うなぎなう

あなたが笑ってくれると、オレはとても嬉しいです。
じっくり読んで、笑いましょう。

ランドセル・テロリズム ③。

2014年09月27日 | 作品
「おいっ。おいって厳太。起きろって。授業終わったぞ」
授業中の居眠りのモーニング・コールは、後藤の声だった。
「今朝言ってたゲーム屋、行くんだろ?間田とかも、呼んどいたから」
間田は、脳味噌まで筋肉で出来ている、極上の筋肉少年だった。
「とかってなによ」
「あと、あいつ、何ってたっけ。隣りの組の奴」
後藤は、横に来ていた、間田に尋ねる。
「あー、下の名前は知らねぇけどよぉ、近条って奴さ。オレ、あいつ嫌いなんだけど、ゲームオタクっての? むちゃくちゃ詳しいんだって」
「キンジョウ、キンジョウ……知らねぇや、まっいいけど。面と向かって”嫌い”だとか”オタク”だなんて言うなよ。くさるゼ、絶対」
間田は、後先考えず、思ったことを口にするから、友達も、反友達も多かった。
「分かってるって」と間田。
本当だろうか?
少々不安は残るが、厳太は、後藤に聞いた。
「集合、どこで何時? 今日、オレ、後藤と一緒に自転車屋、寄ってかないといけないから」
厳太たちは、お互い手を振って、それぞれ自分たちの家に帰った。




「オジさーん、今日発売の、格闘ゲームあるぅ? 」
間田が、臆することなく大声で言う。
店内が、一瞬、静かになった気がしたのは、厳太以下3名全員が感じたはずだった。
けっこう混んでいる。
「バーカ、おめぇほんとにバカだな。あのオジさんは、玩具担当。少なくとも、間田、おめぇオレたちといるときぐらいは、”3歳児向け”なんていう、バカな玩具には、目を向けないでくれよな」
後藤が、先に答える。
ゲーム屋のオジさんは、目を細めて笑った。
「新作ゲームのことかな? それぐらいなら、オジさんにも、分かるよ」
後藤と間田は、オジさんの、どこが詳しく知ってるのか、的を得ない説明を、授業よりも聞き入っている。
厳太は、口数が少ない近条に、話しかけるなら、今がチャンスだと思った。

「近条……クン? 」

あまり、慣れなれしく呼び捨てにするのもどうかと思われた。
近条という名のその少年は、ガラス張りのショーケースに、両手をついて、その中に並べられた店の商品を、もの珍しげに覗いている。
「格闘ゲームは、あっちの後藤と間田がいるところに、あるみたいだよ」
「僕は、格闘ゲームを買いに来たんじゃないんだ」
厳太は、近条の隣りに行って、同じものを覗きこむ。
「天丼堂」の、新作ゲームが、ズラリとそこには並んでいた。
”癒し系”というのだろうか。
「ほんわかふんわり湯上り気分にしてくれるぞっっ」と、これは覗いている近条の正面に置いてある、ゲームソフトのパッケージに、書かれてあった。
「おもしろいの? それ? 」

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