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命がある限り希望を持つということ


ギャンブル依存症治療の進展を(2)

2016-12-20 15:17:06 | ギャンブル依存症
この前から度々引用させていただいている
田辺等先生の「ギャンブル依存症の現状」の中に
「ギャンブル問題と治療的対応」という資料があります。

これは「回復困難性による重症度」を3段階に分けたもので

 A. 病的ギャンブル → 治療対応、当事者活動

 B. 問題ギャンブル → 早期、短期治療介入

 C. 娯楽ギャンブル → 治療の必要なし

右側は、どういう治療が必要か、治療のニーズを示してあります。
厚労省が発表した536万人という数字がAの病的ギャンブルだけなのか
Bの問題ギャンブルを加えたものなのか定かではありませんが
おそらくAとBを合わせたものではないかと思われます。

私はこれまでもずっと、依存症の段階、ガンで言うならステージのようなものを
もっと具体的に設定できないものかと思ってきました。
ギャンブル依存症のことを勉強し始めてしばらくしてから
私が理解したのは「ギャンブル依存症は、ギャンブルで得た刺激によって
脳内の神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)の
分泌の仕方に変化が起こり、この変化はもとには戻らないので
ギャンブル依存症は一生治ることはなく、治療をしなければ進行し
悪化して、最後は犯罪者になって刑務所に入るか、精神病院で終わる病気」ということでした。
確かにこれは事実なのですが、こういう風に総括してしまうと
「あなたはガンですから死にます」と言われるようなもので、あまりにも救いがありません。

田辺先生の資料では「早期、短期治療介入」が可能な領域が設定されています。
これはギャンブル依存症だけではなく、特にネット依存スマホ依存などにも
早急に応用していただきたい考え方なのです。
医療の分野では、アルコール依存症などは
早期の治療には動機づけ面接などが
一部ではありますが、すでに導入されています。

ギャンブル依存症は、日本では相当に有病率が高い、ポピュラーな病気でありながら
あまりにも情報がなかったために、ほとんど放置されていたといってもよく
私も含めて、本人も家族も、本当に何もかもがどうにもならなくなってから
初めて助けを求めて事実を知る、つまり病気と分かった時には
すでに何らかの治療は必要だけれども、治癒はないという末期ガンのような状態だったわけです。

けれど、早期短期治療介入の可能性があるならば
現在重症化している依存症者の問題とは別に
早期に治療ができる体制を確立させて
相談や治療ができる分かりやすい指針を出し
その情報を一日も早く、一般の人たちに知ってもらい
今後の病気の広がりに少しでも歯止めをかけていただきたいと思います。

ガン治療では、誰か有名な人がガンになるたびに
まるでお題目のように繰り返される「早期発見、早期治療の重要性」
依存症もまったく同じなのだと、たくさんの人に知ってもらいたいです。
日進月歩で研究が進み、次々に高額な治療薬や治療法が開発されているガン治療の世界。
それとは正反対で、既存の医療機関でさえ、治療に取り組んでおられるのは全体の1割ちょっと。
治療や支援に携わる人も少なく、人材の育成も進まず、研究者の数もごくわずかという
まさに、ないないづくしの、依存症治療の現状。いったいこの差は何なんだろうと思えます。

また重症の依存症者に対する対応でも
依存症治療の最前線で尽力されている先生方は
当事者グループの重要性を理解され
医療による治療と当事者グループは、治療の両輪と位置付けられますが
この認識が行政にも医療者にも、患者や家族にも共有されていません。
(当事者グループは、各依存症の自助グループ、患者会、家族会のこと)

そして県や市の精神保健福祉センターや保健所に相談しても
「ギャンブル依存や、ネット依存は対応できません」と言われたり
「それでは自助グループに行ってください」と、
なんの説明もなく、ただ右から左にたらいまわしにするだけでは
まったく何も分からいない本人や家族にとっては
「わらにもすがる」のわらにさえもなり得ないのです。

クリスマスだというのに、お正月が来るというのに
書けば書くほど、ネガティブなほうへ行ってしまいそうですが
それでも今回のIR問題は、これまでまったく光が当たらなかったギャンブル依存症問題に
一瞬だけでしたがスポットが当たった瞬間でした。
ただそれも「ギャンブル依存症は、こんなに悲惨だ。恐ろしい病気だ」という
情緒的な話に終始して「それでは、何をどうすればいいのか」という議論に進展していません。
「カジノができるまでに考えればいいや」あるいは「カジノができてから様子を見て考えよう」
というような、あいまいな空気が支配しているようなのが気がかりです。

そしてギャンブル依存症の対策に関して
政治や企業へのアプローチは多少ありますが、医療へのアプローチがありません。
精神医療には期待しない、何も期待できないのが当たり前になっていては困ります。
どこの精神科、心療内科を受診しても
各種の依存症に的確に対応できる医療の体制ができることが理想です。

そのためには、やはり厚労省が、経済界への配慮云々という
政治的な思惑とは明確に一線を画して
現在先行しているニコチン依存症の予防、治療、啓発と同様に
国民の健康という原理原則に徹して、あらゆる依存症治療についての
実効性のある指針を提示していただきたいものだと思います。

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