亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金1ヵ月ぶりの安値も、ETFへの資金流入続く

2017年09月28日 22時55分48秒 | 金市場
NY金市場でファンドのロング(買い建て)の見切り売りが続いている。益出しもあれば、投げもあるという感じだろう。いわゆる内部要因主導型の下げで、ファンドによる取引(ポジション)の巻き戻しが下げをもたらしている。いわゆる調整局面と呼ばれる状況にある。28日は、通常取引の引けが1287.80ドルと、(ワイオミング州)ジャクソンホールでの金融シンポジウム前の水準に戻ることになった。

買い越し残(以下、ネット・ロング)は、7月18日以降9月12日まで8週間連続で増加し、この間に重量換算で605トンもの増加となっていた(オプション取引を除く)。総量も792トンと1年ぶりの水準となっていた。先物市場ゆえに買い建て(ロング)は先行き売り戻されるもの。つまり先行きの売り圧力が高まっていた。

実際には、9月14日に発表された8月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を超える強い結果となったことから、FRBの利上げの障害となっていた物価上昇の鈍さが後退する兆しとの見方もあり、すでに利益確定の形でNY金先物市場では売りが出ていた。その結果9月19日時点では前週比58トンネットロングは減っていた。明日29日に発表される今週26日時点でのデータでは100トンを超える規模で減っていると見られる。

一方、このように先物市場では売りが優勢となっているが、投資需要という観点では先日来指摘してきているように、現物由来の金ETF(上場投信)の残の増加が続いている。大口の資金の対象となっている最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高は、12月の追加利上げを示唆した20日のFOMC(連邦公開市場委員会)以降ここまで5営業日中4営業日で増加。金価格が下げる中で、いわゆる“逆張り”と呼ばれる手法の買いが入り、昨日27日も2.07トン増加し864.65トンとなった。これは年初来の最大残高867トン(6月8日)に迫る規模でもある。買いの主体は残念ながら不明。月末つまり明日で終わるのか、10月に入っても続くのか見ものだ。

なお、議会共和党とホワイトハウスが発表した米税制改革案は法人税を現行の35%から20%に引き下げるなどいくつかの案が盛り込まれたが、ここまで伝えられて来た事前予想の範囲にとどまっていた。控除についての詳細や減税の財源など先送りされた重要事項は多く、合意には時間がかかる印象。


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