うなぎなう

あなたが笑ってくれると、オレはとても嬉しいです。
じっくり読んで、笑いましょう。

ランドセル・テロリズム ①。

2014年09月25日 | 作品


――真夜中。
みなが寝静まった頃。
少年は、いつものように部屋の片隅で、ゴソゴソと、何やら物色し始める。
片膝立てて座る、少年の前には黒いランドセル。
少年は、いつも、誰にも見られないように、学校への用意を、ランドセルの中に、ほどこすのだった。


よし、今日もちゃんと、準備ができた。
昨日の僕も、
今日の僕もいけてなかったけど
明日の僕は、きっと輝いている。
少年は、心の中に、屈折した思いを抱えている。


「厳太ぁー。早くしなさい。もう学校へ行く時間よぉ」
母さんがわめいている。
いつものことだ。
「分かってるって。今すぐ行くからぁ」
厳太は、ランドセルを締めた。

今日は土曜日。
半日で、ガッコが終わる。
厳太は、階段を駆け下りて、玄関まで突っ走る。

「行ってきまーす」

あたふたと家事をこなす母さんをよそに、返事なんて待ってられなかった。
玄関のドアを開けると、すぐに集合場所が目に入る。
もうみんな来ていた。

「オッス」
仲のいい後藤と挨拶する。
「相変わらず時間ぎりぎりだな」
後藤は、ポケットに、両手を突っ込んだ、いつものスタイルで言う。
「お前だって、息が荒いぞ。ゼーゼー言っているじゃないか」
後藤は、厳太より、ずっと集合場所から、家が離れていた。
「それより、今日、一緒に、ゲーム屋行かないか? 今日、発売日だろ」
「あぁ。行ってもいいけど、自転車ないんだ。パンクしちまって。途中で自転車屋に行くまで、乗っけてってくれるか? 」
「オレの自転車の後ろには、女しか乗せねぇんだ」
「乗ってくれる女なんか、いねぇくせに」
「朝っぱらからオレに、喧嘩売ってるのか。オレはだなー」

「ちょっと、あんた達、おしゃべりするのは、私たち女の特権よ」

会話に割り込んできたのは、虹村だ。
女のくせに、いや、女だからか、出しゃばりで、厳太には、苦手なタイプだった。
「厳太、こいつ本性オトコのくせに、自分のこと女だと思ってるらしいぜ。下半身に、大事なものは付いてないみたいだけど」
後藤は虹村と、何だかんだ言いながら、仲がいい。
厳太たちがよく通う、ゲームセンターでプレイするゲームと、女の趣味には、どうやら共通点はないらしい。

ジャンル:
小説
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