に赤字を危惧する声は新聞で封殺状態だった。
 加計学園騒動で広く名を知られるようになった前文科事務次官前川が、東日本大震災の津波で74名の犠牲者を出した宮城県石巻市立大川小学校の事故検証委員会で遺族の参加を排除したことは一切報じない。私がこの件を知ったのは、「マスゴミよ、これでもまだ前川前文科事務次官を無理筋擁護するか?」というブログ記事からであり、和田政宗議員による追及は完全黙殺。多くの宮城県民は未だに前川の暴挙を知らないはず。

 先日見た『日本人へ/危機からの脱出篇』(塩野七生著、文春新書938)に“つぶやき”という章があり、出だしはこう始まっている。
「今回の災害(東日本大震災)をめぐる外国のメディアの報道に、一喜一憂する必要は全くない。メディアとは、国外国内を問わず、次の性格を持つものだからである。
1.何かが起こらないと報道しない。
2.悪いことならば何であろうと取り上げるのに、事態がうまく進んでいるような場合だと、報道心を刺激されないのか、取り上げることは甚だ少なし、になる。
3.自分の国や自分自身が興味を持つことしか報道しない。
4.とはいえ報道人も職業人なので、毎日何かを書き言わねば仕事にならない。それで何もない時は、予測記事を垂れ流す。それがまた、たいていの場合的を外れている

 これに付け加えることがあれば、何かが起きても報道しないこともザラ。これは欧米諸国のメディアもそうだが、甚だしいのは日本。いわゆる“報道しない自由”だ。4月末のまとめサイト「国境なき記者団「世界中でメディアバッシングが激しくなってるの!これトランプのせいだろ!」」は面白かった。
 国境なき記者団など、中東諸国民の大半はユダヤ系による圧力団体と見て信用していない。日本のネット上で、“土人”呼ばわりされることもある人たちのほうが、日本の有識者よりもシビアにこの組織を見ていたのだ。それも当然だろう。新聞、ТVに出ている人だから、他国には常に事大主義となるのだ。

◆関連記事:「新聞を読む日
 「オリンピックと大本営発表

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4 コメント

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食傷気味です (ハハサウルス)
2017-06-15 22:04:15
こんばんは、確かにネットが広がるにつれて、テレビに出ている、新聞に載っているだけで信用が得られるということは大分少なくなってきたように思います。まぁネット情報もピンキリですので、自分も気を付けなければと思っていますが、一方的にマスコミから情報を与えられるだけでなくなったことは良いことですね。

私の兄は「しょっちゅうテレビに出ているような所謂専門家はろくな研究はしていない。本物は研究に忙しくてテレビに出ている暇なんかないだろう」と言っており、私はすぐに某脳科学者が頭に浮かびました。そうした専門家のセンセイは著書は多くても論文の数はどうなのでしょうね。

前事務次官の前川氏がマスコミで「ヒーロー扱い」なことには呆れます。自分が辞めさせられたことに対する私怨も考えられるこの御仁、「安倍憎し」に取り付かれた人々にとっては、まさに「ヒーロー」なのかもしれませんが、前川氏の素行、私は嫌悪感を覚えます。重要案件が他にもあるのに、毎日加計学園のことばかりで、正直食傷気味です。大体獣医師会の「ご意向」への忖度なのか配慮なのか、獣医学部の新設が長年為されて来なかったことはどうなのでしょう。追求して喜んでいるようですが、そんなことしかできないからいつまでも民進党の支持率は上がらないのだと、いつになったら気がつくのやら…。安倍首相もちょっと脇が甘いと思います。兜の緒を締め直していかないと足元掬われそうで危うい気がします。

記事違いで申し訳ないのですが…

「浮世絵ねこの世界」の記事、楽しく読ませて頂きました。猫好きにはたまりませんね。自然に顔がほころびます。「ちょい悪」なイメージで物語に登場することの多い猫ですが、真面目なイメージの犬より魅力的に感じます。

それと、髪染めですが、私も自分で染めています。白髪の家系なので覚悟はしていましたが、やはり気になれば染めます。自分の為と、後は子供の為という感じですね。何しろ高齢出産ですので、あまり老けた感じだと子供が可哀相かなと。ないのは「男の人の為」ですね、同性を意識してはありかもしれません。将来はいっそ真っ白も良いかなと思いますが、綺麗な白になるのは結構難しいかもしれません。
Re:食傷気味です (mugi)
2017-06-17 00:04:42
>こんばんは、ハハサウルスさん。

 ネットをするのとしないのでは、新聞やテレビに対する見方がかなり違ってきますよね。そもそも新聞やテレビと同じ内容だったならば、ネットはここまで支持されなかったはず。仰る通りネット情報には“フェイク・ニュース”も多いので、私も気を付けているつもりですが、騙す側が“プロ”なら、見抜くのは難しいですよね。
 貴女のお兄様は健全な見方をされていますが、まだまだテレビに出ている専門家の言うことなら間違いない…と信じる視聴者はいますよね。特に女性にはそのタイプが多いような。

 そういえば某脳科学者殿、今年3月に日本のお笑いは終わってると批判、バッシングを受け、その後は一転して釈明したようです。その顛末を紹介したニュースサイトもあります。
http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20170521/Asagei_81232.html
 画像だけで知性も感じらず、脳科学者というより売れない芸人のオッサンの顔ですよ。所詮この類は学位を持つ河原乞食に過ぎません。尤も私も、お笑い芸人の登場する番組は見ていませんが。

「出会い系バーで貧困調査」などの戯言、一般庶民には全く通じないのに、こんな腐った元官僚を「正義漢がある」と持ち上げるメディアも最低ですね。要するに調査と称し、ポケットマネーならともかく税金で高級娼婦と遊んだということ。しかも退職金は8千万円!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/198059
 それ以上に腹がたつのは、前川が石巻市立大川小学校の事故検証委員会で遺族の参加を排除したこと。河北は遺族の起こした裁判を全面的に支援していたのに、この件は完全黙殺だったため、九州在住ブロガーさんの記事で初めて知りました。

 画像で見る限り、猫は限りなく可愛いですよね。尤も「化け猫」はコワい。化け猫がいても化け犬は聞いたことがありませんが、神秘的な処も猫の魅力です。

 私も真っ白な白髪に憧れますが、意外にそうなる人は少ないとか。白髪になるのは半分ほどで、私の母もそうだから望み薄ですね。
ハハサウルスさんにつづきまして… (のらくろ)
2017-06-24 12:04:08
例の件の論考です↓
ttp://agora-web.jp/archives/2026750.html

この論考があるまで、こんな大切な方の存在を失念していたのは痛恨の極み!(恥)
Re:ハハサウルスさんにつづきまして… (mugi)
2017-06-24 21:55:09
>のらくろ さん、

 貴方から紹介されるまで私も、sengoku38こと元海上保安官の一色正春氏のことをすっかり失念していました(汗)。ま、新聞、ТVに出ている人であれば、一色氏のことはガン無視でしょう。それにしても画像の福島みずほ、見るからに汚い御面相ですね。性格が顔に出ている。
 
 記事のリンク先に「河野洋平という共産中国の召使い」というコラムがありますが、インドや中東ならばこの類は「狗」呼ばわりでしょう。そして当人や家族まで危害をくわえられる。河野が狗をやれるのも、日本では安全だと舐めきっているからです。

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