土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

櫟野寺、甲賀三大佛の二、薬師如来坐像が凄い!

2015年07月16日 | 滋賀の古寺巡り



(2015.07.11訪問)


大池寺の素晴らしい仏とお庭の美を堪能し、次に向かうは甲賀三大佛その二、いちいの観音さんと呼ばれる擽野寺です。
大池寺から一部国道1号線を通り、新名神高速を潜り県道24号線沿いに擽野寺は有ります。約20分で到着です。



▼参道。





[ 櫟野寺 ]
●山号 福正山 (ふくしょうざん)
●院号 自生院 (じしょういん)
●寺号 櫟野寺 (らくやじ)通称 いちいのでら
●宗派 天台宗 (てんだいしゅう)
●開基 伝教大師最澄 (でんきょうだいしさいちょう)
●創建 延暦十一年 (792年)
●充実 大同元年 (806年) 坂上田村麻呂 (さかのうえたむらまろ)
●本尊 十一面観音坐像 (重文)

▲拝観料 500円 御朱印300円。
▲拝観時間 夏季 9:00~17:00 冬季 9:00~16:00
▲滋賀県甲賀市甲賀町櫟野1377 電話 0748-88-3890
▲http://www.rakuyaji.jp/
▲ JR草津線「甲賀駅」下車 町内巡回バス 櫟野観音行きバス15分
 新名神高速「甲賀土山IC」から15分 名阪国道「上柘植IC」から15分



        ▼旧国宝石柱と寺石標。





櫟野寺縁起 (櫟野寺HPから抄出)
福生山自性院櫟野寺は桓武天皇の延暦十一年に比叡山の開祖伝教大師様が根本中堂の用材を獲る為に甲賀郡杣庄におい
でになりました時、霊夢を感じて此の地の櫟の生樹に一刀三礼の下彫刻安置されました、日本最大坐仏十一面観音菩薩
が御本尊様です。その後延暦二十一年、征夷大将軍を拝命の坂上田村麻呂公は夷賊を討伐の為、杣ヶ谷を櫟野まで登ら
れ、櫟野観音の御力により兇賊を退治することが出来たのであります。それ故将軍は当寺を祈願寺と定め、大同元年七
堂伽藍を建立、永く当山守護の為に自ら等身の毘沙門天の尊像を彫刻、そして家来に命じて国技の相撲を奉納是が現在
まで継続しております大会式十月十八日の奉納相撲なのであります。当寺は、天台宗総本山延暦寺の末寺で、往古は甲
賀六大寺の筆頭と云われ、この地方の天台文化の中心寺院であり広大な境内地を有し、数々の坊がありましたが、年月
不詳荒廃に帰したのであります。



▼参道左にズラーッと十一面観音坐像の石像が奉納、少々異様な感じするのはボクだけかナ。





▼またまたガラスガードの仁王門。
 三間一戸、入母屋造、桟瓦葺。左右に金剛力士像を安置。





▼本尊尊名が書かれた仁王門扁額。千社札が貼りまくられています。





左右を護る金剛力士。阿吽両像とも像高270cm、玉眼嵌入。鎌倉末から室町初期。
手慣れた仏師の作のようで、誇張は少ないが相応の気迫と迫力は十分感じられる。彩色は剥落しているが、玉眼が異様
に生々しい。

        ▼阿形金剛力士。





        ▼吽形金剛力士。





▼仁王門から境内、正面は本堂。





▼鐘楼。





▼坂上田村麻呂所縁の土俵。





        ▼本堂前の石灯籠。岩基壇上に置かれた立派な灯籠です。





▼本堂。
 旧本堂が昭和四十三年焼失。その後再建されたのがこの本堂。鉄筋コンクリート造、三間四方の宝形造、本瓦葺。
 後ろに宝物館が連結されています。





▼本堂内陣。
 このお寺の本堂には、本尊をはじめ諸仏は居られません。総て宝物館に隔離されています。





▼内陣扁額。





▼本尊十一面さんのお前立、新しい十一面さん。奥の黒いのが宝物館への鉄扉、ココから入ります。





▼本堂外陣格天井には四季の花々が描かれていますが新しい奉納画のようです。





▼大正九年に撮影された旧本堂。
 堂々としたいいお堂ですネ、今の本堂はハッキリ言って比べ物にならない。
 失火は漏電だったと云いますが実に勿体ない!



(写真は櫟野寺発行の写真集からスキャン)



拝観料を払いお寺のお母さんの案内で、お薬師さんに逢いに宝物館へ。
櫟野寺は平安仏の宝庫とは良く云ったもんで、宝物館内部は実に壮観、重文仏20体がズラリ、見やすいイイ展示です。

宝物館内は一切撮影禁止です。

▼このお薬師さんが甲賀三大佛その二、櫟野寺薬師如来坐像(重文)。
 像高222.0cm、寄せ木造、漆箔、二重円光背、平安藤原期、仏師不祥。
 全体に漆箔がきれいに残り1000年前の作とは思えない綺麗なお薬師さんです。納衣の襞の鋭角的な繰り返しにリズム
 感があり、大きいけれど軽快、そしてとにかくデカイ、丈六坐像が1mくらいの蓮華座にお坐りなので、ビックリする
 大きさです。三大仏としての貫禄十分。



        (写真は櫟野寺発行の写真集からスキャン)。 



        ▼尊顔アップ。ふっくら頬に半眼、小さめのお口は紅が残っています。

     



▼こちら櫟野寺本尊十一面観音菩薩坐像(重文)。像高312.0cm、木造丈六仏。平安前期、仏師不祥。
 写真で見る限り、全身金泥がきれいに残り、天衣、裳には彩色文様が鮮やかに残っているように見える。
 本尊十一面観音菩薩は大きなコンクリート製お厨子に入り、外からは窺い知れません。年一回十一月三日に特別開扉
 だそうです。



        (写真は櫟野寺発行の写真集からスキャン)                      



▼ご朱印です。





甲賀三大佛その二、櫟野寺薬師如来坐像はコンクリート宝物館に堂々とお坐りです。これだけの仏を、本来のお堂で拝
することが出来たら感激度合いはもっと違ったものになるのではとフッと思いました。
失礼ながら櫟野寺は本堂だけの小さなお寺で、近江湖国と云っても東南外れの甲賀の地にこれだけの仏が残っている不
思議、甲賀の地は忍者の里ぐらいの認識しかなかったもんネ。天台王国の懐の深さを改めて感じた櫟野寺でした。

さて次は甲賀三大佛その三、十楽寺、どんな仏に会えるのかゾクゾクするなァ。




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