亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ドル安の中で2011年7月以来の10営業日続伸で迎えた米雇用統計

2018年01月05日 23時33分23秒 | 金市場
12月の米雇用統計が発表された。非農業部門雇用者数(NFP)は前月比14万8000人の増加。市場予想は19万人になっていたので、予想を下回ることに。10月、11月分のデータは、下方、上方それぞれ修正された。失業率は前月比変わらずの4.1%。注目の賃金上昇(平均時給)は、前月比+0.3%で前年同月比+2.5%の上昇と下方修正された11月の前月比+0.1%、+2.4%よりも高いものの、予想の範囲内つまり賃金の加速は見られていない。

警戒モードでやや軟化していた金は、買い戻され前日終値近辺で推移中。今夜はこの後、ISMの非製造業景況指数や米耐久財受注の発表がある。

ところでNY金は4日までで、10営業日連続の上昇となるが、手元の資料では2011年7月以来となる。当初は益出しの売りに1310ドル割れまで売られたのは、日本国内がお正月休みの間に、海外市況大きく上昇し、国内先物市場で利食い売りが膨らんだのが背景。しかし、結局値を戻すことになった。

昨年12月13日に連邦準備理事会(FRB)が2015年12月以降5回目となる追加利上げを実施し、その後米税制改革法案が成立し今年の米国景気の加速を予想する声が高まり、2018年の利上げ見通しも上方修正されるとの見方が多くの関係者の間で高まった。この捉え方に重心をおけば、金市場に対して弱気の見方を取ることになる。実際に1200ドル方向への下げを予想する声は専門家の間でも少なくなかった。しかし現実は、相場は逆行し上昇を続けることになった。

なぜ逆行したか。

まず金市場は米利上げと税制改革法案の成立を前倒しに織り込み下げていたこと。しかも織り込んだ内容が現実化した際に、それ以上の売りが見られなかったこと。さらに12月中旬から下旬にかけて為替市場ではドルが全面安状態となったこと。ドル円相場を見ている分には大きな動きはなかったのでわかり難いが、対ユーロを中心にドル安が目立った。これは欧州の景気回復が予想以上に進んでおり、折しも今月から欧州中銀(ECB)が資産買い取りの縮小に着手することを受け(金融引き締め)、ドイツ国債を中心に欧州債の利回りが上昇したことがある。実際にユーロドルは1月4日には、1.2089ドルに上昇、昨年9月8日以来の高値を更新した。ちなみに昨年のNY金の高値は、まさにこの9月8日に記録した1362.40ドル(終値1351.20ドル)となっている。

この間に金市場が反応しやすいドル指数(DXY)は、今年に入り昨年9月19日以来となる91ポイント台まで下げており、この点で金の上昇はドル指数と整合性のある値動きといえる。そして昨夜も書いたが地政学要因がそこに加わる。昨年末から年明けにかけて北朝鮮情勢に関心が向けられたことも、金市場には一定のサポート要因となった。合わせてイラン国内で反政府デモが発生するなど、中東情勢への懸念も投影されている。
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