盤上の悪魔

囲碁、哲学(人間原理、相対主義、プラグマティズムとか)、ラノベなんかを中心にしてます。

囲碁と将棋とコンピュータ

2006-10-24 21:52:57 | 囲碁
nipparatの日記の囲碁ソフトについての議論を読んでいたら、将棋ソフトでは予想外にゲームの樹を全幅探索するソフトが強いという話が出ていたので、これについてちょっと書いて見ます。

私は将棋も少し齧ったことがあるんですが、その時に感じた印象は、囲碁に比べてずいぶん難しいな、というものでした。

まず将棋は盤面全体が緊密に連絡しあっています。
もともと盤面が狭い上に、飛車や角などの大ゴマの効きが盤面を飛び交い、また盤面のどこかで取られた駒はどこにでも打ち込めるので、駒の取り合いに関係する手は盤面全てに強く影響を与えるといえます。

対して囲碁はシチョウやコウといった例外を除けば、盤面の離れた箇所の結びつきは比較的緩やかで、一箇所で戦っているときに、別の箇所の変化を必死になって読む必要はあまりありません。

従って、囲碁で全幅探索をしても、あまり読まなくていいような箇所を読むことによる無駄は将棋よりも多くなるでしょう。

また、変化が少なく一本道に近いような決まりきった手順は将棋よりも囲碁のほうが多いようです。

将棋の羽生善治三冠は、決断力のなかでこんなことを言っています。

「『実戦で、進行する十手先の局面を想定することが出来るか?』プロ棋士の集まりで、こんなことが話題になったことがある。『出来ない』というのが一致した結論であった。・・・三つに絞った手に対し、頭の中に描いた将棋盤で駒を動かしてみる。それぞれについて、『どれが一番正しいか』、目的地までのルートを『こうなって、ああなって・・・』と綿密にロジックで検証(読む)する。三つの手に対して、またそれぞれに三つの候補があれば、それで九つ、それが枝葉に分かれて増えていくので、すぐに三百手、四百手になってしまう。」

つまり将棋のプロはかなりのレベルでゲームの樹の探索をおこなっているため、読む手数は直線的にはそれほどでもないわけです。

では、囲碁のプロはどうなのかというと、誰だか忘れましたが、テレビで、プロは一手一手読むようなことはあまりない、十何手か先の局面がぱっと浮かぶのでそれを比較検討するんだ、というようなことを言っている棋士がいました。

テレビなので多少の誇張はあるかもしれませんが、将棋ほど詳しくゲームの樹を探索せず、そのかわり、直線的な読みの手数はかなり多いということは言えそうです。

実際私のような弱いプレイヤーでも、中盤の勝負どころになると10手をこえる手順を読むことも珍しくはありません。

つまり、ソフトが10手先まで全幅探索すれば、将棋の場合、プロの読みにある程度迫れますが、囲碁の場合、プロの読みの手数にかなり及ばず、質的にかなり異なった結果しか出せないということになりそうです。

全幅探索のような力技は囲碁には将棋と比べて通用しにくいわけで、ハードの処理速度がそろそろ物理的な限界に近づきつつある現状では、人を越えるにはもっと有効な手法を探す必要があるでしょう。

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