ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始めいつのまにか、トライアスリートになってしまった私。

【ホテルの老朽化】難波先生より

2017-04-18 11:50:02 | 難波紘二先生
【ホテルの老朽化】
 広島市に最初の本格的ホテルができたのは60年代後半のこと、現中区立町にある「国際ホテル」だった。かつて「国際」というネーミングがはやりで、タクシー会社や土建屋まで「国際◯◯」を名乗った。「グランド・ホテル」というのもあるが、あれは同名のアメリカ映画(1932)のパクリだ。一見の価値のある名画だ。
 同一の場所(ホテル、船など)に集まった人たちの、数奇な物語の組合せからなる映画などを「グランドホテル形式」というが、発端はこの映画にある。
 もっとも書物では、「アラビアン・ナイト」やチョーサーの「カンタベリー物語」などもっと古いものがある。日本の「今昔物語」などは一話完結で、全体を貫くストーリーがない。

 広島一の繁華街「金座街」と銀行などが並ぶ電車線の中間にあり、飲み屋、小料理屋などが路地に軒を連ねていて、かつては大変賑わった。ここは松山の野村さんが広島大(当時は広島市千田町にキャンパスがあった)の学生時代にアルバイトをした場所だ。その時に上司でホテルの支配人だった藤村さんは退職後、透析を受けながら、脳梗塞後も身障者用の自動車を運転して、松山地裁での「腎移植移植裁判」に応援傍聴のため通っていた。
 私も呉から水中翼船で前日に松山に渡った後、裁判後に親切にも彼が車に同乗させてくれ、「しまなみ海道」を経て自宅まで送ってもらったことがある。その時初めて、身障者用の自動車と実際の運転ぶりを体験した。ちっとも怖いとは思わなかった。

 4/6「中国」が1966/11開業のこのホテルが閉鎖され、持ち主の「東洋観光」がビルを解体し、土地を売却する予定だと報じた。無理もない。広島市の旧市街地は「太田川デルタ」という厚い堆積土の上に存在する。当時は耐震設計など問題にならず、50m下の岩盤までコンクリート・パイルを打ち込みその上に高層ビルを建てるとか、ビルそのもの柔構造にして、振動・衝撃を吸収するという工法もそれを強制する法もなかった。 
 そういうビルはおよそ築50年でガタが来る。

 JR博多駅の表口(在来線口)から至近距離にある、高層マンションが老朽化・スラム化し、部屋から白骨死体まで見つかったという話を、
 野澤千絵「老いる家 崩れる街:住宅過剰社会の末路」(講談社現代新書)
で読み、びっくりして「買いたい新書」の書評で取り上げた。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1490414390
 これでは欧米の建物に比べて、日本の家やビルの寿命が短いことを紹介した。

「老いる家 崩れる街」は人口減少社会になると、ますます深刻になるだろう。
 この町でも隣町でも、老朽住宅を相続した人は処置に困っているらしい。中にはかつての商店街(この辺では「市(いち)」と読んでいた)が丸ごと島状のゴーストタウンになっているところもある。車社会になった時、商店街の道路拡張は難しいので、そこを避けてバイパスができた。徒歩で買物に来るのは運転できないお年寄りばかりとなり、後継者もいないから、やがてシャッター通りとなり、ついでゴーストタウンになる。

 そんなゴーストタウン、あるいはもうすぐそうなりそうな商店街が、福富町に3箇所、隣の造賀町に1箇所ある。国道沿いにはコンビニが進出した。造賀に2店舗、北隣の豊栄町に2店舗ある。夕方など、付近のお年寄りが軽自動車や軽トラで、夕食を買いに来ている。
 昼メシは弁当を買って車内で食べる若者やトラック運転手が多いが、さすがに夜は少ない。ただ缶ビールなどのお酒やおつまみを買う人は多い。

 無住の家を放置しておいて倒壊して被害が出ると、所有者に賠償責任がある。
 そこで町によっては、路上に倒壊する恐れがある建物は町の費用で撤去し、その支払いを所有者に求めるところが、この近辺にもあるそうだ。

 藤村さんはその後、残念にも脳梗塞の再発でなくなったが、国際ホテルの取り壊しを聞いたらさぞかし嘆いただろうと思う。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-04-19 03:53:03
>日本の「今昔物語」などは一話完結で、全体を貫くストーリーがない。

室町時代に『三人法師』という作品があって、枠物語の形式をとっています。谷崎潤一郎が「現代語」に訳したことが知られています。

他の枠物語の例としては、『デカメロン』が有名ですね。

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