「日本文学の革命」の日々

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6ヵ月ものスランプ 2

2017-08-02 05:14:34 | 日本文学の革命
このような人間たちはたまたま集中的にこの職場に集まった訳ではなく、会社自体が組織的に行わせていたのである。この会社は仕事の前に全員を軍隊式に整列させ、道徳訓を朗誦させるのだが(その様はまさに軍国主義国家・全体主義国家を連想させた。森友学園の「教育勅語」にも似ていた)、働き手をすべて滅私奉公の「軍人」にすることを理想としていた。戦前の軍部では「初年兵教育」というものが行われていた。徴兵してきた一般市民に軍隊精神を叩きこむために、毎日毎日厳しいしごきと訓練を与え、上官の命令に徹底的に服従させ、しばしば廊下に整列させて「お前ら歯を食いしばれ!」と拳骨でぶん殴ったりする、アレである。このような教育によって一人の市民を上からの命令に完全に服従する「軍人」にしてゆき、個性を滅却させ、一つの全体に奉仕するよう洗脳してゆくのである。

たしかに日本の会社には多かれ少なかれ軍隊的要素があり、正社員であればこのような圧力を常に感じていることだろう。しかし僕はただのアルバイトであり、「やった♪ 自転車で15分のところにある。通勤時間がかからないから、たっぷり書くことができるぞ〜!」という理由だけでやって来たものであり、また正社員のように自己犠牲の見返りになるだけの十分な給料や待遇も得ていない。そんな人間もひっつかまえて、無理やり「初年兵教育」を受けさせ、「軍人」となるよう洗脳しようというのだから、タチが悪い。人権という憲法に保障されている最高の権利―ちなみに会社法よりも上位に立っているものである―を蹂躙しているのである。

去年の12月にこの会社に入ったのだが、軍隊式の朝礼を見た時から「これはヤバイ所に来た」と思い、さっさと辞めたくなった。しかし通勤時間がかからない、たっぷり書く時間が得られるということは、僕にとって何より重要なことだったので、辞めるに辞められなかったのだ。どんなに罵倒されバカ扱いされようが、書く時間さえ確保できれば、そんなことは何でもない。屈辱に耐えて、ひたすら書きまくろう、と決意したのだ。

しかし案に相違して、全く書けなくなってしまった。書く条件が整っているにも関わらず、書けなくなってしまったのである。やはり洗脳教育というものには、あなどれない効果があるのだろう。毎日罵倒され屈辱を受けている内に、精神が鬱状態になり、恨みや憎しみで鬱憤もたまっていった。自分のやっていることが意味のない無価値なものに思えてきて(まさに洗脳の初期症状である!)、意欲も自信も失われていった。書く意欲が湧かず、毎日毎日が虚しく失われていった。このままもうダメになってしまうのではないか、そんな危惧さえ本気で感じるようになった。
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