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【書評など】アシモフ「生物学の歴史」/難波先生より

2014-12-09 13:41:01 | 難波紘二先生
【書評など】
 エフロブ「買いたい新書」にNo.246書評:アシモフ「生物学の歴史」を取り上げました。
 http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1416976396
 これは小説よりも面白い。それもそのはず,『ミクロの決死圏』や『人間への長い道のり』を書いた,あのSF作家の著書だ。1920年ロシア生まれのユダヤ人アイザック・アシモフは,3歳の時に両親にと共にアメリカに移住した。15歳でコロンビア大学に入学,18歳で処女作『真空漂流』をSF雑誌に発表した異才だ。だが,ボストン大医・生化学教授だったとは知らなかった。
 なぜ本書が日本で「生物学の名著」に入っていないのか。理由は単純だ。もともと米自然史博物館が出した「自然科学叢書」の1冊「A Short History of Biology」(1964)だったものを,化学関係が専門の共立出版が1968年に「アシモフ選集」を刊行した際,『生物編Ⅰ:生物学小史』(太田次郎訳)として含めたのだ。当時は「不思議の国のトムキンス」が主人公の,物理学者ガモフによる『ガモフ全集』(白楊社)など,科学解説書がよく読まれていた。
 映画『ミクロの決死圏』(1966)が評判となり,その脚本をアシモフが小説化した。その翻訳が早川文庫から出た1971年には,地味な『生物学小史』は忘れられていた。この度見直され,原訳者による訳注等の改訂付きで,手軽な学術文庫として復活したのは嬉しい。
 20世紀後半は遺伝学を中心とした分子生物学の時代だった。いまやヒトゲノムのマップも作成され,遺伝子産物であるタンパク質を加工する段階に入ってきている。その点からも現在の立ち位置を知るのに,本書が説くわかりやすい生物学の歴史はまことに貴重である。(以下、続きは上記HPでお読み下さい。)
 昨夜の「Mr.サンデー」で「今年のワースト流行語・トップ20」というのをやっていた。「STAP細胞はありまーす」が堂々の第一位で、だらだらと続いた理研記者会見で急所をつく質問をして、この言葉を引き出した報道記者が出演して状況を説明していた。もし小保方晴子がこの本を読んで理解していたら、そもそもSTAP細胞事件は起きていないだろう。
 それにしても理研はいつまで再現実験の結果公表を引き延ばすつもりだろうか…。ストックフォルムでのノーベル賞授賞式が終わり、衆院選挙の投票がすんで、新内閣の組閣を見てと、洞ヶ峠を決め込んでいるように思えて仕方がない。
 著者アシモフは「ロボット三原則」だけでなく,「心理歴史学」という新分野の創始者でもある。
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