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「位牌と雛の頭(かしら)・・・母なれど、母なりき」
今年も節句過ぎても、小さな雛が居続けています。
敗戦翌年四月、佐世保針尾港で内地の土を踏みしめた途端、全身DDTまみれにされましたな。引揚げ列車待ちの数日を過ごしたのが、海軍兵学校予科針尾兵舎。とんだなり行きで憧れの校舎との対面でした。
ここで、全財産とも言える特大リュックの荷ほどきで、飛び出てきたのが位牌と女雛の頭(かしら)。
思わず母に怒鳴りましたよ、もう1着服が入れられたじゃないか!...
あれから三十数年後、母は他界。位牌はともかくあの女雛にどんな思いがあったのか?聞きもらしました、残念なことです。スリットの深いチャイナドレスに白サンダル、サングラス姿の似合う見事な租界レデイでしたよ。