魚のブログ

2006年5月28日から。gooブログ移転は2014年6月21日~。

タイリクバラタナゴ

2017年03月21日 19時37分58秒 | 魚紹介



一昨日日曜日は、飼育している魚の撮影を行いました。写真の魚はコイ目・コイ科・タナゴ亜科・バラタナゴ属のタイリクバラタナゴ。


タイリクバラタナゴはその名の通りもともと大陸(中国)に生息していたもので、現在は日本のあちこちに広まってしまっている。本州、四国、九州のひろい範囲に分布し、在来のタナゴ類が生息しない北海道にもいる。

今回採集した個体は濃尾平野の小さな河川で採集したもの。手網ひとすくいで数10匹ほど入ったが、今回はあまり大量には持ち帰ることができなかった。残念だ。採集した場所ではタモロコ類、ゼゼラ類、ミナミメダカなどが沢山見られた。

タナゴの仲間の特徴として「二枚貝に産卵する」ことがあげられる。ドブガイ、イシガイ、マツカサガイ、カタハガイなどの出水管に産卵管を挿入し、貝の外套腔に産卵するのだ。上手く飼育すれば水槽内でもタナゴの仲間が貝類に卵を産み付けることを観察することができる。タナゴの仲間の雄が婚姻色を示すと極めて美しい色彩になる。このタイリクバラタナゴもあまり色が出ていないが、青や赤など派手な婚姻色を水槽でも観察できるのだ。


●タナゴ類の放流がもたらす問題


タイリクバラタナゴは、先ほどにも書いたようにもともとは大陸に生息していた魚だ。いったいそんな魚が何故日本に入って来たのか。私は戦後ソウギョなどと一緒に入って来たものとばかり思っていた。実際には1940年代初めにハクレンなどとともに入ってきたのだそうだ。そして関東で増えた後霞ヶ浦から琵琶湖へイケチョウガイという二枚貝を移植する際に貝の中に卵または仔魚が含まれていてそれが琵琶湖に放たれたそうだ。そこからはもしかしたらアユの移植の際にアユと一緒に分布を広げたのかもしれない。

その分布を広げるということで、問題が起こる。タイリクバラタナゴの放流を行うことでいったいどのような不都合が起こるか。問題が起こるのか。

亜種関係にあるニッポンバラタナゴとの間では交雑が起こっているし、産卵する対象が限られるこの亜科の魚の場合、産卵場所が他のタナゴ類と競合してしまう。タナゴの仲間は春産卵のものと、秋産卵のものがいるが、本種は春~秋に産卵する。産卵場所が本種に奪われてしまうことも多いのだ。
このほかにニッチの問題や病気の問題もあるが、これらについて話すと長くなるので今回は止めたい。先ほど話したイケチョウガイを経由しておこる問題もあり、タナゴ類産卵に使った貝を河川や池などに戻すという行為もやめたい。

このタイリクバラタナゴは、「外来魚問題」のさまざまな要素を抱えているともいえる。日本には中国タナゴ(種は不明)、トンキントゲタナゴ、タイワンタナゴ、ウエキゼニタナゴなどの種が観賞魚として輸入されるなどして人気が高いものの、それは同時に野外に放逐されるリスクもあるということだ。このような外国産の魅力的なタナゴを今後も飼育していけるように、売る側も、買う側も、飼う側も上記のことを頭に入れておくべきであろう。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ノコバホウネンエソ

2017年03月17日 13時50分35秒 | 魚紹介

2日連続でディープな魚を。



今日はワニトカゲギス目・ムネエソ科・ホウネンエソ属のノコバホウネンエソ。

ムネエソ科の魚は発光器を持ち、ユニークな体の形から深海魚の中でもよく知られている種。その中のホウネンエソ属の魚は日本に8種類が知られているが、大きく2つのグループに分けられている。一つ目のグループは、後側頭骨棘が大きく、いくつかに分岐しているもの。もう一つのグループは後側頭骨棘が小さく、単一の棘をもつもの。前者にはツノホウネンエソ、カタホウネンエソ、マルホウネンエソが含まれ、後者のグループにはホシホウネンエソ、スルガホウネンエソ、ミツユビホウネンエソと、2014年に与論島から日本初記録として報告されたチュラプシホウネンエソが含まれている。

ではノコバホウネンエソはどちらのグループになるだろうか。


ノコバホウネンエソも後側頭骨棘が大きく分岐している。ということは、ツノホウネンエソやカタホウネンエソなどと同じグループに含まれる魚だ。



ノコバホウネンエソの特徴は、臀鰭後方と尾鰭にある発光器(尾柄下部発光器、SC)の下方に鋸歯があること。これが和名の由来だろう。今回送っていただいた個体ではよく確認できなかったが、この魚を送っていただいた「たつろー」さんがTwitterでアップしてくれていた。本当に助かった。発光器の分布も、ホウネンエソ属の種ごとに違いがある。生きているものはまだ見たことがないが、光る様子はまさしくチュラプシホウネンエソの名前の由来となった「美ら星」のように綺麗だろう。


分布域は相模湾から宮崎県の太平洋岸、海外ではフィリピン近海に分布しているようだ。日本の太平洋沿岸近くには、本種やカタホウネンエソ、ホシホウネンエソ、スルガホウネンエソ、ミツユビホウネンエソが見られる。大陸棚の縁辺に生息し、外洋の中深層に生息するムネエソ属やテンガンムネエソ属の魚に比べて、まだ我々が出会うチャンスが高い種、と言えそうだ。この個体は愛知県を拠点とする底曳網漁船が採集した個体で、シャチブリなどと一緒に入っていたのをHN「たつろー」さんに送っていただいたもの。ありがとうございました。

●宮崎のノコバホウネンエソ



ノコバホウネンエソと出会うのは実は今回が初めてではない。2010年にとあるところから譲って頂いた魚の中に、この魚が入っていたのだ。今回は7年ぶりの再会となった。前回のものは宮崎県の延岡沖で漁獲されたもので、その中にノコバホウネンエソが1匹入っていたのだ。それが、私にとって初めてとなるホウネンエソ属魚類との出会いとなった。

ムネエソ科魚類はこれまでもキュウリエソ、ムネエソ、テンガンムネエソ、など見てきた。しかしホウネンエソ属魚類はその時の延岡のものと、今回の計2個体しか見ていない。できることならもっといろいろなホウネンエソが見てみたいのだ。このブログをみてくださっている漁師の皆様、よろしくお願いいたします。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

アラハダカ

2017年03月16日 09時42分50秒 | 魚紹介




今日ご紹介する魚は、ハダカイワシ目・ハダカイワシ科・ススキハダカ属のアラハダカ。ハダカイワシ科の魚は日本に87種も生息しているのだが、このブログではハダカイワシ科の魚をほとんど紹介していなかった。どろどろになったハダカイワシ属の魚を紹介してきただけで。ということで同定済みのハダカイワシ科魚類としては、このブログ初登場となる。



このアラハダカは昨年、雑誌の磯遊びイベントで三浦半島へ行った際、別の磯で拾ったもの。採集というわけではなく、もうすでにお亡くなりになっており、浅い潮溜まりでぷかぷかと浮いていたのだ。鳥に捕食されていないので幸運であったが、残念ながら尾部が若干欠けていた。



ハダカイワシ、という名前から鱗がはがれやすいものを想像しやすいが、このアラハダカは強い櫛鱗ではがれにくいという特徴をもっている。鱗が光っていて綺麗だ。ススキハダカ属は日本に7種がいるが、このアラハダカが一番普通に見られるかもしれない。一応とある方にもお問い合わせしたのだが、アラハダカでよいとのことだ。





▲2枚ともアラハダカのSAO. 2枚目は分かりやすく色を付けている。

近縁のウスハダカも北海道~九州の太平洋岸に分布するが、アラハダカとウスハダカでは肛門上発光器(SAO)の様子がことなる。アラハダカのSAOは折れ曲がるのに対し、ウスハダカはそのようなことがなくまっすぐに近い配置になっている。また見た目もアラハダカの方が幾分ほっそりしている感じだ。ハダカイワシの仲間は基本的に発光器の配置や数、胸鰭や臀鰭の軟条数などをあわせて同定するため、それらの形質が写っていない写真では同定が出来ない。最善の方法は自分で触って確かめることだ。


▲アラハダカの鰓蓋上端付近

日本産のススキハダカ属魚類は他にススキハダカ、ヒカリハダカ、イバラハダカ、ヒサハダカ、ヒシハダカの5種が知られる。鰓蓋上縁に特徴があるものが多く、ススキハダカは鰓蓋上縁が面白い形になっているし、ヒシハダカは鰓蓋上端が背方を向く。ヒカリハダカやイバラハダカ、あるいはヒサハダカといった種は鰓蓋上端が鋸歯状になる。アラハダカとウスハダカの鰓蓋上端は、鋸歯状になっていない。写真で鋸歯状になっているように見えるのは鱗である。


アラハダカなどのハダカイワシ類は一般的に深海魚とされているが、実際には浅いところと深いところを回遊している。昼は深海(400m以深)にその身をひそめるが、夜間は浅いところにまで上がってくるという。この個体もそうなのだろうか。

日本近海の分布域は千島列島から九州-パラオ海嶺とかなり広い。海外では朝鮮半島、太平洋、インド洋、大西洋、メキシコ湾とかなり広い範囲に生息している。ハダカイワシと異なりやや小形で鱗もはがれにくく食用にはされていないようだ。体長8cmになる。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

チカメエチオピア

2017年03月11日 08時15分36秒 | 魚紹介

またブログ更新の間隔があきつつあります(申し訳ない!)今日は、ちょっと前、というかもうひと月も前に購入した魚。



スズキ目・シマガツオ科・チカメエチオピア属のチカメエチオピアという魚。


ヒレジロマンザイウオを購入した、と思ったのですが、ハコを開けてみてビックリでした。

図鑑による分布域では相模湾、紀伊水道、土佐湾、沖縄島、小笠原諸島に分布するとあるが、この個体は京都府で獲れたもの。京都舞鶴の魚屋さん「水嶋鮮魚店」さんで購入したものです。送っていただき、ありがとうございました。

海外の分布域は西-中央太平洋、ハワイ諸島、ジョンストン。インド洋にも生息している模様。チカメエチオピア属の魚は、太平洋に本種のみが分布。大西洋にはもう1種トロピカルポムフレットEumegistus brevortiというのがいる。

シマガツオの仲間は種類が多い。死後すぐの個体は真っ黒な色彩が格好いい。しかし時間が経つと灰色っぽくなってしまう。今回の個体は死後あまり時間が経っていない個体で、鱗が青く輝いていて、綺麗であった。市場には生きた状態で水揚げされたのだという。残念ながら、市場のイケスの中でもうふらふら~としていたが。


▲チカメエチオピアの胸鰭と腹鰭の位置関係

チカメエチオピアはヒレジロマンザイウオという種に似ている。チカメエチオピアとは腹鰭の形がやや異なる。チカメエチオピアの腹鰭は胸鰭基部上端よりも後方にあるが、ヒレジロマンザイウオの腹鰭はそれよりもやや前の方にある。また縦列鱗数も、チカメエチオピアの方がヒレジロマンザイウオよりも多い。



また尾鰭の形も異なる。チカメエチオピアは尾鰭の中央部もやや突出た「二重湾入形」。ヒレジロマンザイウオはもっと三日月に近い形をしている。尾鰭は上・下葉の先端が白くなる。



舞鶴ではたまにツルギエチオピアも揚がるそうだ。チカメエチオピアの尾柄には特に大きな鱗はない。ツルギエチオピアは尾柄のところに大きな隆起した鱗があるので本種と区別することができる。


比較的深場に生息する種で「南日本太平洋沿岸の魚類」では水深230~620mの漸深層に生息する、とある。この本に掲載されている個体はアカムツ延縄で獲れたという。日本海側ではアカムツは重要な漁獲の対象とされている。もしかしてこの個体もアカムツ漁で獲れたのかもしれない。またこの科の小型のものは定置網や底曳網などでもたまに入ることがある。



この仲間は貪欲な肉食性の魚。はたして何が胃の中に入ってるかとさばいてみたら、釣り用のライト?が入っていた。光に反応して食いついたのかもしれない。今回は刺身で食したが極めて美味。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

キホシスズメダイ

2017年03月08日 21時09分48秒 | 魚紹介



久し振りのブログ更新。
スズキ目・スズメダイ科・スズメダイ属のキホシスズメダイ。

本州~九州までの日本海・太平洋・瀬戸内海に生息するスズメダイによく似ている。しかし、背鰭の縁が丸いことが多く、背鰭下方の白色斑が目立たない。また尾鰭が黄色っぽいことが多い。全長15cmほど。


従来はキホシスズメダイの学名はChromis flavomaculataとされていたが、これはタイプ標本の調査の結果Chromis notatus(スズメダイ)の異名とされたようで、2013年に新種記載された。学名は「Chromis yamakawai 」。Fishbaseにも早くも掲載されている。コモンネームはNorthern yellow-spotted Chromis。さらにこのほかに、背鰭の色彩などがキホシスズメダイとやや違うのがいる。これは通称「キビレスズメダイ」と呼ばれるもので、千葉県以南の太平洋側に分布する。


検索図鑑による分布域は千葉県以南の太平洋岸、島根県、琉球列島、伊豆・小笠原諸島。海外では台湾、フィリピンなどに生息し、南半球でもオーストラリアやニューカレドニア、ロードハウなどにも分布しているが、その間の赤道域にはいないようだ。南日本太平洋岸のあちこちでその姿を見ることができる。私も八丈島、高知県柏島などでこの魚とであっている。生息水深は深くなく、水深20mほどある防波堤を見下ろすと浅い場所で本種が群れで見られたりする。サビキ釣りか、サヨリ針を使って殻をむいたオキアミを餌に釣る方法などがある。



スズメダイの仲間は、あまり食卓に上ることは少ない。ただし九州地方ではスズメダイはよく食用にされる。奄美大島でもスズメダイ属の大型種はしばしば販売される。奄美大島のスーパーマーケットではアマミスズメダイが販売されていたし、昨年5月は喜界島でキホシスズメダイを見た。残念ながらスズメダイ属の魚は今のところスズメダイしか食べていない。喜界島では色々な種の魚が販売されていてどれを食しようか悩むのだ。



こちらは喜界島在住の「がほー部長」さんに送っていただいた個体。ありがとうございました。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ツボダイ

2017年03月04日 08時26分53秒 | 魚紹介




久し振りに過去に出会った魚のアップ。スズキ目・カワビシャ科・ツボダイ属のツボダイ。


ツボダイ属の魚は世界に4種ほどが知られているが、日本産のツボダイ属魚類は本種のみの1属1種。鰭が極端に長くなく、臀鰭棘数が多いツボダイの仲間はクサカリツボダイが知られている。クサカリツボダイは、前にもこのブログでご紹介している。


▲クサカリツボダイ

ツボダイはクサカリツボダイと比べて体高がやや高めで寸詰まり。また背鰭棘数にも違いがあり、ツボダイはふつう11棘だが、クサカリツボダイの背鰭棘数は13~14とやや多め。


▲ツボダイの背鰭

▲クサカリツボダイの背鰭

ツボダイもクサカリツボダイと同様に、底曳網や深海の釣りで漁獲される種。しかし以前に述べたようにスーパーで「つぼ鯛」として販売されているのは本種ではなくクサカリツボダイの事が多い。ツボダイは市場などで出るがあまりポピュラーな魚ではない。分布は広く北海道から九州-パラオ海嶺までの太平洋の深海、日本海西部、朝鮮、中国、ハワイ諸島にかけて分布している。私は八幡浜のトロール漁業で混獲されたものを見ているほか、宮崎産のものも見ている。
最近は水族館でも「深海魚ブーム」であり、タカアシガニやユメカサゴなどとともに本種が飼育されているケースもある。水深100m以深、深いところでは900mほどの場所にもみられるという。


●チョウセンバカマとの違い

ツボダイと間違われることが多い魚に、チョウセンバカマがいる。




▲ツボダイ臀鰭


▲チョウセンバカマ臀鰭


ツボダイとチョウセンバカマの見分け方は色々あるが、一番わかりやすいのは臀鰭を見ること。チョウセンバカマの臀鰭棘は3棘だが、ツボダイは4~5棘ある。またチョウセンバカマの体側には縞模様があったりするが、そのような模様が入ったツボダイの大型個体は見たことがない。ちなみにチョウセンバカマは1科1属1種とされていたが、今年に入ってチョウセンバカマのオーストラリア産のものが亜種とされたり、2新種が記載されるなどしている。オーストラリア海域に限らず、日本で「チョウセンバカマ」とされている個体も大きいものは2タイプあるように見えるが・・・。



この記事を書いたことにより、カワビシャ・テングダイ・クサカリツボダイ、そしてツボダイと、日本に生息するカワビシャ科4種について記事をかいたことになった。中央の魚はチョウセンバカマ。カワビシャ科ではないがよく似てるので比較のために。一見よく似た魚でもじっと見てれば別の種のように見えてくる。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

トウカイコガタスジシマドジョウ

2017年03月02日 03時57分43秒 | 魚介類採集(淡水・汽水)
早いものでもう2017年も1/6が終わりました。

2月18日は、ちょっと納豆ランドを離れて遠征。圏央~東名~名神と数100㎞高速道路を走って小魚採集。
狙いはこの魚。




トウカイコガタスジシマドジョウでした。

コガタスジシマドジョウの亜種の一つ。他にコガタスジシマドジョウの亜種にはサンヨウコガタスジシマドジョウ、サンインコガタスジシマドジョウ、ビワコガタスジシマドジョウ、ヨドコガタスジシマドジョウが知られているが、トウカイコガタスジシマドジョウが最も健全な状態を保っているのかもしれない。



トウカイコガタスジシマドジョウは斑紋にはバリエーションがある。こんな感じで明瞭な2列の点になってるもの。線と点のもの。完全に線のような形のもの。自分の気に入る模様のものをお持ち帰り。


近年は全国的に河川改修という名前の改悪が行われており、このコガタスジシマドジョウたちの未来も明るくはない。特にヨドコガタスジシマドジョウはもう絶えてしまった可能性が高いという。今回採集を行った場所は、護岸はされていたところもあるが、やわらかい泥の中に、大きい個体から小さな個体まで多数のトウカイコガタスジシマドジョウの姿を見ることができた。同じ場所にはドジョウ、ゼゼラ、タイリクバラタナゴ、タモロコ、フナの類、そして大量のミナミメダカが生息していたが、ヨシノボリ類は今回は1個体しか見ることが出来なかった。しかし、長らく行っていなかった淡水魚の採集。いいリハビリになった。


2月はブログをあまり更新できなかった。やらなければいけない仕事があり、それを終わらせるのにかなり時間がかかってしまったのだ。


3月は恐らく、全力を四国&九州の魚にかけることになるだろう。瀬戸内地方に多いあの魚や、九州特産のあのナマズ、あのドジョウに出会えるだろうか。しかしあのドジョウやナマズの生息地も某サイトやTwitterを見ていたら工事などでかなり荒らされてしまっていた様子。環境省は飼育者や採集者、あるいは業者よりもこっちを取り締まってほしいものだ。大浦湾や那覇空港界隈の埋め立てなど色々ニュースとなっているが、あの地域も何とかならないだろうか。一度破壊されたサンゴ礁はもう二度と元には戻らない。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ブログ更新について

2017年02月19日 20時21分46秒 | 指定なし


ツイッターやFBなどは更新していたのですが、ブログの更新はできていませんでした。

もしかして長めの文章を書くのが苦手なのかもしれません。(+本業が忙しくなり、ブログ記事の下書きをできていませんでした)

でも今回(2/18)に6年+αぶりのポイントで採集をすることができました。しっかりリフレッシュしましたので、明日からまたばんばん書いていこうかと思います。

更新できなかったことをお詫び申し上げます。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ホソウケグチヒイラギ

2017年02月04日 14時21分26秒 | 魚紹介


昨日は節分でした。節分で魚と言えば、ヒイラギの枝に「イワシ」の頭を指した「ヒイラギイワシ」が知られている。勿論この「ヒイラギ」というのは植物のヒイラギであり、魚のヒイラギではない。

そういえばスズキ目・ヒイラギ科の魚はこのブログではあまり取り上げてこなかった。ヒイラギ、ヒメヒイラギ、オキヒイラギの3種をブログで取り上げてきた。日本には13種いるが、ヒイラギ属のヒイラギ、イトヒキヒイラギ属の2種をのぞき、多くの種が熱帯・亜熱帯海域にすみ、沖縄や鹿児島方面まで行かないと見ることが出来ない種も多いのだ。ちなみに私は自慢ではないが、この科の魚の多くの種を見ている。いまだに見たことがないのはヒシコバンヒイラギ、オオメコバンヒイラギ、ヤンバルウケグチヒイラギ、キビレヒイラギの4種だ。



もう6年近く前の事だが、2月にヒイラギを買ったとき、パックの中に衝撃的な魚が入っていた。ヒイラギ科・ウケグチヒイラギ属のホソウケグチヒイラギである。



ウケグチヒイラギ属の魚は口が特徴的。日本生息する14種のヒイラギ科魚類のうち多くの種が口を前下方、もしくは前方に伸出させられるが、このウケグチヒイラギ属の2種のみ、口を前上方に突出させることが出来る。この特徴的な口がヒイラギのなかでちょっと出ていたので、これはもしやと思い持ち帰ってみたところ、まさしくホソウケグチヒイラギであった。



ちなみにこのヒイラギが山ほどはいっていたパックには「メッキアジ(カイワリ)」と書かれている。メッキアジはふつうギンガメアジやカスミアジなど、ギンガメアジ属魚類の子を指すのだが、底曳網業界でメッキアジと言ったら、カイワリの事なのである。もっともそれでもカイワリと属どころか科さえ違うが。写真ではわかりにくいが一番右上の子がホソウケグチヒイラギだ。

ウケグチヒイラギ属は南アフリカから中央太平洋までの海域に分布し、7種が知られている。日本産は2種。もう1種、沖縄島や西太平洋域にすむヤンバルウケグチヒイラギは頬に鱗があることにより本種と見分けられる。体高も同定の形質に使えると思われたが、実際は成長段階で体高と体長の比率がかわるようだ。またヤンバルウケグチヒイラギの体側背部の横帯は10本ほどなのに対し、ホソウケグチヒイラギのそれはもっと多いようだ。



ホソウケグチヒイラギは2008年に鹿児島県産の標本をもとに日本初記録として報告された。この他高知県からの記録もあり、長崎県でも獲れた。鹿児島県では本種がそれなりに獲れるようで、大隅半島の方ではよく見られるらしい。今回の個体はフォルマリンで展鰭をしたので、残念ながら食べることはできなかったが、鹿児島方面では食用にされることもあるようだ。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

フィリピンスズメダイ

2017年02月02日 22時07分11秒 | 魚紹介
昨日から2月です。



写真の魚はフィリピンスズメダイ。スズキ目・スズメダイ科・ソラスズメダイ属の魚。ソラスズメダイの仲間はサンゴ礁に生息する魚で、インド-中央太平洋に生息し、アメリカ西海岸や大西洋には生息しない。「フィリピン」とつくとフィリピンの固有種のようにも思えるが、本種はインド洋のモルディブからフィジーまでの海域に生息し、日本でも琉球列島に生息している。



体は黒っぽいが尾鰭の黄色が鮮やかで、背鰭や臀鰭にも黄色があるが、これらは老成魚では消失する。老成個体でも薄ら黄色というか白くのこることもある。幼魚の鰭の黄色は極めて目立つ。スズメダイの仲間は成魚より幼魚の方が綺麗なものが多く、本種もその例といえる。Fishbaseではインド洋モルディブの個体の写真が掲載されているが、インド洋のは太平洋のよりも、なんとなく黄色が鮮やかなように見える。インド洋産のニシキヤッコだって黄色が強い。



一方標本でフィリピンスズメダイを他のソラスズメダイ属を見分けるのは難しくない。本種がほかの日本産の多くのスズメダイと違うところは、眼下骨上に鱗が並ぶこと。この特徴をもつソラスズメダイ属は日本産では2種しかいないとされる。もう1種のアサドスズメダイは薄い灰色の体で、背鰭と尾鰭の付け根が少し黄色くなる。




フィリピンスズメダイの胸鰭基部にある大きな黒色斑は明瞭で他種と間違えることは少ないといえよう。アサドスズメダイは、フィリピンスズメダイの胸鰭基部にある大きな黒色斑がなく、胸鰭基部上方に小さな黒色斑がある程度だ。アサドスズメダイも琉球列島のサンゴ礁で見られる種であるが、あまり釣れた話は聞かない。ただ一度だけ、奄美大島で釣れたのを頂いてきたことがある。それくらいだ。



肛門から内臓が少し出てしまっている。水深数mほどのサンゴ礁に生息し、あまり深場に生息する種ではない。Fishbaseに掲載されている本種の生息水深は1~12mだ。今回の個体は以前のルリスズメダイ同様、鹿児島県喜界島産。喜界島の「がほー部長」さんに送っていただきました。ありがとうございました。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ツノガレイ

2017年01月31日 20時22分16秒 | 魚紹介

1月も今日で終わりです。

以前いただいたカレイ。カレイ目・カレイ科・ツノガレイ属のツノガレイ。



ツノガレイは日本では北海道でしかお目に罹れない貴重な種だ。魚類検索第二版では北海道の限られた地域にしかいない風な感じに書かれていたが、第三版では北海道全域に生息することになっている。他に朝鮮半島の日本海沿岸や、北米の西海岸(北東太平洋)にも分布。




本種の最大の特徴は眼後方から側線始部にまでにある5個前後の突起である。これが整列して並ぶことで日本産の他のカレイの仲間と区別することができる。この突起はかなり大きなもので、他のカレイと見間違えることはほとんどないと言える。頭部の背面からみると、カレイの仲間とは思えぬ雰囲気。もっとも、頭部が右を向いているので、カレイの仲間だとすぐわかってしまいそうだが。



有眼側の体色は黒っぽい、というか褐色の色彩であるが無眼側はマツカワみたいに黄色っぽいのがきれい。鰭には有眼側、無眼側、ともに目立つ縞模様がない。有眼側の体には白い斑点があるが、赤い斑点などは見られない。

Fishbaseによると、全長が87cmとか言われているが、普通はもっと小さい。Pleuronectes属(ツノガレイ属)は色々と分類がややこしくなっている。魚類検索図鑑ではマコガレイやマガレイなどをツノガレイ属に含めていて、この考えに従っている事が多いが、海外ではLimanda属やPseudopleuronectes属などに細分する考えが強くなってきている。個人的にはマコガレイ・クロガレイ・クロガシラガレイはマガレイやアサバガレイなどとはやや違う仲間のように思えるがどうなるだろうか。Fishbaseによるツノガレイ属は3種だが、うち1種は別属の可能性が高いようだ。もう1種Pleuronectes platessaという種は欧州産で全長50cm。有眼側に赤いまたはオレンジの斑点があり、ツノガレイよりはだいぶ華やかな印象。



今回は唐揚げにして食べた。旧年中に坂口さんに送っていただいたのだが、今回は年明けまで冷やして、揚げて食べた。レモン汁をかけて「フレッシュレモン」10位になったお祝い。坂口さん送っていただきありがとうございました
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

アカメ

2017年01月30日 23時05分25秒 | 魚紹介

またブログ書くのを忘れてしまい申し訳ありません。気が付けば1月ももうお終いです。1月は茨城県の河川を開拓したり、雑誌(本日届きましたありがとうございました)にも関われたりと充実した月でした。




アカメ科の魚は世界で3属約10数種が知られている。日本に生息しているのは少なくとも2属2種。沖縄県の西表島からアカメ科と思われる魚の記録があるのだが、標本が得られておらず、どの種かは不明だ。

アカメ科の魚は日本にも多数輸入されている。通称「ナイルパーチ」と呼ばれるナイルアカメ(以下ナイルパーチ)と、バラマンディの2種。バラマンディは主に観賞魚として輸入され、通称「シーパーチ」と呼ばれている。ただし成魚は巨大化することを考えると、あまり飼育するのには向いていないかもしれない。ナイルパーチはここ数年ものすごくよく輸入されていて、沖縄や奄美など、スーパーではこれの加工品がよく販売されていたものだ。今も販売されているだろうか。現在日本に輸入されるナイルパーチはすべて冷凍されたもの。従来は観賞魚としても輸入されていたが、外来生物法が改訂されその対象種となり原則輸入や販売、新たな飼育が不可になった。しかし実際には巨大な水槽があれば飼育できる種で、一律に飼育禁止とか販売禁止にするのはちょっと変な気がする。まずは生き物の放流を禁止するルールを考えるべきだろう。

アカメ科は以前はもっと種類がいた。大西洋と東太平洋に生息するホソアカメ属の魚がアカメ科に含まれていたためだ。現在は独立した科Centropomidaeとなっている。この科の中にはホソアカメ属の魚12種が含まれ、つい最近ホソアカメが日本にも輸入され話題となった。この種はメーターを超えない小型種で飼いやすいかもしれない。


分布域は神奈川県~種子島。日本固有種と考えられている。従来は数が減少し一部の県で採集が禁止されているが、その理由は乱獲というよりも、生息地の改変である。幼魚はアマモ場によく見られ、そのアマモ場を守ることこそがアカメの保全につながっている。現在ではかなり多くの個体が見られ、危機は脱したように思えるが、それでも生息地の破壊ということは、他の魚でもよくみられるパターンだ。今の日本は、河川の改修という御旗のもとに生き物たちを殺しまくっている。飼育についても興味があるところだろうが、最大でメーターオーバーになる種。一般的な家庭には勧められない。将来的に幅300cmの巨大水槽の購入を約束できるひとしか、飼育してはいけない魚だ。



難しい話になったので、アカメの特徴を。側線が尾鰭にまで達するのだ。尾鰭は大きな丸い形で、体高も高く、背鰭棘もよく伸びており、この間のスズキとは容易に区別できる。ちなみに今回は2個体入手しているが、この尾の写真は、別の個体のもの。



頭部の様子。高い体からしゅっとした小さな頭部が特徴的。眼が赤いから「アカメ」。口は下顎の方が長い。アカメ科の魚は、先ほども述べたとおり日本に明らかに生息しているといえるのは2種類。アカメモドキは1属1種で、インド洋の東部~西太平洋に生息し、日本では奄美大島以南の琉球列島に産する。ややずんぐりした体で、上顎が下顎よりも長く、側線有孔鱗数がアカメよりも少ない。


食味については不明。アカメが魚市場に入っても、購入を逃してしまったことは何度かある。今回の個体は、残念ながら冷凍→自然解凍→冷凍ということをしているため、あまり食さない方が良いかもしれないとのことだった。今回のアカメも、前回のスズキ同様「サビキのカネマン」さんに頂きました。本日、無事耳石も採取できました(朝はテンションが↓だったので半日かけてでしたが・・・) ありがとうございました。


コメント
この記事をはてなブックマークに追加

スズキ

2017年01月27日 21時55分24秒 | 魚紹介


ブログ久々に更新。スズキ目・スズキ科・スズキ属のスズキ。宮崎釣行記事以来久しぶりの登場。今回の個体はちょっと痩せている。餌が少ないのか産卵後なのかげっそり。



スズキの特徴は吻がややとがっていること、体側に黒色斑がないこと。ただし幼魚、場合によっては成魚でも黒い斑点が出ることがある。その場合タイリクスズキとは顔を見る方がいいが、これも微妙なところ。宇和海ではタイリクスズキがよく釣れる。再生産しているかどうかは定かではないが、おそらく再生産しているかもしれない。いずれにせよ喜んでばかりはいられない。新しい外来種問題を引き起こしそうだ。宇和島ではスズキはほとんど見たことがなく、タイリクスズキとヒラスズキが多い。河口付近の魚食魚ということでは夏になるとギンガメアジ、ロウニンアジ(いずれも稚魚が多い)なども見られる。



尾部がほっそりしているのもスズキの特徴。ヒラスズキは尾柄部が太くて短い。背鰭軟条数にも違いがあり、スズキは背鰭軟条12~14、ヒラスズキは15~16本が普通だ。

最近、とある理由があり、スズキが欲しかった。Twitterにその旨を書いたところ、サビキのカネマンさんに送っていただいたのである。とてもうれしかった。
今回はスズキを2個体。そして他の種類の魚も2個体。計4個体も送っていただきました。ありがとうございました。これではかどりそうです。サビキのカネマンさんはサビキの製造業者さん。ボラの皮で作ったサビキを販売されております。高知県の釣り具店で買うこともできるそうです^^

さて。私の研究は主に魚の頭部を対象としていますので、身は食べることができます。勿論、そうするにはちゃんと体のサイズを測ったりする必要がある。全長、標準体長、頭長、そして種によっては肛門前長も。場合によっては魚体重もはかる。そうした計測データがないと、せっかく魚を手に入れても無駄になってしまう恐れがある。




スズキを食べたのはいったいいつ以来か。恐らく2005年以来ではないだろうか。私にとって釣りとは何時も餌釣りでありルアーや餌木で釣ることはほとんどしないので、スズキとはあまり縁がない。以前釣ったスズキもサビキや投げ釣りで釣ったもの。あるいは定置網や地曳網で入手したものだ。最近ルアーでのスズキ釣りはシーバスフィッシングと呼ばれ、ライン、ロッド、そして魚種まで横文字が並ぶようになりあまりなじめない。私は投げ釣りで狙う小ぶりのスズキ釣りが好きなのだろう。

今回はムニエルにして食べた。新鮮なものは刺身でもいけるが、今回は一度冷凍していたので、このような料理法がよいと思い、実際にかなり美味しかった。綺麗な場所ならスズキの刺身も美味しい。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

希少な魚の養殖とそれにかかわる問題

2017年01月24日 19時16分49秒 | 環境問題


最近、ワシントン条約や各国の法律で保護されている魚の養殖個体が観賞魚として流通されることが多くなった。アロワナの仲間のアジアンボニータン(アジアアロワナ、アロワナ目アロワナ科)はワシントン条約の付属書Ⅰの指定種であり、国際的な野生個体の取引が禁止されているが、養殖の方法が確立しており、現在でもたくさんのファームで養殖された多数の貴重な骨舌類を見ることが出来る。さらにやはりワシントン条約により国際的な取引が規制されている巨大なナマズのメコンオオナマズや、原始的なハイギョの仲間のオーストラリアハイギョも輸入されるようになった。これらの種はかなり高価であるため一般のアクアリストには手が出しにくいが、それでも飼育することが出来ない、よりははるかに良い状態であると言えるだろう。さらにこれらはかなり大型になる生き物なので、中途半端な設備では大きくできないし、巨大な水槽をもつ人でしか飼えないし、買ってもいけないので丁度いいかもしれない。

ワシントン条約で国際的な取引が規制されている海水魚も何種かいる。日本に生息しているタツノオトシゴの類もそうだ。漢方薬の原料で乱獲され数が減少しているので国際的な取引には書類などが必要なのだ。タツノオトシゴの仲間は日本各地の沿岸にすみ、アマモ場や藻場に生息しており自家採集も可能。飼育は他の海水魚と比べ簡単とは言えないが、業者だけでなく、ごく一般的なアクアリストのなかにもタツノオトシゴの繁殖に成功している人がいるほど。

日本の淡水魚はどうか。日本の淡水魚のなかで種の保存法によりミヤコタナゴ、イタセンパラ、カゼトゲタナゴ(山陽産。魚類検索第三版)、アユモドキの4種が保護対象となっている。これらは採取や譲渡、飼育を原則禁止するもので、生息地の改変はとくに禁止されているわけではない(実際にはそうでもないようだが、あまり省庁もそれについては煩く言っていない)。そして生息地の改変が、絶滅が危惧されている最大の原因である。次いでブルーギル・ブラックバス類等による食害、乱獲、他の外来種との競合、農薬、だろうか。

現在はミヤコタナゴやアユモドキなど増・養殖の事業が進められている。その養殖された個体をアクアリストに販売してもよさそうなものではあるが、なぜかそれをしない。現状どの省庁も資金難であるが、養殖した個体をアクアリストに販売すれば、それも解決でき、さらに密漁も防ぐことが出来て一石二鳥であるのだろうが。

それをしない理由はいくつか考えられる。たとえば、正規に採集されたり養殖されたりしているものか、わかりにくいということがあるが、繁殖がすすめばわざわざ採集する必要がなくなるだろう。何故なら法を犯すというのは危険なことであり、場合によっては堀の中に入ってしまうということがあるからだ。一方、偏った見方をすれば、「希少な保護種を飼育できる特権を手放したくない」研究所や水族館が反対しているのかもしれない。しかしそれは理解できる。人間は、特権を享受できる立場にいればうれしいし、その特権をある日突然享受できず、一般的に開放されたらがっかりする、そんな生き物だからだ。

しかしやはり最大の理由は、「希少な淡水魚を放して、新たな外来種問題を引き起こす恐れがある」というのが事実ではないだろうか。

希少淡水魚種を自分の近所のまだまだ自然がのこる綺麗な河川で保護してやろう、という考えがあるかもしれない。種の保存法で保護されている魚4種のうち3種はタナゴの仲間だ。タナゴの仲間はコイ科のいちグループなのだが、他のコイ科の魚のように、水草や水底に卵を産み付けるのではなく、河川の底に生息する二枚貝のなかに卵を産む(ヒガイの仲間も同様)。もしミヤコタナゴなどの種が河川に放されてしまったら、その分在来のタナゴ類が産卵できる二枚貝が減ってしまう。最近は河川の改修や、地域によっては販売用として二枚貝も乱獲されるようになってしまい、二枚貝の数も減ってしまった。個人的な趣味により二枚貝を採取するのは問題とされにくいが、ある県では販売用に業者が河川のどこにでもいたマツカサガイなど採取しつくしてしまった...という信じがたい話も聞く。購入は乱獲をする業者の乱獲に加担してしまう恐れがあり、できるだけ避けるべきかもしれない。

さらに問題なのはタナゴ類が卵を産む二枚貝は飼育がやや難しい。昔の飼育本など読んでいると「タナゴ類の産卵が終わったら、河川に戻してやろう」という一文があるが、それは問題視されるべきだ。もしその貝の中にまだタナゴの仔魚がいたならば、新たな外来生物の蔓延を招くことになってしまう。貝に与えている餌もいったいどの水域から採取してきた藻類なのか。貝に付着している小動物はいったいどこのものなのか...それを考えると、たとえ採集してきた二枚貝であっても、採集してきた場所であっても、再度河川に戻すことを慎むべきであろう。勿論、タナゴだけでない。

今日(2017/1/24)にも、大相撲初場所 大関 稀勢の里優勝→横綱昇進が確定ということで茨城県民はみな歓喜している様子が報道されているが、その大関の出身地である竜ヶ崎市の隣町でこのようなニュースがあった。

<養殖業者>衰弱チョウザメ 50匹を川に放流 死骸浮く (毎日新聞・Yahoo!ニュース)

チョウザメの仲間の種については触れられていないが、恐らくベステルと呼ばれる属間交雑の品種だろう。一般的に交雑個体は不妊と思われがちだが、チョウザメの場合は不思議なことに属間交雑でも妊性があるというのだ(チョウザメの場合筋肉も食用とするが基本的にはイクラー(キャビア)をとる為に養殖されるので、妊性がなければおかしい)。弱った魚を河川に放せば外来種の放流、死骸を川に捨てたのであれば死体遺棄、(正確には魚類の場合だと法律上不法投棄になってしまう)となると思われるが、実際にはそれですむ問題ではない。人類は冷水病やKHV、あるいはカエルツボカビの件で懲りたのではなかったか。最近では埼玉でのホンモロコ(琵琶湖原産)の養殖など、淡水魚の小規模養殖が「はやり」になりつつあるが、逃がしたり遺棄したり、あるいは逃げたりすれば外来生物の放流だし、死骸を遺棄するならばバイオハザードであることを養殖業者は頭に入れておくべきだ。今回のチョウザメは弱ったから野に放ったということだが、冒頭にも述べたように、中途半端な設備では養殖どころか、飼育さえ満足にできないし、魚も可愛そうだ。養殖業者は設備の充実と、養殖魚が逃げた場合は外来種を逃がすことになるということをきちんと理解しておかなければいけない。

世間ではガーやナイルパーチの放流どころか飼育を禁止することについて当然という意見も多々見受けられるが、私は逃がさないように一生飼育するべきことが大事だと考えている。そして法律で飼育禁止の魚を増やすのではなく、放流を禁止する方向に何故向かわないのか。そうなればホタルの幼虫に食わせるカワニナを放せなくなるからか。あるいは、サケマス業者との癒着があるのだろうか。このままでは単なる「いたちごっこ」。根本的な解決にはならない。「海外の魚のすべてを輸入禁止にすべき」という意見も聞くが、国内の魚も飼育に飽きたら放流し、遺伝的多様性が損なわれる可能性も考えられる。結局放流を禁止するようにしなければ、何も解決しない。

また観賞魚の放流について問題視する意見が多くとも、コイなどの放流についてはあまり問題がないという意見が多い。この間もコイに酒を飲ませ川に放流するという神事があったが、閉鎖的な池ならともかく、河川にはなすとしても問題ないという意見が多かったのに驚いたし、昨年の「おさかなポスト」が河川に外来魚を放流していたという信じがたい出来事もあった。

いずれにせよ放流は原則禁止するべきだろう。サケマスの保護事業等、どうしても必要な場合のみ、その水系の個体群に限り放流を認めるというのはどうだろうか。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ヌマガレイ

2017年01月23日 23時12分02秒 | 魚紹介




5年以上ぶりに登場。
カレイ目・カレイ科・ヌマガレイ属のヌマガレイ。

ヌマガレイはカレイ科ではあるが、(すくなくとも日本近海産のものでは)眼が体の左側にあることがほとんど。カレイ科の魚では、眼が体の右側にあるものが多いが、たまに眼が体の左側にある個体もいる。もっとも、それは「たまに」であり、ヌマガレイのようなケースは日本産種の中では珍しいといえそうだ。




ヌマガレイの体には骨質の小突起がある。1個1個が小さいもので、有眼側はもちろん、無眼側にもある。有眼側のものは薄い茶色っぽくわかりやすいが無眼側のものは白くて写真では見にくい。でも確認できるだろう。その他の特徴としては、背鰭や臀鰭の縞模様。このように明瞭な縞模様を有する日本産カレイ科魚類は他にマツカワ、トウガレイなどがいるが、これらの種類は鱗があるので区別は容易。このブログでも以前にトウガレイについて書いているので、参考にしてほしい。
ヌマガレイ属は分類学的にはイシガレイ属と近縁であると考えられる。鱗がなく骨質の板があるのがイシガレイの特徴。この両種の間の交雑個体も知られている。

ヌマガレイは汽水域は勿論、カレイの仲間では珍しく淡水域にも入ることが多い。同じように先ほどのべたトウガレイも汽水域に入る。またヌマガレイもトウガレイも沿岸の海域に生息し、分類学的に近い仲間とされるイシガレイも温帯域の浅海域から河川の汽水域に生息している。
他の沿岸性のカレイ同様に投げ釣りで釣れる。他、刺し網などの漁法でも漁獲されている。ヌマガレイは口が小さく、甲殻類などの底生動物や小型の魚などを捕食すると考えられる。分布域は北海道~島根県までの日本海、千葉県までの太平洋岸で、茨城県以北に多い。海外では朝鮮半島の日本海沿岸~カリフォルニアまでの広い範囲に分布していて、北米産のものは眼が体の右側にあるのもいるそうだ。Fishbaseのサイトでも、眼が体の右にある個体が紹介されている。



ヌマガレイは意外なほど味についていい評判を聞かないが、以前食べたものは臭みもなく美味しかった。今回は煮つけにして食べてみた。皮はやはり小さな突起があり、皮ごと食べることはしにくい。皮は外して筋肉を食したが美味であった。今回の個体は卵を持った「子持ち」の個体であったが、卵も美味しいものだった。なお今回の個体は北海道産で、坂口太一さんに送っていただいた。ありがとうございました。


コメント
この記事をはてなブックマークに追加