日程:2016/12/28~12/31 天気:晴れ
メンバー:A隊:冨永、今村 B隊:山本、木下
12/28
19:30 唐人町(福岡)発
12/29
08:15 竹宇駒ヶ岳神社着 ~ 09:10発
13:25 2049ピーク
15:30 5合目BC着
12/30
03:00 起床 ~ 05:00 BC発
06:30 千丈のの岩小屋
06:40 黄蓮谷入渓
07:00 坊主の滝
09:15 三段の滝
09:55 チムニーの滝
10:08 落氷により事故発生
11:00 撤退開始 ~ 15:05 入渓点着
17:30 BC着
12/31
06:00 起床 ~ 09:00 BC発
13:00 竹宇駒ヶ岳神社着
今回の山行では反省点が多くみられた。
以下、各メンバーの感想です。
山本:
まず、 今回の山行は残念な結果となってしまったが、落氷を受けた今村さんの怪我が大事にならなかったのは本当に不幸中の幸いだと思います。
山行結果ですか、落氷からの敗退ですが、落氷が無かったとしても行動が遅く、そのまま行動したらビバークコースであったと思います。ビバーク自体は事前に覚悟?もあったので、ビバークに対応出来ない訳では無かったと思いますが、やはりこの行動の遅さは致命的だと思います。次に活かすためにも、反省点をしっかり認識して、改善しなければと思います。
私自身の反省点は、3つ有ります。
1つ目は、初日に黒戸尾根の登りでバテたことです。完全に歩荷不足、体力不足を露呈してしまいました。アルパインを志すならば強い足を持っておかねばなりません。今回食料を充実させましたが、その分重量は増えました。しかし強い足が有り重荷を担げれば、ベースを張るスタイルの山行では、今回の食料位は全く問題無いはずです。たった2.3日分の食料なのですから。日々の歩荷に努めたいと思います。
2つ目は、アタック日の出発予定が、3時起床4時出発だったのに、5時出発になってしまったことです。遅れた原因は朝食準備や紅茶準備に手間取ったことです。私が鍋係で朝食準備をしていましたが、かなり無駄がありました。一度で作りきらねば行けない朝食を結果、2度鍋を沸かすことになったり(食べるはずの餅を入れ忘れた)、前の晩に作っておけば時間のかからなかった紅茶を朝から沸かしたり、水を朝から作ったり、朝から4回も火を焚くというロスをしてしまいました。前の晩から紅茶は作り朝は温めるだけに、朝食も一度で作るように段取りをしっかり考えておかねばなりません。完全な生活技術不足であったと思います。
3つ目は、自身の心構えのところです。ベースに居るときと、登攀に向かうときでの、精神的なメリハリが足りなかったのではと思います。結果、登攀自体に緊張感が足りなく、何処かで動作も緩慢になったり、ルートの認識も甘くなったり、登る事に対する欲に欠ける、中途半端な心構えで山に臨んでしまったのでは無いか?と自問自答しています。もっと山に真摯に取り組まねばと反省しています。
登攀技術自体では、登る事に関して核心の大滝まで至らず、技術的に難しい箇所は有りませんでした(薄い氷はいやらしかった)。しかし、リード中のスクリューの打ち込みが下手で、思ったよりも手間取ってしまいました。フィフィを使い、アックステンションをかければ問題いなく打ち込めますが、片手で素早く打ち込む技術を習得したいと思います。
隊としての反省点は、幾つか有りますが、隊の連携が取れていない事が一番に感じました。
隊の連携はなかなか事前に打ち合わせが出来なかった事もあり、難しかったところもありますが、私が特に疑問に感じたことを書きたいと思います。
初日の黒戸尾根のベースまでの登りで、私と木下さんは、80〜90Lのザックに荷物を詰めて歩きました。しかし他の隊員は50L台のザックを用意していて、荷物の分散が上手くいきませんでした。同じ隊ですから共同装備はしっかり分担できるように、装備の入るザックを用意するべきです。今回私と木下さんが大型ザックを用意したから装備が入りましたが、全員50L台だったらどうなっていたのでしょうか?最初から50L台で来るということは、そもそも共同装備を持つ気が無いのでしょうか⁇また、50L台のザックで来て、わざわざ別のアタックザックを持って来ていた隊員もいましたが、軽量化のため50L台1つで済ますならともかく、ちょっと意味不明です。冬季で50L台のザックに、さらにアタックザックも入れたら、個人装備しか入らないのはわかりきっていると思います。このザック問題?が隊の中の認識の差を顕著に表していると私は思います。
他にも登攀スピードの差も感じましたが、これはある程度仕方が無いことだと思います。さらに全体の登攀スピードを上げる為に、不必要な傾斜の氷ではロープを出さない。出しても大滝以外は1本だけ出す。とにかく無駄を無くして全体のスピードを上げることが必要と感じました。
また次回アタックするならば、5合目から降りた所の岩屋でビバークしてアタックでも良いのでは無いかと感じました。
今回様々な反省点はありますが、改善して再び黄蓮谷左股を完登したいと思います。
木下:
反省点
◎ できることなら入山日、BC到着を1時間ほど早め、アプローチの偵察を入念に行っておくべきだった。
◎ アプローチについては資料にも特に記載なく、黄連谷という超メジャー沢なので、目印がしっかりあって大したことはないだろうと高をくくっていたが、思いのほか厳しく時間がかかった。(恐らく下降した沢が氷結していればそうなかったのだろうが)
◎ ビレイ点はフォールラインを避けるのが基本だが、上部はどうなっているかわからず今回の事故は突発的な、殆ど運、不運の範疇であるが、それ以前の問題として、全体的にスピードが上がらず、事故がなかったとしても果たして日没前に稜線まで抜けられたものかどうか甚だ怪しく、出発時間の遅れが悔やまれる。
◎ 撤退はブッシュをつないで50m以内の距離を探して下降したが50mザイルが4本あったので繋いで100mの降下も視野に入れるべきであったのでは?
装備面
不慮の下降に備えて8環を持ってゆくべきだった。
氷結が甘く若干のカムやチョック類も必要だったと思う。
戦術面
前日に千丈岩屋でビバーク+付近の氷でアイスボルダリングで氷に慣れ、次の朝一で取り付くのも成功を確実に期すため考慮に入れていいと思う。
今村:未提出
総括(冨永)
黄蓮谷の山行が決まり出発までの間、メンバー全員での練習はできていなかった。その為、リーダーとして各自の体力、技術、精神面を山行直前に把握できていなかった事が今回の敗退の最大の要因だと思っている。ただ、社会人ともなれば平日は仕事、祭日は家族のこと等、なあなか時間を作って全体でトレーニングをすることは難しい。今回の山行では技術よりも各人体力をつけて挑むようにと、周知もしていたが、以降のフォローはせずに各人にトレーニングはまかせていた。各人に任せていたことがリーダーとして失格であるように思える。
まず体力面は、体力的に遅れのある今村さんの荷物を自分の50Lザックに入れることができなかった。歩荷トレだけは入念に行っていたにも関わらず、軽量化の為に50Lで来てしまった。90Lザックで来ていれば荷物を余裕で入れれたと思う。きついが、このくらいの尾根でバテるはずもなく隊がもう少し早くBCへ到着できたと思う。今村さんはもう少し体力をつけてきてほしかった。木下さんは全く問題なかった。むしろ、隊のスピードが遅くストレスが溜まったと思う。山本君はバテると思っていなかったが、前日の車移動中、眠れなかったらしくまた、荷も重そうで途中バテていた。体力トレは全体ではなく各人で今後やっていかなければならない課題である。今後の個々での努力次第かな。
今回の隊の体力ではおそらくビバークになっていた。ビバークは予め予測はしていたので全員問題なかったと思うが、ビバークしないに越したことはない。一人だけ体力があっても駄目だと今回身に染みて感じた。
技術面は今季初アイスであった為、不安は多少あったが登ってみたら不安はなく問題なく登れた。今村さんの登攀スピードが遅く、後ろから見ていると不安な面もあった。その為かなり待ったが、これも体力があればある程度はカバーできたと思う。山本くん、木下さんはこの程度のアイスでは全く不安を感じることはなかった。今回、チムニー滝で落氷が今村さんの肩に当たり撤退となったがこの原因としては、技術面であると考える。ビレイ者はトップの登攀ラインからかわした位置でビレイしないといけない。アイスであれば落氷があるのは当たり前の事。その事をその時、伝えることができなかった自分に非があると感じる。
他メンバーが多く反省点を挙げているように、他にも書ききれないほど反省点・思うことは多くある。
はっきり言って今回は不完全燃焼で終わってしまった。最近はあまり完登できていなかったので今回はと思っていた。
今回の反省点を次回に繋ぐことができるように、意見を交わして反省会を行い、それを実行し、次の登攀に活かしましょう。
他:
・5合目BCから黄蓮谷へと下降ラインが分からなかった。その為、5合目コルからの谷を下った。撤収時に岩小屋から下降ルートと思われる赤テープを見つけ、木下さん先頭で登り返した。山屋の感と思うが素晴らしいルートファインディングだった。ただ、初見のヘッデンをつけての下降はわかりにくいルートだと感じる。
・テント内ではなぜかフランベが流行ってしまい、フランベ祭りをしてしまった(楽しかった)。また、みんなこっそり食料を持ってきており、つまみ、お酒には困らずにおいしいものをたらふく食べれた。
・12/30の起床は2時起床4時発にすべきであった。
・氷床ではノーザイルで行けるくらいの技術がないと、無駄な体力を使う、時間の浪費だと感じた。
・大滝は登っていないが、九州での技術でも黄蓮谷に行ける技術が身に着くと感じた。
・九州でも寒波が来ると氷ができアイスができるが、やっぱり黄蓮谷の氷は楽しかった。