それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

Abema TV「バラエティ開拓バラエティ 日村がゆく」:通常のバラエティの構造がフリになっているというメタ的面白さ

2017-05-12 09:53:17 | テレビとラジオ
 Abema TVは無料のインターネットテレビである

 オリジナルの番組はまだ弱いと言われながら、着実に意欲的なバラエティを制作している放送局だ。

 最近、地上波と比べても遜色のない面白さだったのが、バナナマン日村の冠番組「日村がゆく」だった。

 今のところ、YOUTUBEの公式アカウントでも過去のプログラムを見ることが出来る。



 この番組は、放送の規制・コンプライアンスが厳しい現在のテレビ業界で、新しいバラエティのアイディアを模索することを目的としている。

 この番組の面白さはふたつある。

 ひとつは、普段見ているバラエティの構造が良い意味で裏切られるという面白さだ。

 例えば、第2回の「タイキックに代わる罰ゲームを探す」という企画では、そもそもなんでタイキックが選ばれているのか、罰ゲームとは何のかを深く分析している。

 タイキックはムエタイという格闘技の選手がいきなり出てきて、罰ゲームの主体を蹴ることだが、

 この企画では、ムエタイ以外の格闘技にこれ以上に面白く見ごたえのある技が何かあるのではないか、と考えた。

 ベトナムの格闘技、沖縄空手、忍術。それぞれの技を検討していく。



 ベトナムの格闘技では、アクロバティックな技が試される。

 しかし、技のかけ手と受け手の間にルールや信頼が必要だった。

 沖縄空手では、リアクションが取れない一方、非常に長く痛めつけられる技が試された。

 忍術では、「空気投げ」という非常に不思議な技が試された。

 これは殴り掛かってくる相手に直接手を触れないでバランスを崩させてしまうという、奇妙な技だった。



 この企画は「タイキック」がフリになっているから、すごく面白い。

 タイキックの面白さは、

 ムキムキのムエタイ選手が蹴る(一瞬)=明らかに痛い → 罰ゲームの主体が激しく痛がる(一時的)=面白い

 の構図で認識されている。

 一方、今回試した他の格闘技では、この構図が崩されている。だから、面白い。

 罰ゲームの流れのなかに「あるべきアクション」がないので、そこに意外性が生じ、笑ってしまうのである。



 そもそもバラエティ用の罰ゲームは、

 相手が嫌がることでありながら、

 見ている人が思わず笑ってしまうもので、

 しかも、テレビの倫理規範に抵触しない内容でなければならない。

 この番組では、そこまではっきりと罰ゲームの要素を明らかにしたうえで、

 その先に行こうと試みる。

 そのメタ的視点は、バラエティ好きにはたまらないものだろう。



 そこに加えて、この番組のもうひとつの面白さは、日村の高い技術力である。

 というか、何よりもそこがこの番組の強みだと言える。

 例えば、技をかけてくれる格闘家のいじり方、リアクション、番組スタッフへのツッコミ。

 この人がいる限り、なんでも成立してしまうのである。



 もちろん、この番組を作っているスタッフの企画力・発想力もすごい。

 この人たちは、テレビ的な成立している笑いを越えて、何が面白いか分からないけど面白い、という新境地に行こうとしている。

 なんたる意欲だろうか。

 冒険家だ。

 スタッフも日村も冒険家であり、探究者である。

 バラエティ番組好きには、強くおすすめしたい。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 映画『ゴーン・ガール』:そ... | トップ | ワイドナショー、松本人志の... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

テレビとラジオ」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL