亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

2010年に検討したマイナス金利。まだ検討事項。

2016年02月12日 23時35分26秒 | 金市場

金市場にとって当面の方向性を決める指標のような存在が今回のイエレン議長の議会証言だった。しかし、その内容は1月のFOMCの声明文で示されたものに沿ったものだった。マーケットが強気や弱気に傾いている状況の中では、発言の内容自体が市場に取り込まれ材料性を発揮する可能性が強いもの。したがって、2月9日のここにも、以下のように書いた。

「イエレン議長の議会証言は、市場への影響を考えると難しい役回りだろう。楽観に傾きすぎても警戒感を感じさせてもだめだろうし、かといって利上げサイクルに踏み込んだ以上、当面はその方向でいくということを言わざるを得ない。そこで便利な言葉が、「指標次第」というものなのだが、果たしてどうなるか。FRB議長のアノマリーはいよいよ現実化する気配ではある。」

証言内容は1月のFOMCの声明文に沿ったもので、取り立ててサプライズがあったわけではなかった。やはり「指標次第」という表現も使い、決して言質を取らせるような内容ではなかった。経済が減速すれば利上げペースも減速するのが適当だとした。この部分を市場は捉えて、利上げペースの見直しを示唆するものと解釈し、市場はその解釈に導かれて動くことになった。まず将来の金利差を読んで動いていた為替市場は、ポジション調整の巻き戻しが一気に起きることになった。

それは日本サイドには不測のドルの急落というものだった。ユーロは対ドルで買われ、金市場にとってこの部分がドルインデックス(ドル指数)の押し下げにつながり、1日を通して断続的に続いたショートカバー(ショートの手仕舞い買い戻し)の巻き戻しによる水準切り上げをもたらすことになった。途中、節目になる価格を超えるたびに次の買いを誘発し、動きを早めることもあった。利上げに踏み切った12月のFOMC後に期待された材料出尽くしによるショートの巻き戻しは不発に終わっていたが、遅ればせながらいまそれが起きている。

日本時間の明朝に発表されるCFTC(米商品先物取引委員会)の主体別取組(建玉データ)をみる必要があるが、ここにきて新規資金の流入も見られており、ほとんどショートカバーのみと見られた市場の内部要因に変化が出ているようだ。新規資金の流入という面ではETFの増加が目を引いており、最大手の「SPDRゴールドシェア」は今週も毎日残を増やし、昨日時点で716トンと昨年5月以来の水準に復帰している。年初からはこの銘柄だけで約74トンの増加となっている。このように新規資金の流入が見られ始めている分、相場の質が年始の上昇時とは変わっており、この先は調整局面に入ったとしても、切り上げた水準を固めながら進展するのではないか。そのためには米利上げ観測の後退が条件となるが、まず3月はクリアというところだ。

ところで議会証言後の記者会見でマイナス金利導入について聞かれたイエレン議長、10日には「2010年にはFOMCにて検討したが引き下げないことにした」としていた。昨夜の上院では、「再び検討している」とした。これは現時点でということ。その上で「評価はまだ終わっていない」としたとウォール・ストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ジョン・ヒルゼンラス記者が書いていた。

深読みするならば、FRBも景気に陰りが出た際の対応策を探っているということで、先行きを警戒しているということになる。米国のマイナス金利の採用はないと考えているとここに書いたが、昨夜の質疑では否定もしなかったことから、この発言が現時点で想定外のスピードで金を押し上げたという側面があるのかもしれない。。


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