先週末11月10日のNY市場の時間帯の金価格。急な動きが出たのがNYの通常取引に入り中盤に入った午前11時。約4万コントラクト(重量換算約400万オンス≒124トン)の売りが一度に出され、およそ15分間で8ドルの急落状態となった。もっとも、突然のまとまった売りの割に、これだけの下げに収まったという見方もできる展開ではある。おおむね1284ドルから1275ドル前後へストンと落ちることになった。金の急落に誘導されるように銀もプラチナも連れ安ということになった。
この同じNYの時間帯にドル指数(DXY)が急動意(上昇)を見せていること、米国債に売りが出て、2年債の利回りが9年ぶりの水準に上昇、10年債も前日の2.331%から2.37%さらに2.4%へと急騰したことから、金市場ではこうした動きに反応したコンピューター・プログラムつまりロボットの自動売買システムが稼働したということか。
ややレギュラーな下げを受けて市場全般を見渡してみると、10日は米国債やドル指数(DXY)また株式市場での投資家の見通しを映すとされるVIX指数(恐怖指数)などもややイレギュラーな傾向が見られたことから、来週に迫る感謝祭(Thanksgiving)の休日を前に、市場横断的にファンドによる手持ち資産の整理の動きが出始めているということか。いわゆる「ポジション調整」と呼ばれるものの、年度版といったところ。
この突風にあおられた後の金市場は、その後戻りも鈍く1270ドル台半ばでの狭いレンジ取引を繰り返すのみで、そのまま1270ドル台半ばで終了となった。レンジ相場の継続ということに。
今週は、15日(水)に米10月の消費者物価指数(CPI)さらに米10月の小売売上高の発表が予定されている。10日は米地区連銀のひとつセントルイス連銀のブラード総裁が「インフレの観点からすると、現在の低失業率という環境が本当に懸念すべきかどうかは、はっきりしない」とし、政策金利は現行水準でほぼ適正としたうえで、12月に利上げすればインフレ期待を抑制する恐れがあるとした。物価上昇の鈍さに対する警戒が強いことを表す。明日14日にはイエレン議長の発言も予定されている。