うなぎなう

あなたが笑ってくれると、オレはとても嬉しいです。
じっくり読んで、笑いましょう。

首よ、さらば ②。

2014年10月29日 | 作品
「あなた、寝ぼけるのはいいけど、服汚さないでよ。首元に何か付いているわよ」
んっ!?
染みになりそうなものを、今朝は食べたつもりはないのだが……。
野村は、自分の首すじを触る。
冷やりとした手を見る。
赤い液状のものが付いていた。
ケチャップか……?
ケチャップではないようだが。

グラリ。

視界がずれる。
ドスンという音とともに、野村は、床に頬から落ちた。
「あっあなた」妻が驚いている。
「心配ない。ちょっと、目まいがしただけだ。昨日、眠れなかったんだ」
そう言っても、声にならなかった。
唇が動くだけで、口から息が出ない。
妻は腰を抜かしている。
「首が、首が」
首が、どうしたというのだろう?
すると、後ろで椅子をテーブルに戻す音がした。
テーブルに座っていたのは、私だけだったはずだが。

誰だ?

そいつは、私の顔をまたいでいく。
目で追いかける。
見慣れたスーツ姿。
あれは私ではないか。
ただし首がない。
なるほど、(首から上の)”頭の私”が転がっているから、あの”体の私”には、頭がないのだ。
それなら納得がゆく。
睡眠不足の頭が無くなったんだ、さぞかし体の方は楽かろう。
不思議と、切断された痛みはなかった。
ただ、眠くなってきた。
本能的に、永遠と続くやもしれぬ、泥のような眠りを、野村は感じ取った。
そうか。
電車の女性も飯田君も、きっと私のような状態になっていたのだ。
違うのは、私の場合、首と体が別行動をとって、離れ離れになってしまったことだ。
だがきっと、私の体の方はすぐに、自から望む頭を、差し当たりは手に入れるだろう、と私は思った。

それは、かつて私であった私の頭が乗っていない私の体が、私の妻の髪を握り、もう片方の右手で握る包丁で、妻の首を切り落とすのが見えたからだった。

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首よ、さらば ①。

2014年10月28日 | 作品
「ちょっとお嬢さん。首すじに赤いものが付いてますよ」
「あらヤダ、何かしら。ご親切にどうも」
そんな会話が聞こえてきた。

野村は、眼を閉じていた。
通勤電車の中は、大切な睡眠時間なのだ。
次の停車駅で眼を開けると、その女は、人目を避けるようにハンカチを首すじにあてて、そそくさと車外へと出て行った。
そう言えば、会社で経理の飯田君の首すじにも、赤いものが付いていたな……。
「彼女といちゃついて、朝帰りなのか」と、からかってやった。
飯田君は二枚目で、会社の女の子にも人気があった。
が、今日の飯田君は元気がなかった。
濁った目で私を見ると、何も言わずパソコンの画面に見入った。
私はというと、それ以上何も言えず、「働きすぎはよくないぞ」、と半分自分にも向かってつぶやいた。

――翌朝。
朝というより早朝だ。
つまるところ全然眠れなかったのだ。
同じ夢を何度も見た。
手品師のアシスタントをしていた。
忘年会の余興だ。
手品は佳境に入り、山場のギロチン手品に取りかかっていた。
手品師は、ギロチンの切れ味を見せるため、大根を切る。
1本、2本、3本と並べれば、並べただけ切れる。
あぁ、今夜も打ち合わせは大根料理だな、と野村は思った。 
次に、野村が手招きされて、用意されたベッドに寝かせられる。
首と両手と両足を、はめ込み式の手錠で固定された。
こうしておいて、上からギロチンが落ちてくるのである。
「野菜だけ切れる。首だけ切れない。もし切れても平気あるよ」
中国人がしゃべるような日本語を、その手品師は話す。

ワンのツーのスリーの、はい、ズバッ。

嫌な音と手ごたえと言うか、体に衝撃を感じて、野村は目を覚ます。
しかし、夢を見たという記憶はあったが、どんな内容の夢だったかという記憶は、どこかにいってしまっていた。

「今日は、早めに朝食とするか」

妻が気付かないように、静かに起きると野村は、台所へ向かった。
食事を食べ終わり、野村がくつろいでいると、妻が起きて来た。

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オレのテレビライフ。

2014年10月23日 | 作品
出来るだけ、みんなが幸せになるように。
出来るだけ、楽しい毎日を、出来るだけ多くの人々に。
無意味な労力は、少ない方がいいとの判断から、オレがチューニングするテレビ番組を公表しておきます。
「オレが見ると何か違いが生じるのか? 」と問われると、グゥの字も出ませんが、正直に公表していくことが、きっとオレの立身出世に好影響を与えてくれると信ずるからです。

知って得、聞いて得、来て見てお得の3得は、仏教を広めたブッダが最初ではないし、オレとブッダは、子どもの頃、一緒に遊んだ仲でもありません。
理由も輪廻も知らない刑事が家にやってきて、夢心地のオレに写真を見せるのですが、もしかしたら、オレの昔の彼女の浮気相手のことなのかと、勘繰ったぐらいです。

良かったですな。
何がですか。

ハテサテ、ナニソレ。

平日日課で見るのは、「おはよう日本」「徹子の部屋」。
「ニュースウォッチ9」「報道ステーション」「WBS」も見ます。
でも、「報道ステーション」や「WBS」は、内容により見ないときもあります。
たまに、「ひるおび」とか「ゴゴスマ」とか「ニュースシブ5時」を見たり、他には、「木8」「ミュージックステーション」を見たりします。

オレは、空いた時間に、集中して本を読むようにしています。  

土日は映画を1本、好きなのを見れたら見て(…最近は見れてない 2017.3.28付 )、他は、「吉本新喜劇」「軍師官兵衛」「ザ・フィッシング」「ミュージックフェア」や「のど自慢」「笑点」「ダーウィンが来た!」「サイエンスZERO」を見ることが多いです。
土日は、休憩日として、テレビを多く見ることはあっても、本読みはしません。
と言うより、土日はテレビの日にしています。

基本ラインは、最低限、これらを見る。
女性がゲストのトーク番組は、よく見ます。

お知らせするのは、これぐらいです。
前にご紹介したものと異なるのは、本ばかり読むのに、ちょっと疲れたからです。
ここ、”うなぎなう”のファンの皆様の、効果的で、充実したテレビライフを願っております。

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悲しい野池。

2014年10月21日 | 作品
あれこれ、空想する時間が好きである。

『るるぶ』とか見て、このルートでここへ行ってみてはどうだろう? とか、ここでこの甘味を摂ろうとか空想するのである。
空想するのに没頭してしまって、何時間も『るるぶ』と首っぴきになることも多い。

これは、オレの現在の「ルアー釣り」の姿勢と似ている。

釣り番組や旅番組を、行かない割にはチェックするのである。
そういうテレビや本を見て、いつになるのか日付の定まらぬ、釣りや旅に思いをはせる。

餌釣り海師の父の場合は、タックル(ロッドとリールのセットのこと)を5セットも持ってたりして、明らかに太公望(たいこうぼう)のレベルである。
夫婦揃って朝早くから床を抜け出して、福井や三重の方へ行ったりするのだ。
彼らは、キャッチ&リリースではなく、キャッチ&イートを主張する。 
「食べられない魚を釣っても、全然おもしろくない」と、言うのである。
密かに、バスの「ルアー釣り」を人民に広める、第一歩を狙っていたオレとしては、「それじゃあ仕方がない」と、肩を落とす他ないのである。

「ルアー釣り」に興味がある人は、『「Rod&Reel別冊 バス釣り入門」地球丸 1260円』を最初の1冊に選ぶと良いだろう。
個人的には、最初からタックルは、『(ダイワの)ベイトタックル』を使用することを薦める。

釣れたら嬉しい魚釣り。
オレは、長年、数釣りより、1匹でも良いから、大きな魚を釣りたいと思ってきた。
誰にでも、あてはまることではないかもしれないが、「大は小をかねる」んだ。

地元の野池が埋め立てられたとはいえ、釣りづらいではないかと、オレは泣かない。

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ランドセル・テロリズム ⑥。

2014年10月10日 | 作品


(週末は、いつもより早く目が覚めるのが、少年の常だった)

「もう、ホント邪魔なんだから」

母親が、掃除機を持って、少年の部屋に入ってくる。
「昼間っからゲームばかりして。ちょっとなに、このランドセル!!もうっ!あなたの頭も、もう少しこのランドセルを見習って、これぐらい重くなり……何よこれ。何が入ってるの?」
迂闊(うかつ)だった。
ゲームに夢中になってて、母親が、少年のランドセルを触っていることに、少年は、気付くのが遅れた。

「ちょっと!!何するのさ。ランドセルには、触らないでよ!!」
ちょうど、母親は磁石のロックに指をかけたところだった。
「何よ、中、見るぐらいどおってことないでしょっ。一体何が入っているの――」
少年は飛び付く。
「ダメッ!マグネット磁石は外してもいいけど、中は絶対見ちゃダメ!!」
少年は、母親から、ランドセルを引っ手繰る。
「ホント、訳の分からない子ね、あなたって。自分の部屋ぐらい、自分で掃除しなさいよ」
ゲームする気なんて、とうのむかしに失せていた。
言われなくたって、そのつもりだった。
恐る恐る、少年はランドセルの中を見る。

――大丈夫。
ホッと胸を撫で下ろして、少年はそのランドセルを、いつもするように壁にかけた。




少年は、ランドセルを開けて、中を覗いた。
中に、何が入っているかは、誰にも言えない。
僕たちは、ランドセルという、爆弾を抱えている。本気になれば、大嫌いなガッコや、いちいちうるさいPTAなんか、ぶっ飛ばしちゃえるぐらいの爆弾を抱えている。
でも、大切な父さんや母さん、仲間がいるから僕たちは(僕は?)素直にガッコに行くんだ。
どっかの国で、飛行機が高層ビルディングの一角に突っ込んだんだって?
彼らは、彼らなりのランドセルを開けたんだ。

随分と遅くまで、ランドセルを抱えていたんだね。
けっこう僕も、この調子だと遅くなりそうだけど。

僕たちが、ランドセルを開ける日は、来るのだろうか。
今は、そんな日は来てほしくない、なんて思う。

少しへンかな。
考えが、変わったんだ。

それでも近条少年は、深夜寝静まったころ、いつもの儀式をひとりでそのちっちゃなランドセルに詰め込み、それを、自分の枕元に置いておくのだった。


――おやすみ、少年。良い睡眠を。

(オレがお薦めするマンガの登場人物と、一部、名前が重なるものがありました。この場をお借りしてお詫びします)

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