Movie1001  映画千一夜

映画の話題を千一夜に渡って語り継ぎます。

第131夜 インディアナポリスの夏 (1997、日本公開は1999)

2012年03月15日 | 第140夜まで
 舞台は1954年の夏、インディアナポリスに向かう列車の中で二人の青年が再会する。故郷へ向かう二人は対照的な性格を持っている。内向的な性格でスポーツ写真家になったソニーと、元アメフトの花形プレーヤーだったが朝鮮戦争で負傷したガナーである。

 サブタイトルに「青春の傷痕」とあるとおりハッピーな作品ではない。故郷での二人の恋の顛末、挫折と事故、そして再出発までの苦い物語が描かれている。

 二人を演じるジェレミー・デイヴィス(ソニー)とベン・アフレック(ガナー)も俳優として対照的である。

 ジェレミー・デイヴィスはあまり知られていないが、ラース・フォン・トリアー監督の連作「ドッグヴィル(2003、日本公開は2004)」「マンダレイ(2005、日本公開は2006)」やTVシリーズ「LOST」などに出演している。

 一方のベン・アフレックは同じ1997年製作の「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(日本公開は1998)」に出演しているが、主演のマット・デイモンと二人で書いたこの作品の脚本がアカデミー脚本賞を受賞して一躍脚光を浴びた。二人は幼い頃からの友だちだそうだ。

 「傷痕」の前には「輝き」もあった。「青春の輝き(1992、日本公開は1993)」というブレンダン・フレイザー主演の、フットボール奨学生が主人公の作品にもベン・アフレックが出演している。
 この作品でもマット・デイモンが共演しているが、本格的な二人の共演作は1999年製作の「ドグマ(日本公開は2000)」である。この作品で二人は「追放された天使」を演じ、彼らが地上で巻き起こす騒動が描かれる。海外では宗教上の理由で上映禁止運動も起こった「問題作」だ。

 ベン・アフレックには弟ケイシーがいる。「オーシャンズ」シリーズではメンバーの一人としてマット・デイモンと共演している。一躍注目を浴びたのはブラッド・ピット主演の2007年作品「ジェシー・ジェームズの暗殺(日本公開は2008)」で、英雄ジェシー・ジェームズを慕いながらも最終的にその暗殺者となる運命を背負う青年ロバート・フォードを演じてアカデミー助演男優賞にノミネートされている。

 同じ2007年製作の「ゴーン・ベイビー・ゴーン」は日本未公開ながらケイシー・アフレック主演作品である。この作品は、ボストンの少女誘拐事件をめぐって警察の捜査に絡む私立探偵の苦悩が描かれており、同時にアメリカ社会の闇をも映し出す社会派ミステリーになっている。

 実はこれが、俳優ベン・アフレックの記念すべき第1回監督作品でもあるのだ。モーガン・フリーマン、エド・ハリスら重厚な演技派が刑事役で脇を固め、誘拐される少女の母親役エイミー・ライアンはアカデミー助演女優賞にノミネートされるなど見応えのある作品になっている。

 ベンの盟友マット・デイモンも、11〜13の「オーシャンズ」シリーズと「ボーン・アイデンティティ」以降の「ボーン」シリーズ3作で今やハリウッド・スーパースターの一人だ。

 宮崎駿監督の「崖の上のポニョ(2008)」は海外でも公開されたが、英語版で主人公の少年の父親役を吹替えたのがマット・デイモンである。ちなみにオリジナル版では長嶋一茂が吹替えている。

 今夜はここまで。また明日の夜をお楽しみに。

        (「映画千一夜 〜映画に愛をこめて〜」 第2部 映画、春夏秋冬)
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第130夜 ひと月の夏 (1987、日本公開は1989)

2012年03月08日 | 第130夜まで

 アイルランドの監督パット・オコナーの作品。と聞いて知っている人はよほどの通だ。ところがこの1989年、パット・オコナー監督作品が3本も公開されている。5月に「乙女座殺人事件(1989)」、8月に本作、9月に「キャル(1984)」という順番だ。

 だが良く見ると製作順はこの逆だ。いちばん新しい「乙女座殺人事件」はタイトルを見る限りミステリーでいちばん客を呼びやすい。

 オールスター・キャストによるアガサ・クリスティ原作のミステリー大作「オリエント急行殺人事件(1974)」が大ヒットしたのは1975年だ。この系譜がこの後、「ナイル殺人事件(1978)」「クリスタル殺人事件(1980、日本公開は1981)」「地中海殺人事件(1982)」「ドーバー海峡殺人事件(1984)」「死海殺人事件(1988)」と連なり、そこにパット・オコナー監督の「乙女座殺人事件」が続くわけだ。

 が、「乙女座殺人事件」はクリスティ原作ではなく、ミス・マープルも名探偵ポワロも出てこない。だけど、オールスター・キャストだし殺人ミステリーだし・・・という流れでいかにもシリーズのようなタイトルが付けられ、そしてそこそこヒットした。映画の出来はともかく、出演者を見る限りケヴィン・クライン、スーザン・サランドン、ハーヴェイ・カイテル、ロッド・スタイガー、アラン・リックマン・・・と豪華版だ。

 こういう時、お蔵入りになったかもしれない過去の作品は出しやすくなる。「あの『乙女座殺人事件』の監督が撮った・・・」と新聞広告に出たかどうかは分からないが、とにかく同じ年に、しかも2本も続けて過去の作品が公開にいたったことだけは確かである。

 「ひと月の夏」はヨークシャーの田舎が舞台になっている。第一次世界大戦の後遺症に悩む一人の青年が教会の壁画を修復するためにこの町を訪れる。田舎の穏やかな空気と時間の中で人々と触れ合い、心が徐々に癒されていく中で、人妻への淡い恋の行方が描かれる。

 コリン・ファース27歳時の作品であるが、スクリーンデビューはその4年前の作品「アナザー・カントリー(1983、日本公開は1985)」である。
 この作品は実話を元にした舞台劇の映画化である。祖国を裏切ってロシアに亡命したイギリス人スパイの回想がスクリーンに綴られる。舞台は30年代英国の全寮制パブリック・スクールで、その思想的な背景が男だけの世界の同性愛を隠し味に描かれている。
語り手である主役はルパート・エヴェレットが演じており、コリン・ファースはその親友の役である(愛人ではない)。

 一足先に同性愛そのものをテーマにした作品「モーリス(1987、日本公開は1988)」も公開されている。こちらは1909年、ケンブリッジ大学が舞台だ。モーリスと彼に愛を告白するクライブをジェームズ・ウィルビーとヒュー・グラントが演じており、ヴェネチア映画祭では二人がともに男優賞を受賞している。

 監督のジェームズ・アイヴォリーは1928年生まれのアメリカ人だが活動の拠点はイギリスにおいており、アカデミー賞でも3度監督賞候補になっている名匠である。したがって興味本位ではない、真面目な同性愛映画である。

 しかし、美少年といえども年はとるもの。コリン・ファースもヒュー・グラントもいまや中年真っ只中、ともに、ラブコメディには欠かせぬ俳優になっている。さらにコリンは「英国王のスピーチ(2010、日本公開は2011)」でアカデミー主演男優賞にも輝いている。  

 今夜はここまで。また明日の夜をお楽しみに。
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