
製作時点では近い将来の話、という設定になっている。アメリカとソ連の核軍縮条約締結に対して異論を持つ軍部の、クーデター計画をめぐる物語だ。バート・ランカスターとカーク・ダグラスが主演する大作で、監督はジョンフランケンハイマー。
1994年に「アメリカが沈むとき」としてリメイクされているが、こちらは日本未公開である。
ベルリンの壁崩壊が1989年11月、ゴルバチョフが辞任しソビエト連邦が解体消滅してしまうのが1991年12月の出来事なので、既に現実の方がオリジナル版の物語の先を行っている。したがって、1994年版の方は「軍部の暴走を阻止する」という基本構造の変更なしに別の物語が作り上げられている。
こちらは「ラストキング・オブ・スコットランド(2006、日本公開は2007)」でウガンダのアミン元大統領役を熱演し、アカデミー主演男優賞を受賞した黒人俳優・フォレスト・ウィッテカーが主演している。
バート・ランカスターもカーク・ダグラスも軍服がよく似あう。どちらも貧しい家庭で苦労した、その経歴がもたらした頑丈な体躯が芝居に生きているわけだ。
カーク・ダグラスは学生時代からレスリングが得意だったそうだ。俳優をめざすまでに就いた職種は40に及び、その一つがプロレスラーだったという。海軍除隊後、1946年に映画デビューし、1949年にボクサー役を演じた「チャンピョン(日本公開は1951)」では早くもアカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。その後「悪人と美女(1952、日本公開は1953)」と「炎の人ゴッホ(1956、日本公開は1957)」でも候補になっているがいずれも受賞には至っていない。
西部劇、史劇、そして戦争映画には欠かせないアクション系大スターである一方、自身のプロダクションを設立して製作にも関わった。独立プロの先駆である。
一方のバート・ランカスターもアクションスターにして独立プロを設立した一人である。彼もまた運動神経抜群で、ハイスクール時代はバスケットボールの選手、大学を中退してからはアクロバット・チームを結成、サーカスに出場していたというから尋常ではない。
海軍除隊後、1945年ブロードウェー・デビューを経て翌46年映画デビューというから二人の経歴は似ている。友人関係にあり、ともに俳優兼製作者であった二人は1957年の「OK牧場の決斗」でも共演している。
バート・ランカスターは1953年の「地上より永遠に」でアカデミー主演男優賞に初ノミネートされ、出演はしなかったものの1955年に製作した「マーティ」がアカデミー作品賞、監督賞など4部門で受賞、ヒットを飛ばした。この収益で翌年「空中ぶらんこ」を製作・主演し、サーカスでの経験がここでは生きた。(いずれも製作としてクレジットはされていない。)
1960年に「エルマー・ガントリー(日本公開は1961)」で念願のアカデミー主演男優賞を獲得、翌年監督のジョン・フランケンハイマーとの出会いがあり、69年までの間、「五月の七日間」を含む彼の監督作5本に主演している。このうちの1本「終身犯(1961、日本公開は1962)」は、獄中で小鳥を観察し、やがて鳥類の権威となる主人公を演じ、ここでもアカデミー主演男優賞候補となっている。
この頃からヨーロッパ映画でも活躍するようになり、巨匠ルキノ・ヴィスコンティ作品には「山猫(1963、日本公開は1964)」と「家族の肖像(1974、日本公開は1978)」の2本で主演している。
ランカスターは1994年10月に心臓麻痺で死亡、カーク・ダグラスの方は健在だが、最近ではダグラスといえばむしろ息子マイケルの方を思い浮かべる人の方が多いだろう。
今夜はここまで。また明日の夜をお楽しみに。









