魚のブログ

2006年5月28日から。gooブログ移転は2014年6月21日~。

同定が難しい魚たち

2017年04月23日 22時28分58秒 | コラム

魚の中には同定が非常に難しいものがいる。私が同定する魚は基本的に魚を白いバックの上から撮影する。あるいは防波堤や岩の上に魚を置いて撮影するのを見ることが多いが、それでも確実に同定できるわけではない。さらに困ったことに写真だけではきわめて同定が難しい魚もいるのだ。そのような魚をあげてみたい。

1.ハダカイワシの仲間

ハダカイワシの仲間は写真からの同定が意外と難しいグループだ。発光器の分布で同定を行うのだが、現物があっても、ハダカイワシをよく見ている人でないと難しいことがある。勿論歯の分布や、鰓耙数、あるいは胸鰭軟条数など、写真からだけでは調べるのが困難なものも多々ある。何度か同定してコツをつかむ必要がある。

2.サバの仲間の幼魚

日本に分布するサバはマサバ・ゴマサバの2種。成魚は腹にごま模様が出るか、出ないかで同定することが多いが、これはあまり使えないようだ。成魚でマサバとゴマサバを見分けるには体側正中線上に1列の暗色斑点がないか、有る場合は背側の虫食い状斑紋とつながるのがマサバ、体側正中線上に1列の暗色斑点があり体背部の虫食い状の斑紋と連続しないのがゴマサバ、とされる。しかし幼魚は模様だけでは判別しにくいので、別の方法を使用する。基本的にマサバは第1背鰭棘数が9~10、ゴマサバは第1背鰭棘数が11~12とされる。これで見分けるのが簡単であろう。ただしこれで判別するには、ちゃんと背鰭の棘条数が分かるような写真を撮影しておく必要がある。またサバ科は第1背鰭と第2背鰭というふたつの背鰭があるが、第2背鰭にも棘がある。「背鰭の棘を数えて...」というのではなく、「第1背鰭の棘を数えて...」というべきであろう。

3.ネズッポの仲間

ネズッポは釣り人には「めごち」「がっちょ」などと呼ばれあまり歓迎されないが美味しい魚である。このネズッポ科の魚は日本に38種もいて、特にネズッポ属の魚はいずれもよく似ていてわかりにくい。縦扁しているこの仲間、よく上から撮影されることが多いが、この仲間は上から撮影しただけでは特徴が分かりにくく、同定は困難である。体側、できれば細い虫ピンなどで鰭を広げて撮影するべきものである。特に背鰭の形、斑紋、臀鰭、尾鰭の色彩や模様は重要な同定形質となる。ちゃんと撮影すること。


4.ボラの仲間
ボラの仲間も意外と悩ましい群である。胸鰭基部に金色の模様を有するコボラ、背中正中線に明瞭な隆起をもつセスジボラ、胸鰭が黒く尾鰭の形が特徴的なオニボラなどは簡単に他種と見分けられるが、フウライボラやナガレフウライボラ、タイワンメナダとカマヒレボラのように、一見見ただけでは同定が出来ない種も多い。ちゃんと口の中の歯の様子まで見られるような人ではないと、同定することは難しいだろう。


5.ブダイの幼魚および雌

ブダイの仲間は日本に37種もいるが、雌や幼魚は同定困難なものが少なくない。とくにアオブダイ属、ハゲブダイ属の雌や幼魚で顕著だ。オビブダイとオウムブダイ、スジブダイとレモンブダイなど、識別が困難なものさえいる。さらにひどいことに、すべての種で背鰭・臀鰭の棘・軟条数が同じであり、鰭条式を用いた識別ができないのだ。最近でたベラ&ブダイ図鑑はブダイ類の雌や幼魚もカバーしてはいるものの、やはりこれらの種の区別は困難であるようだ。


6.メジロザメの仲間

サメやエイなど板鰓類はなかなか同定が難しいグループである。メジロザメの仲間は種類が多く、肉は練り製品、鰭はフカヒレになり、浅瀬までやってきて釣れた獲物を食いちぎる、あるいは海水浴場周辺に出現しビーチが封鎖されるなど何かとヒトと関わりがある群であるにもかかわらず、同定はむずかしい。メジロザメの同定には鰭の位置関係、両顎歯の形、鰭の色彩などが用いられる。体全体が写っている画像や、両方の顎歯の形状がわかるような写真が同定に必須だ。しかしながら実際には写真だけではわからないこともある。できることなら個体を残しておくべきであろう。


7.シマドジョウの仲間

従来のシマドジョウのグループは同定がしにくい。ニシシマドジョウとオオシマドジョウは同じ地域に分布している。この2種の見分けには尾鰭の基部付近にある横に並んだ黒いゼリービーンズのような形の斑紋の濃さが有効とされていたが、それだけでは難しく、分子分類学的な手法を組み合わせないと、確実なことは言えないようだ。


8.トウゴロウイワシの仲間
熱帯から温帯域に生息するイワシに似た小魚。しかしイワシとは近い関係にあるわけではない魚。イワシの仲間とは背鰭が2基あることや腹鰭の位置関係から区別は容易だが、トウゴロウイワシ科の中の他種との同定が難しい。本州から九州にはこの仲間はトウゴロウイワシ、ギンイソイワシ、ムギイワシ、ヤクシマイワシ、ホソオビヤクシマイワシと5種がみられる。とくに最初の2種は互いにそっくりさんで、肛門の位置が分からないと同定は難しい。ただこの2種は分子分類の観点からはよくわかれているようで、別属である可能性が高いとされる。


9.メバル類

2008年にクロメバル、アカメバル、シロメバルと3種に再度分類された「メバル」。しかしながらこの3種の同定は難しい。この3種のメバル類、「アカメバル」「シロメバル」「クロメバル」の名前の由来は勿論「色」であるが、実際には色の変異も多い。胸鰭軟条数や側線有孔鱗数でこの3タイプは区別できるようだが、実際にはこれらの特徴で同定するのは極めて難しい。


10.フナ

こんなのわかるわけがない。日本産のフナはギンブナを除くと2種が有効とされるが、4亜種を含むCarassius buergeriの亜種は同定が困難だ。鰓耙を見たり、分子分類学的な手法に頼りたいところだが、それさえも困難なもようだ。ただしゲンゴロウブナだけは鰓耙が極端に多いためC. buergeriと同定が可能。鰓耙数はプランクトンを食べるような魚は多いということであるが、たしかにゲンゴロウブナの改良品種であるヘラブナはプランクトンのようにばらける練り餌で釣る。

他にもいるが、きょうはここまで。
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キスジヒメジ

2017年04月22日 21時18分10秒 | 魚紹介



今日は北海道シリーズはお休み。以前に入手してまだ書いていなかった魚。スズキ目・スズキ亜目・ヒメジ科・ヒメジ属のキスジヒメジ。


▲キスジヒメジの尾鰭

キスジヒメジの和名は体側にある一本の黄色い縦線から来ているのだろう。他にこのような模様をもつヒメジはアカヒメジなどいるが、アカヒメジはキスジヒメジとは違うヒメジ属に分類される種。ヒメジ属とアカヒメジ属の違いは、鋤骨や口蓋骨の歯の有無などで見分けられるようだ。また色彩的にも、アカヒメジには尾鰭上葉に模様があるように見えないが、キスジヒメジの尾鰭には何本かの細い白色線があるので、アカヒメジと見分けられる。また黄色い縦線もアカヒメジよりも太く目立っている。もう1種ウミヒゴイも体側に太い黄色帯があるが、ある程度育ったものは頭部の形や体形で見分けは容易、また側線鱗数や鰓耙数なども同定のポイントとなっている。



この個体は高知県以布利の定置網漁業で採集された個体。同時にアカヒメジも採集されていたが、見分けるのはそれほど難しくはなかった。水深80m以深の海底に生息する種で、分布域は三重県尾鷲以南の太平洋岸、琉球列島。海外ではインド-西太平洋に生息し、スエズ運河を経由して地中海にも侵入している模様。ヒメジ科は近年の分類学的再検討の結果、種類が大幅に増えている。キスジヒメジはかなり広い分布域だが、インド洋のものと、太平洋のものは別種ということにはならないのだろうか。

今回は撮影後展鰭したため食用にはできなかったが、東南アジアなどでは食用とされている。ヒメジ属としては結構大きくなる種で、刺身などきっと美味しいだろう。

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ミズウオダマシ

2017年04月21日 17時05分48秒 | 魚紹介


北海道シリーズも本当に残りわずかに。今日はヒメ目・ミズウオ科・ミズウオダマシ属のミズウオダマシ。

ミズウオダマシ属は従来はハダカエソの仲間に含まれていたことがあったが、新しい系統解析によれば、ミズウオやキバハダカと単系統群を構成するものとされている。ただミズウオダマシが所属する科については、ミズウオ科の中に含まれたり、あるいはミズウオダマシ属1属を含む独立した科にされている。今回は日本産魚類検索 第三版に従い、ミズウオ科とする。このブログで、ミズウオ科の魚をアップするのは初めてである。


今回のミズウオダマシ、全長1142mmでこれまで出会ってきたヒメ目の魚としては最大のサイズであった。


▲背鰭はない


▲脂鰭

ミズウオ科は4属が知られている。ミズウオダマシが他の3属と比べて大きく違うのは、背鰭がないところである。体の後方に見えるのは脂鰭で、これはミズウオにも、キバハダカにも、クサビウロコエソにも、そしてミズウオダマシにもある特徴だ。


▲頭部


▲顎歯がない(成魚)

頭部は細長い。下顎の先端は上顎先端よりも明らかにも前方に突出すのが特徴である。上顎・下顎ともに顎歯はない。幼魚や未成熟の個体には大きく目立つ牙の様な歯があるのだが、成魚ではなぜか消失してしまうのだ。


「日本の海水魚」に掲載されているミズウオダマシには歯がある。しかしその個体はまだ未成熟の個体である。また、私が持っている版の個体はグリーンランド産の個体であり、ミズウオダマシでないと思われる。ミズウオダマシ属は従来は1属1種とされていたが、現在はAnotopterus pharao Zugmayer, 1911、 Anotopterus nikparini Kukuev, 1998、Anotopterus vorax (Regan, 1913)の計3種に分けられている。Anotopterus pharaoは北大西洋産、Anotopterus nikpariniは北太平洋産、Anotopterus voraxは南半球産だという。日本にいるのはAnotopterus nikpariniである。日本における分布域は北海道のオホーツク海岸・太平洋岸~小笠原諸島近海で、海外ではオホーツク海~メキシコのバハ・カリフォルニアにまで分布。沖合の表層から中深層を遊泳するが、なかなか出会えない魚である。生息水深は700mより浅いところに多いようだ。

ミズウオの肉は水っぽく煮ると溶け食用にはむかないとされる。今回私も試してみたかったが、冷蔵庫で保管したら大量の水が出てきてそれが鮮度を悪くしたようだ。腐った臭いで肉を食べるどころではなかった。しかしながら奇妙で不思議な出会いを楽しむことが出来た。坂口太一さん、ありがとうございました。



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シモフリカジカ

2017年04月20日 13時08分49秒 | 魚紹介


北海道は魚の種類が南方よりは少ないが、個性的な魚たちに出会える。カジカの仲間も種類は豊富であるが、素人目にはなかなか同定しにくいものもあったりする。写真の魚はスズキ目、カジカ亜目、カジカ科、ギスカジカ属のシモフリカジカ。全長30cmほどになり、日本産のカジカの仲間では大きめの種である。

シモフリカジカは北海道沿岸~青森県以南の太平洋岸にすむ普通種。北海道では全沿岸に生息しているが、日本海の分布は北海道をのぞけば青森県、朝鮮半島からロシア沿海州に限定されるようだ。生息地は沿岸の浅瀬、藻場や岩礁域である。



日本産のギスカジカ属魚類は4種。トゲカジカやオクカジカは後頭部に2対の棘があるのに対し、シモフリカジカは2対の皮弁を有することによりこの2種と容易に区別できる。



▲ギスカジカ

シモフリカジカに似ているものに、ギスカジカがある。ギスカジカは北海道~東北地方の沿岸に生息する種で、本種と同じギスカジカ属の代表的な種である。ギスカジカも後頭部に2対の皮弁を持つのが特徴だ。ギスカジカは大きくなり、体長40cmを超える。

この2種を見分けるにはどうすればよいのか。それは腹面を見れば良い。シモフリカジカの腹面の模様(とくに肛門より前方)は縁辺部にのみあるが、ギスカジカの模様は中央部に近づく。


▲シモフリカジカの腹面


▲ギスカジカの腹面

また眼隔も、ギスカジカの方が広い。シモフリカジカの眼隔も広かったが、ギスカジカはさらに広かった。ただし、地域によって眼隔が広いものなどあるかもしれない。この写真の個体は北海道産ではなく、岩手県産である。ギスカジカ属はさまざまな種が記載され、和名もつけられているが、変異個体とされたものも多い。


▲シモフリカジカの眼隔


▲ギスカジカの眼隔

日本のギスカジカ属魚類は4種いるがいずれも食用となっている。肉だけでなく肝臓や卵、胃なども一緒に汁物にいれたら極めて美味しい。今回の個体は雌で卵を持っていたがこれも美味であった。坂口太一さんに感謝です。
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エゾクサウオ

2017年04月19日 10時01分47秒 | 魚紹介


今日は魚のお話の前に。

今日19日はこじはること小嶋陽菜さんのお誕生日ですが、彼女は今日で10年以上在籍していたAKB48を卒業してしまうのだそうです。残念な気持ちです。母親はどうでもいいと思っているようですが、母親の好きな大家さんはこじはるが居なければクビになっていたことを忘れてはいけないだろう。



残念な話題はこれくらいにして。北海道の魚シリーズもあとわずか。今日の北海道産魚は、スズキ目・クサウオ科・クサウオ属のエゾクサウオ。実はこのブログでクサウオ属の魚が登場するのは2回目。大型種は、今回が初めてなのだ。



実は今回エゾクサウオは状態があまりよくない。刺網で漁獲されたのかもしれないが、皮がむけていたり、鰭が傷ついていたりしたのもあった。しかし初めて見る魚、純粋に嬉しい。

日本には10種または11種のクサウオ属魚類が知られているが、エゾクサウオは鼻孔が2対ある、鰓孔下端は胸鰭上端よりも下方にある、背鰭軟条数40~44、臀鰭軟条数32~35、胸鰭軟条数35~40、尾鰭基底付近に明瞭な白色斑がない、背鰭・臀鰭と尾鰭は尾鰭の後半部で連続する、大型種で全長40cm近くになる、などの特徴で日本に生息する他のクサウオ属魚類と見分けられる。

北海道では全域に分布し、日本海岸では佐渡、太平洋岸では東北地方太平洋岸、海外ではピーター大帝湾にまでみられる。坂口太一さん、ありがとうございました。
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トクビレ

2017年04月18日 07時39分49秒 | 魚紹介

今朝は前にも紹介した魚を。スズキ目・トクビレ科・トクビレ属のトクビレ。


トクビレの雄はハッカクと呼ばれ、最近はスーパーの中の魚屋さんでさえ見ることができるようになった。つまり、スーパーでも販売されるほどによく知られた美味しい魚ということである。以前もこの個体もお刺身でいただいたが、美味しいものであった。北海道では「軍艦焼き」という料理があり、それに似たものを作ってみたがかなり美味しかった。またこの種を手に入れる機会があれば、それをやってみたい。最近はこの魚を購入したスーパーの魚の品ぞろえもだいぶ保守的となってしまった。

トクビレの雄の特徴は巨大な背鰭と臀鰭なのだが、雌の個体はこの背鰭と臀鰭が小さいのだ。残念ながら私が出会ったトクビレはすべて雄であった。どなたか雌のトクビレをもっているという方はご一報お願いいたします。

最後に、私が出会ったトクビレ3個体を。


名古屋市で購入


つくば市の魚屋で購入


北海道羅臼から送っていただいた。


格好いい魚。坂口太一さん、ありがとうございました。今日は短めですが、ここで失礼します。
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キチジ

2017年04月17日 09時01分34秒 | 魚紹介


北海道シリーズも残りあとわずかとなりました。今日はスズキ目・キチジ科・キチジ属のキチジ。


キチジ科の魚はメバル科の魚と似ている。学者によっては、キチジ科をメバル科の中に入れているが、メバルの仲間とは異なることが多いようだ。


▲キチジの頭部


▲深海性のメバル属(メバル科)魚類であるアコウダイの頭部

キチジの最も大きな特徴は、眼下骨系の頬の部分に棘があること。メバルの仲間は、頭部にこの棘がない。また眼の上にも多数の棘があり、メバル科よりもフサカサゴ科に近いような印象を受ける。ヒメキチジは名前が似ているが、口が本種と比べてやや小さく、頬部の棘の数が本種よりも多い。



胸鰭の中央には欠刻がある。メバル科の中にも欠刻があるのがいるが、本種ほど深くはない。ヒメキチジは本種に似るが別科とされる。しかしながら本種のような、大きな欠刻のある胸鰭をもつ。



キチジ属魚類は北太平洋に3種が分布している。うち日本近海に生息しているのは2種。本種とアラスカキチジだ。背鰭棘は細い感じ。背鰭棘の鰭膜には大きな黒色斑があり、これが明瞭であることでアラスカキチジと見分けることができる。またアラスカキチジは本種よりも体が長めな印象。このアラスカキチジはカナダのものがたまに日本のスーパーでも販売されている。

アラスカキチジは茨城県以北の北太平洋からベーリング海を経てアラスカ、カリフォルニア半島にまで広く分布するが、キチジの分布域はそれほど広くなく、島根県・相模湾以北(ごくまれに三重県)~アリューシャン列島までである。日本に分布しないキチジ属Sebastolobus altivelisはアリューシャン列島からメキシコのバハ・カリフォルニアにまで分布する。背鰭第3棘が長く伸びているのが特徴のようだ。生態はどの種も深海産。キチジは水深1500m以浅の深海に生息し、アラスカキチジも同様だが、この種は浅瀬にまで現れることがあるという。実際に、水中写真も撮影されているのだ。

キチジの仲間は通称キンキとよばれて食用になる。肉は柔らかめで、煮物や鍋などで美味しい。坂口太一さん、ありがとうございました。

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イシガキダイ

2017年04月16日 22時49分56秒 | 魚紹介

今日はFacebookのコミュニティの中で、イシガキダイの子の話が出てきたので。ちょっと、イシガキダイの幼魚のことを。



スズキ目・イシダイ科・イシダイ属の魚であるイシガキダイの子は全身が茶褐色で、黒色点が散らばり眼を通る帯があり、チョウチョウウオの仲間のように見えることもある。チョウチョウウオの仲間と違うところは、イシガキダイは好奇心旺盛で潜っていると近づいてくるが、チョウチョウウオの仲間は逃げることが多いところであろうか。



もう少し大きくなると黒い斑点が大きくなり、黒い色の領域の方が多くなる。磯釣り師が知っている、イシガキダイの姿になる。



五島列島産の成魚。全長50cmほど。体側の黒い斑点が細かい。一方老成した雄はこの斑点が消え、口の周りが白くなる。これが釣り師のいう「クチジロ」である。イシダイの雄は逆に口のまわりが黒くなる。これが「クチグロ」だ。イシガキダイの雄は全長80cmを超える大型種。南方の磯にいけば大きいのが釣れたりする。

このイシガキダイの稚魚は春から初夏、流れ藻についている。流れ藻採集の実習で親指の爪くらいの可愛いサイズの個体を採集したことがある。その時は他にもメジナやホウボウの子などが採集された。春の終わりの海は、稚魚がたくさん現れる。プランクトンも多いから、稚魚も育ちやすいのだろう。イシガキダイの稚魚は水槽で飼育すると、他の魚をつついたりする。好奇心旺盛だが、さまざまな魚を混泳する水槽には向いていないのだ。逆に、大きな魚と一緒だと、ちょっとしたことで状態が崩れることも。



以前モジャコ漁で漁獲されたイシダイ属の幼魚をもらってきたことがあったが、イシガキダイとイシダイ属の交雑種(イシダイ×イシガキダイ)ばかりであった。イシダイは重要な食用魚で養殖もおこなわれる人気な魚であるが、イシガキダイはあまり人気がないかもしれない。以前のシガテラ毒の事件が尾を引いているのかもしれない。マスコミも常に大げさな点があるような気もするのだが。
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コマイ

2017年04月15日 17時48分10秒 | 魚紹介



日本にはタラ目・タラ科の魚は4種類いるが、そのうち1種はホロタイプしか得られていない。これまでマダラ、スケトウダラという2種を紹介してきたが、最後にもう1種。

タラ目・タラ科・コマイ属のコマイ。



コマイはタラ科の魚で、背鰭が三つ、臀鰭が二つ。体がややずんぐりしていて、マダラに似ている。ただし体はマダラほどは太くはない。


吻部にも特徴がある。下顎は上顎よりも前に突出しないことでスケトウダラと、下顎のひげが極めて短いことによりマダラと、それぞれ区別することができる。この個体はひげが小さく、最初は網で擦れた際にひげが切れてしまったのかと思った。またマダラと比べると頭部が小さいのも特徴。というかマダラの頭がかなりでっかいのだ。

生息地は浅海~水深300mまで。汽水域でも漁獲される。刺網や定置網、底曳網や釣りなどで漁獲され、食用とされている。分布域は広く、山口県・宮城県~北海道までの日本各地沿岸、海外では朝鮮半島からベーリング海をへてアメリカ西岸にまで分布する。コマイ属は1属2種で、もう1種Eleginus nawagaは北極海に分布する。なお、「新顔の魚」で故阿部宗明博士が命名されたカナダコマイMicrogadus tomcodはコマイ属の魚ではないので要注意。

●3種を並べてみる







上からコマイ(マリコではない)、マダラ、スケトウダラの順。マダラはかなり大きな頭部が特徴的だ。
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キュウリウオ

2017年04月14日 21時49分29秒 | 魚紹介



このでっかいワカサギみたいな魚はキュウリウオという。キュウリウオは、サケ目・キュウリウオ科・キュウリウオ属の魚。

キュウリウオ科と聞くとあまりなじみのないように思えるが、重要な食用魚であるワカサギやシシャモもこの科の魚である。日本には6種が分布し、そのうちシシャモは北海道の太平洋岸のみに分布する日本固有種である。



本種は他のキュウリウオの仲間と比べて口が大きく、上顎後端は眼後縁直下に達すること、臀鰭外縁があまり丸くないことなどで見分けられる。口は大きく、鋭い歯をもっている。

写真からは全く分からない特徴がある。それがこの魚の「におい」だ。本種はキュウリのにおいがする。ワカサギなどと比べてやや大きくなるが、フライや焼き物などで美味しく食べられる。坂口太一さん、ありがとうございました。


分布域は広く、朝鮮半島の元山~カナダのブリテッシュコロンビア、オホーツク海、ベーリング海を経て北極海にまで生息している。日本では北海道のオホーツク海岸、太平洋岸に分布しておりよく釣れるようである。産卵のために河川を遡上するため浅海性であると思われるが、浅海種とされているものの水深290m以浅の海底に生息し、底曳網などでも漁獲される。この個体はカレイの刺網にかかったものと思われる。


学名について従来はOsmerus eperlanus dentex、つまりO. eperlanusの亜種とされていたが、現在は其々別種とみなされているようだ。北西大西洋にはOsmerus mordaxが分布し、 Osmerus eperlanusは北東大西洋(欧州沿岸)に生息する。後者は英語ではEuropean smeltと呼ばれている。Osmerus dentexは北太平洋と北極海に分布し、日本のキュウリウオの学名にはこれが適用される。
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シマヨシノボリ

2017年04月13日 22時52分08秒 | 魚介類飼育(淡水)



今年初めて採集したハゼ科の魚は、ゴビオネルス亜科・ヨシノボリ属のシマヨシノボリであった。1月に遠出をした際に採集したもので、タモロコやオイカワ、ヤリタナゴなどと同所で確認。平べったい岩を岩ごと網で掬ったら、本種が入っていた。今回は3個体持って帰ったものの、共食いか他魚(タモロコなど)に食われたか現在は1匹のみ。この子を大事に育てたい。
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台湾ではイヌ・ネコの食用を禁止に!

2017年04月12日 22時15分35秒 | 環境問題
犬と猫の食用禁止に、罰金最高90万円 台湾 (AFP時事・Yahoo!ニュースより)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170412-00000036-jij_afp-int

台湾ではイヌやネコの食用を禁止するという。
私が驚いたのは、意外なことに、日本においてはイヌやネコを食することに批判的な人がいるということ。イヌを現在多く食しているのは中国と韓国、東南アジア諸国だそうだ。このうち尖閣・南シナ海など強行手段に出る中国、竹島・慰安婦など日本との間で何かと揉める韓国ではイヌを食うということも今なお多く、それが故に日本では犬食文化が受け入れられないのかもしれない(日本でも以前は食べていたはずだが)。
日本も他人事ではない。イヌ・ネコを食う文化は近年欧米諸国から非難されているが、それは日本の鯨類食文化と似ている。以前は欧米でもイギリスなどを除き犬肉を食していたというのだ。欧米の多くの国が問題視しているクジラについてはもう言う必要はないだろう。
韓国の犬肉食については、ソウル五輪の際には一旦自粛されていたというのだ。さらに2002年のW杯については、FIFAの偉い人が韓国の犬肉食にクレームをつけたという。はたして2020年に行われる「東京オリンピック」では鯨類肉食にどんなクレームがつくのか楽しみではあるが、逆に日本でも鯨肉食文化が危機に瀕することになる可能性もあり、それは問題だ。
今回は「動物虐待」にあたるケースが多く寄せられたためだというが、それはただ単にイヌネコをいじめているのか、それとも食用にするために捕殺しようとしたのかは不明だ。
私は虐待をするのでなく、それなりのガイドラインさえあり、それに従った捕殺をするようにすれば、イヌやネコを食べても良いと思う。私は魚類やウサギ類を飼育しているが、勿論食べることも好きだし、ラパン(うさぎ肉)を出してくれるのであればそれを食べることもあるだろう。
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ヤナギムシガレイ

2017年04月11日 17時14分19秒 | 魚紹介




▲茨城県久慈産

今日はカレイ目・カレイ科のヤナギムシガレイ。


ヤナギムシガレイ属は本種のみの1属1種。体が細長くて背鰭軟条数は84-102軟条、臀鰭軟条数72-81軟条。口は小さい、有眼側の鰓蓋上端は胸鰭よりも上にある、背鰭や臀鰭に明瞭な帯がない、有眼側の背鰭や臀鰭の縁辺が黒くないなどの特徴で日本の他のカレイ科の多くの種と区別できる。

本種にそっくりなものにヒレグロがいる。「ヒレグロ」なんちゃらと言う魚は多いが、「ヒレグロ」でれっきとした標準和名である。ヤナギムシガレイとヒレグロの違いは、ヤナギムシガレイには眼の上に鱗があるがヒレグロにはないこと、ヒレグロの無眼側頭部には粘液孔があるが、ヤナギムシガレイにはそれがないことなどで区別できる。またヒレグロは有眼側の背鰭・臀鰭縁辺部が明瞭に黒いことでヤナギムシガレイと見分けることが出来る。



▲高知県足摺

「東シナ海・黄海の魚類誌」という本によれば、日本近海産のものと黄海のものではややサイズが異なるらしく、黄海のものは体長35cm位になり、無眼側も黒っぽくなるなどの特徴があるという。其れだけのサイズになるとはと驚かされるが、私も以前足摺沖で30cmを超える本種と思われるものを見たことがある。水深270mから漁獲されたものでかなりでかい物だった。同書によれば日本近海のものは全長32cmを超えるものは極めてすくないという。なお、全長165mmを超えるものはすべて成熟個体とされる。


ヤナギムシガレイの分布は北海道から九州までの日本海、北海道~足摺沖までの太平洋岸、豊後水道、東シナ海。海外では朝鮮半島、済州島、東シナ海北東部、渤海などに分布する。分布という点でも北海道~山口県・千葉県銚子に分布する(愛知県にも?)ヒレグロと見分けることが可能であろう。Fishbaseでは台湾にもいるように書かれているが、本当かどうかは不明。今回は茨城県日立市の久慈沖で採集された個体。中トロ、小型問わず底曳網漁業で漁獲され、地域によってはササガレイと称しているが、ここではムシガレイとして売っていたように思う。「ホンモノ」のムシガレイよりもやや高めのお値段であったが、一夜干しにして焼いたものや、唐揚げは非常に美味しい。なお、学名は従来Tanakius kitaharaiという学名が使われてきたが、魚類検索第三版ではTanakius kitaharaeとされている。
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ミナミメダカ

2017年04月10日 22時41分27秒 | 魚介類飼育(淡水)


この間用水路で採集した「メダカ」。ただし現在はメダカという標準和名の魚は存在しない。この個体は産地から考えれば、ミナミメダカと言うことになるだろう。




今日はそのミナミメダカが卵をもっているのを発見。ミナミメダカは単独種で飼えば飼育は容易で、繁殖も可能。私が小学生のころ(1994~99年)は、学校の水槽でメダカを飼育していて、産卵などもさせた。懐かしいものである。



「メダカ」は現在絶滅の危機にひんしている。理由は里山やメダカ類をとりまく環境の変化である。しかし最近メダカ類が減っているとは思えないし、網を入れたら多数入る場所が関東地方にも多数ある。しかしそのような場所は環境がよくなった、というわけではないようだ。メダカなんちゃら運動とか、そういう運動が行われている場所ではメダカ類が多数放流されてしまっているのだ。遺伝子汚染の問題や病気の問題もあり、繁殖も容易だが、河川や池に放流するのは例え同じ場所で採集したものであっても避けるべきだろう。
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水槽リセット

2017年04月09日 21時08分57秒 | 魚介類飼育(海水)


今日は底砂を購入。海水水槽もそろそろリセットした方が良いかもしれません。サンゴ、魚の調子がイマイチな感じに見えます。サンゴを飼うのにナチュラルシステムなどが流行ですが、魚が多くいる水槽には向きません。この間掃除したらかなりの量のリン酸が出てしまっていました。海藻はアイゴに食べられてしまったので、また地道に増やしていきたいところです。

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