ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【不思議な新聞記事】難波先生より

2017-12-31 14:35:01 | 難波紘二先生
【不思議な新聞記事】11/26(日)の「日経」が「サイエンス欄」に、<昆虫の脳、哺乳類と酷似。東大、同じ先祖から進化の可能性>という五段記事を載せていたのを宇和島出張から戻って知った。昆虫の「間接の曲がり具合や動き」、「体毛の接触」、「痛み」、「温度」などを感知する場所が、脳の異なる場所に分かれている点で、哺乳類の脳と似ているのだそうだ。
 そこで哺乳類の脳は昆虫と共通の祖先から進化した可能性があると、「東大伊藤啓準教授」(本文では「啓」なのか「啓准」なのか、区切りが分からない)が発表した、という内容だ。
 読んで笑った。すべての動物は、元は同一の祖先から進化している。だからバクテリアのDNAはヒトにも残っている。記事には記者の署名がないし、写真は「伊藤啓・準教授」提供のものをそのまま使っていて、鮮明度がきわめて悪い。上司の教授の名前もない。
 無脊椎動物の昆虫と脊椎動物の哺乳類を比較するとはまったく乱暴だ。それにこの「準教授」の所属学部(あるいは大学院)名が報じられていない。

 念のためにネット検索すると、https://www.k.u-tokyo.ac.jp/pros/person/kei_ito/kei_ito.htm

<1986年3月東京大学理学部物理学科卒業
1991年3月東京大学理学系大学院物理学専攻博士課程修了(理学博士)
1991年4月ドイツ・マインツ大学遺伝学教室客員研究員
1994年10月科学技術振興事業団 ERATO 山元行動進化プロジェクト研究員
1998年4月岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所細胞増殖研究部門助手
2002年4月東京大学分子細胞生物学研究所高次構造研究分野助教授>
とあった。2002年には国立大「助教授」は準教授に名称変更になっているはずだ。

 理学部卒業後、31年経ってまだ「準教授」。
 これで日経記事の謎はすべて解けた。新聞記事なんて、この程度のものか、と思った。



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