ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始めいつのまにか、トライアスリートになってしまった私。

【ローデンドロン】難波先生より

2017-05-15 14:58:03 | 難波紘二先生
【ローデンドロン】この言葉の意味を説き明かす前に、自宅の前庭とサンサーラの庭で観察した事実を記す。
(写真1)
 これ(写真1)は庭の芝生の管理をお願いしているYさんが移植してくれた野生のシャクナゲで、この5月初めに開花した。小枝の先端には5葉の葉が付いており(写真左端)、ここから今年分の枝が伸びる。去年伸びた枝の先には5弁の花がついており、うち4弁は均質なピンクだが、上端の1弁には暗赤色の小斑がある。一つの小枝に1花を付けている。
(写真2)
 こちら(写真2)はサンサーラのテラス脇の花壇に咲いているセイヨウシャクナゲ(園芸種)で、一つの枝の先に5〜10個の花が密集して開いている。葉が硬質の舟状で、見たところ別種の植物のように見えるが、1個の花を比較すると、5弁であり最上部の花弁に同じような黒っぽい小班が認められる。

 それでも両方が「シャクナゲ」であることが腑に落ちないので、植物図鑑を調べた。何と、ツツジ、サツキ、シャクナゲは「ツツジ科」に入っており、学名をRhodendronということがわかった。「生物学名辞典」も引いたが語源が書いてない。「永野為武・生物学用語辞典」にはRhodendron=「シャクナゲ属」と書いてある。日本語にはそういう属名はないはずだ。
 これが日本の生物学分類の欠陥で、学名と和名の間に整合性がない。ことに植物学でそれが著しいのは、学名を自分では付けられなかった植物学者牧野富太郎のせいであろうと、私は考えている。

 最後の頼りとして「American College Dictionary」を開いたら、「ローデンドロン」はギリシア語由来だとわかった。Dendronは「樹」を意味していて、Rho-はギリシア語のバラ色(Rhodo)の短縮形で、英語のroseに相当する。要は「バラ色の花を付ける樹」という意味だ。
 Rhod-という接頭語は他分野でも使われる。ローダミン(rhodamine)はアミン誘導体の赤色蛍光色素だ。ロドプシン(rhodopsin)は網膜桿細胞にある感光色素で、Vit. Aの不足でこの色素が機能しなくなると夜盲症になる。元素番号45はロジウム(Rh)で、金属ロジウムの水溶液はバラ色を呈することからRhodiumと命名された(1803)。もうこの頃はギリシア語とラテン語がちゃんぽんになっても、科学者は無頓着になっていたのであろう。

 仕上げに「岩波・生物学辞典」に載っている「生物分類表(ドメイン分類)」(2013/2刊)を見ると、生物界の6界(ドメイン)の分類表が掲げてあるが、この国際分類の制定年が書かれていない。やはり生物学分野の国際化は相当遅れているな、という印象を受ける。
 これを見ると「ツツジ目」—「ツツジ科」−「Rhodendron属」があり、この和名が「ツツジ・シャクナゲ属」となっていた。この調子ではツツジ、サツキ、シャクナゲの和名の混乱はまだ10年ぐらい続きそうだ。
 ちなみに医学分野では「国際疾病分類(ICD)」という分類表があり、今はICD-10が広く使用されている。日本の厚労省の統計もこれに依拠している。

 元もと高校の寮にいた頃、「夏の思い出」(作詞:江間章子、作曲:中田喜直)という歌が流行った。(歌手は誰だったか記憶が定かでない。)
 その一番の歌詞の終り、

 水芭蕉(みずばしょう)の花が 咲いている
 夢見て咲いている 水のほとり
 石楠花(しゃくなげ)色に たそがれる
 はるかな尾瀬 遠い空

 これは尾瀬沼の初夏の風景を詠ったものだとはわかったが、水芭蕉もシャクナゲも見たことがない。「シャクナゲ色って、どんな色だろう?」と長い間思っていた。
 今回YOUTUBEで倍賞千恵子の歌唱を聴いてみて、「シャクナゲ色に」という箇所で出る画像から「アズマシャクナゲ」だと思った。色はピンクで画像の夕焼けとはマッチしていない。
https://www.youtube.com/watch?v=A9RD1v8ix_A
 面白いと思ったのは、二番の歌詞に「花のなかに そよそよと ゆれゆれる 浮き島よ」という一節を発見したことだった。大きな池や沼に堆積した水草や苔が溜まり、「浮島」になり浮遊することは、京都の医師橘南谿(1753-1805)の旅行記「東遊記」(平凡社東洋文庫)で初めて知った。出羽の国山形に大沼という池があり、大小66の浮島が湖面を漂っていると南谿はいう。

 浮島の実物を初めて見たのは紀州新宮市内にある「浮島公園」を訪れた時だった。
https://www.google.co.jp/maps/@33.7244635,135.990353,130a,35y,39.54t/data=!3m1!1e3
 新宮の浮島は池の周囲を埋め立てたため、複数の浮島がつながって四角になっているが、それでも上に乗って跳んでみると、足下がゆらゆらと揺れた。この浮島には樹木が茂っている。

 動画を見ると、尾瀬沼の浮島はフラットで樹木はなく、草や水芭蕉が生えている。
 南谿が見た大沼の浮島は松や藤が生えていたという。見る前で浮遊して近くまで来たというから風に流されたのであろう。
 ともかく尾瀬沼にも浮島があるとわかって嬉しかった。それにしても中国・四国地方では「浮島」というのは聞いたことがない。天然の大池や大沼が少ないからであろうか?


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1 コメント

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シャクナゲ Rhododendron はネパールの国花 (マコンドの住人)
2017-05-15 16:26:06
Rhodendron ?

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