ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始めいつのまにか、トライアスリートになってしまった私。

【STAP事件、その後】難波先生より

2014-08-25 12:43:32 | 難波紘二先生
【STAP事件、その後】
 発売中の「文藝春秋」9月号が
森健:「愛された野心家、小保方春子三つの顔、30年の半生を徹底追求」
という8頁のレポートと
 森健が聞き手で小保方の代理人である三木秀夫(弁護士)、室谷和彦(同)との座談会記録を6頁にわたり掲載していて、読み甲斐がある。
 小保方の摩訶不思議な人物像は、これでだいぶ明らかになってきた。

 同じく発売中の「新潮45」9月号は、
 小畑峰太郎+取材班:「STAP論文捏造事件 深層追求第6弾=笹井が死をもって告発した<理研の闇>」
という8頁記事を掲載している。
 理研CDBの竹市センター長と理研の野依理事長に管理能力がまったくないという、市川家國理研改革委員会副委員長(信州大特任教授)の指摘はその通りだと思う。
 「管理はやっていませんでした」という竹市の発言を聞いて、企業コンプライアンスが専門の弁護士委員竹岡八重子が聞いてのけぞったそうだ。
 これを読むと、理研CDBは理研本部からはほぼ独立した研究組織で、そのうち将来性があるのは高橋政代(死んだ笹井と医学部が同級生)のiPS細胞を用いた網膜再生医療だけ。CDBの他の部門の研究費や予算は、ほとんど笹井が集めてきていて、CDBは実質彼が取り仕切っていた。よって笹井を失ったCDBは「事実上、消滅してしまうかもしれない」という市川の指摘は深刻に受け止める必要がある。

 笹井の「縊死」が自殺かどうか、遺書がどこで書かれたのかなど、死に関する謎はまだ解けていない。(兵庫県警は事件性がないと判定した。)
 彼は昨年の12月に大正製薬「上原賞」(副賞2,000万円)の受賞が決まり、授賞式が今年の3月11日に予定されていた。2月の上旬にSTAPネィチャー論文の不正疑惑が提起され、2月末には理研も調査を始めていた。論文の盗用、画像の使い回しや盗用など誰が見ても歴然とした証拠で、否定できないはずだった。
 だから当然笹井は、賞を辞退すると思っていたら、当日平然として会場に現れ、賞を手にすると取材のマスコミを出し抜いて姿を消した。その後は入院して姿をくらましていたらしい。4/1からはCDBのセンター長に就任する人事が内定しており、発令されればセンター長としてマスコミに対応しなければならない。
 だから竹市センター長に対して、3月の契約更新に応じないで辞職することを申し出たのであろう。

 それにしても理研広報による笹井副センター長の出勤状況について、「8月4日夜にいったん退所し、その後再び現場に来たと思われますが、時間等については分かりません」という説明はおかしい。
 翌5日朝になって出勤したのであれば「再び現場に来た」とはいわない。
 縊首状態での身柄発見が8/5, 8:40、死亡確認が11:03になっているが、縊首そのものは8/4の夜か8/5の早朝に実行され、身柄発見時にはすでに心肺停止状態であったと思われる。深夜の5F階段踊り場であれば、定時の見回り以外には来る人もいないであろう。
 だとすると笹井の遺体は、理研の広報体制が整うまで、「生きているかのごとく」利用されたということになろう。
 理研広報は8/5午後の記者会見で、遺書について「笹井の遺体の傍のカバンの中に3通、オフィスの机の上に1通あった」と発表した。「新潮45」の問い合わせに対して、同広報室は「会見時に話した遺書の数については、発言を撤回し、複数と変更させていただきます」と回答したという。
 遺族宛の遺書は後に遺族側代理人弁護士が記者会見して内容の一部を明らかにしているが、妻と実兄宛とあるだけで、通数や発見場所は明らかにされていない。また手書きがワープロかも不明である。
 カバンの中に3通の遺書があり、これが机の上で発見されたCDB事務部宛の遺書1通とともに遺書の全てだとすれば、つじつまが合う。
 1通は小保方宛、1通は妻宛、残り1通が実兄宛ですべてワープロ書きされていた。
遺書を人が来るかも知れない昼間にオフィスで書くのは無理であろう。従って笹井は夜いったん退所した後に、再びオフィスに戻りワープロで遺書4通を書いたのであろう。理研が、笹井のパソコンファイルの時間記録を調べ、「再び現場に来たと思われる」と回答したとすれば、整合性がある。
 遺書はふつう自宅で書くが、笹井は心療内科通院中であり、「ふつう」でなかった。もし親族宛の遺書が自宅に残されていたとすれば、事件性がないことは明らかであり、県警が押収する必要がなく、遺族代理人による記者会見はもっと早く行われたはずである。

 小保方春子の人物像については「文藝春秋」9月号の森健レポートはあるものの、まだ不明の点が多い。
 旧石器遺跡捏造(2000)を巡る人物群像を描いた、上原善広『石の虚塔』(新潮社,2014/8)を読んでみると、「神の手」と呼ばれた藤村新一と小保方は非常によく似ていると思う。

 藤村の同士だった鎌田俊昭(多賀城市の禅寺住職)は、捏造発覚後の藤村について、
 「最初の頃は藤村が自殺すると思ったので、必死にかばった。(マスコミから身を隠す)病院も紹介し、寺にかくまったこともある。」
 「しかし、いま思うと、自殺するようなタマじゃない。…詐欺師には『良心がとがめる奴』と『自分で思い込んでしまう奴』がいるけど、藤村は『思い込む』タイプなんだろう。…とにかく思い込みが激しい奴だった。もし本当に病気だとしたら、あれは『演技性人格障害』だよ。」 (『石の虚塔』, p.251)
 と述べている。
 解離性人格障害とされる藤村新一は現在、精神病院に入院中に知り合った同病の女性患者と結婚し、障害者年金と厚生年金を受けながら宮城県内に暮らしている。
 上原の取材によると、藤村には30年近くにわたり捏造を繰り返してきたことに対する「罪の意識」がまったくない。鎌田は藤村を「思い込みが激しかった」と表現しているが、高校時代に「不思議ちゃん」というあだ名があった小保方春子も思い込みが激しい。

 旧石器遺跡事件では多くの学者が関係していながら、脳梗塞になったものはいるが、自殺者も引責辞職者も出なかった。文部省の科学研究費を返還せよという命令も出なかった。
 理研「懲罰委員会」の査問が進むと、理研は笹井に10億近い研究費の返還を求めることになっただろうと「新潮45」は報じている。
 STAP事件では、鎌田俊昭の役割を演じていた笹井は「自殺」してしまった。
 そこが違うが、あとはよく似ている。
 
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Unknown (メダカとトクサ)
2014-08-25 14:53:18
そもそも2回の会見の時のように、マスカラばっちりでは、くっつくのが気になって顕微鏡をまともに覗けませんね。
初めから (Mr.S)
2014-08-25 16:01:53
STAP発表の記者会見の日から、なんかおかしいな~
と、感じていた輩も大勢いると思うが、本当にそのまんまの結果になった。
関係者の自殺もあるかなと思っていたし、これも推測した人は大勢いると思う。
将棋で言えば「詰んだ」状態なのに、STAPはあるのか無いのかなどと引き延ばし工作するマスコミと理研。
これは短縮版「三浦和義事件」とでも言えようか。
疑惑があるが裁判してもハッキリしない事件。
黒に近い灰色とかいわれた事件だが、最後は自殺で終わった。
だからSTAPももう終わったのだ。
Unknown (mm)
2014-08-25 16:17:12
上原善広『石の虚塔』の内容は奥野正男『神々の汚れた手』(毎日出版文化賞受賞)と異なるようです。⇒ http://yamatai.cside.com/katudou/kiroku223.htm

書評などを見る限り、奥野の著作の方が掘り下げが深い。つまり、奥野は、考古学協会が論文も書けない藤村の捏造石器技術を活用し、こぞって協力してこの事件を引き起こしたと論じ、それによって仮説が証明され、文化庁の課長クラスまで上り詰めた岡村道雄らの責任が一切問われていないことを指摘しています。
思い込みが激しく利用される人間の責任も問うべきですが、それをスケープゴートに仕立てた責任の所在も問う必要がある。思い込みの激しい性格に焦点を当てることは間違いではないが、精神家の議論で終わらせてほしくないと思います。
Unknown (shabby)
2014-08-25 17:24:49
笹井氏の自死以来抱き続けている死亡時刻と遺書の謎が、難波先生のご賢察で幾分解消された。理研の開示情報はどこかうさんくさい。
いくら頭脳明晰で責任感のある人であっても、都合6~7通もの遺書を残すのは尋常ではない。家族宛に1通のみ、せいぜい職場(直属の上司)にもう1通が普通ではないだろうか。その2通があれば他の人に宛てた言葉も織り込める。
朝自宅に遺書を置いて出勤し、その日勤め上げてからそのまま職場で自死は不自然だろう。やはり一度帰宅して早朝出勤したと考えるのが自然だ。いずれにしろ実行する前に家族が遺書を見つければ未遂に終わる恐れがあり、職場にあった遺書はあらかじめ用意して家を出たと考えていたが、難波先生の仰るように現場で見つかった4通だけなら随分無理がなくなる。
(4通でも多いくらいだ。自死後の家族を思えば小保方への遺書は一緒に残すべきではなく、男女の仲を疑われる要素を敢えて残す必要があったか疑問。)

家族宛の遺書は自宅にあったという報道だが、以下のような自殺当日の産経の記事があった。理研の会見よりも早いので報道機関の擦り合わせ前かもしれない。

家族あてなど複数の遺書 野依理事長「驚愕している」
2014.8.5 13:23 [自殺問題]産経ニュース
兵庫県警によると、5日、自殺しているのが見つかった理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市中央区)の笹井芳樹副センター長(52)は、(中略) 秘書の机の上に家族あての遺書を残していたほか、首をつっているのが見つかったCDBに隣接する先端医療センターの現場近くにあったかばんにも、関係者らにあてた複数の遺書が入っていたという。(後略)


本当に、もうとっくに詰んで終わった事件なのだから、丹羽氏の報告で最終決着をつけて欲しい。
その先は経済事件として別物になる。
URL (shabby)
2014-08-25 22:43:21
たびたび失礼いたします。

上記のような引用を行う場合、URLも明示すべきかと気付きました。書き込みに慣れておらず、うまくとべなかったら申し訳ありません。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140805/waf14080513230028-n1.htm
Unknown (Mr.S)
2014-08-26 02:50:53
笹井氏の遺書とか死についての疑惑は無いでしょう。
単なる自滅です。
三浦和義氏がアメリカの拘置所で自殺した時も妙な他殺説が出ましたが、いずれも考えすぎかと。
Fact (shabby)
2014-08-26 12:02:20
Mr.s 様

自分も笹井氏の自死そのものについては疑念はありませんし、もっと早い時期、3月頃に自殺してしまうのでは、と思っておりました。

ですが、笹井氏が死をもって自ら清算した行為を他者が利用する事は許されない行為です。遺書については現在疑惑を払拭するに至っていないのではないでしょうか。
不正を何ら明らかにせぬまま逝った事の是非とは分けられるべきとも思います。


仰るように変な引き延ばしに惑わされず、数少ないFact だけを選り分け、難波先生のように専門的な知見のある方の言葉から庶民が正しい世論を形成する事が大切ですね。

shabby様 (Mr.S)
2014-08-26 13:17:57
shabby様

専門的な知見のある方とともに考えていく事ですね。
必ずしも専門知識のある人に従うんではなく、自分で判断し、様々な人の知識を利用して考えて行かねばなりません。
医師や教授だけが有識者ではありませんから。
public opinion (からしだね)
2014-08-26 13:40:41
上から3番目のmmさんのコメントでご紹介いただいたサイトを興味深く読ませていただきました。とても勉強になりました。旧石器捏造事件同様に、STAP事件も特異な性格を持った人間と、その人間を利用しようとした人間の相乗効果によってもたらされた事件だと思います。
論文に疑義が生じた2月頃にはこんな大きな事件になるなんて(少なくとも私は)予想できませんでした。とても闇の深い事件だと感じます。
それでもshabbyさんやMr.Sもコメントされているように、専門家の方々の意見を参考にしつつ、一人一人がよく考え、解明の方向へ世論を動かして行きたいものですね。
Unknown (Unknown)
2014-08-26 19:07:34
高橋政代さんの網膜再生医療も、笹井さんとのES細胞からの神経網膜分化誘導が始まりですし、難波先生が書かれているように、他にCDBに何があるのでしょうか。
そういえば「九州在住なのに理研(横浜)で毎日勤務していることになってるのは一体誰なのさ?昨日今日のことじゃなくて、十年間もそんなことをしているとしたら、相当悪質だな」という2ちゃんねるの書き込みがありましたが。
来年度の文科省の創薬・再生医療概算要求が1400億円!
もんじゅのへの取り組みが21億円増えて195億円、、、、。

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