ミセスローゼンの富士日記

チェリストのナサニエル・ローゼンと日本に住んで七年目。音楽仲間と富士山麓に暮し、俳都松山へ通う日々!

レコード盤裏表聴き梅雨に入る

2017-06-16 06:36:04 | 日記

皇居二重橋。

昨日の一句。
緑陰へレコード盤を提げて行く
この「へ」について考えた。「へ」は方向を表わす助詞だから、具体的な場所(緑陰へ)を指す場合も、漠然とした事柄(平和へ)にも使える。句に広がりが出る。俳句は短いので、助詞一文字でも無駄はできない。省エネ効果の高い一語を使いたい。この句の場合、私が見たシーンは、レコード盤を提げて日向を歩く老人(まあニックなんだけど、本人がもう俺は70代に入っとると言うのだから、例え69でも老人と呼んでいいやろ。)の姿。
老人は緑陰を目指して歩き、緑陰へ消えた。だから「へ」を使った。老人と緑陰までの間の距離感があったから。だがそれがどれほど面白いだろう? 例えば、
緑陰やレコード盤を提げて行く
とすれば、上五緑陰の世界がまず眼前に開け、ホビットみたいな人がレコード盤を大事に提げて森の中を歩くような場面が想像され、その方が面白くなる。「緑陰へ」ならば、緑陰へ入る人を背後から見送ったらそれきりだが、「緑陰や」ならば、その人と同じ視線で森の中を歩き、これから何処へ行って、レコードをどうするのだろう? だれと聞くのか? という小ミステリーも生まれる。
こういう他人が見たらもうほんと、どうでもいい事を考えるのって本当に面白い。だから俳句は面白い。ところで、やっぱレコード盤はいいね。音がいい、裏表あるのが楽しい。CDは味気ないね。
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2 コメント

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Unknown (月の道)
2017-06-16 20:35:47
はじめまして!
一句一遊や俳句ポスト365に投句させていただいております、月の道と申します。

ブログ、いつも楽しく読ませていただいております。
今回は「緑陰」+「や」or「へ」のことを書いていらっしゃって、たまらずコメントさせていただきます・・・

というのも、私の小さなブログで先日ちょうど「緑陰やちいさな羽の生まれいづ」と使ったところで、朗善さんのブログを読んで背中じゅうがドキドキドキドキ~~ッ!
意味不明な内容に加え、かなり思い切って「や」を使ったので、どうだろどうだろやっぱり違うかなどうだろどうだろ、うーん、と思っていたところだったのです。
でも、助詞ひとつの使い方をあれこれ考える俳句はとっても楽しくて、なるほどなるほどと読ませていただきました。
俳句を始めてまだ1年にもなっていなくて、もちろん省エネの表現を使うのは至難の業。それに加え、ぎちぎちに詰め込みすぎると、今度は雰囲気がなくなってしまって。おおらかでのびやかな句を見るたびに、これまたおお~~っと感嘆する日々を送っております。

これからも、ご主人との楽しい日々のご様子、そして俳句のコツなどなど読ませていただくのを楽しみにしております!
Re:月の道さんへ (朗善)
2017-06-17 07:47:16
おおーやっぱりいるもんですね、同じような事をちょまちょま考えて楽しんでいる同志は!励まされるよねお互いに。

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